戦略系働き方・激務度

アーサー・ディ・リトル(ADL)は激務?残業時間の実態と働き方の特徴

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アーサー・ディ・リトルは残業時間を公式に開示していませんが、法定の一般事業主行動計画では時間外労働と休日労働の合計を月30時間未満(25〜39歳は45時間未満)に抑えるという目標が公表されています。一方、大手口コミサイトの公開集計値では月100時間前後という数字が示されており、両者には大きな開きがあります。本ページではこの落差の背景を構造面から整理します。

この記事のポイント

  • ✓残業時間の公式開示はなし。大手口コミサイトの公開集計値では月100時間前後(集計により概ね95〜110時間)とされる参考値がある
  • ✓公式の一般事業主行動計画では、時間外労働と休日労働の合計を月30時間未満(25〜39歳のフルタイム労働者は45時間未満)とする目標を掲げ、2027年からの施策実行を予定
  • ✓案件は未来志向・イノベーション志向のテーマが中心で、会社紹介パンフレットにも「扱う案件の難度は高い」と明記されている
  • ✓男性の育児休業取得率は行動計画で57%以上から70%以上へ目標が引き上げられており、両立支援は進展している
  • ✓東京1拠点・コンサルタント240名超(2025年6月時点)の少数精鋭組織で、5年で人員2倍のペースで拡大中

残業時間の実態

アーサー・ディ・リトル・ジャパンは残業時間を公式に開示していません。大手口コミサイトの公開集計値では月100時間前後という数字が示されており、集計のスナップショットによっておおむね95〜110時間のレンジで変動します。ただし回答者数は数十人規模にとどまり、繁忙期の案件に当たっていた回答者が多ければ数字は上振れします。

同じ集計では有給休暇の消化率が60%前後とされています。こちらも母数の小ささから幅を持って読む必要がありますが、休暇そのものが取得しにくい環境ではないことを示唆する水準です。

残業時間の目安:月100時間前後(大手口コミサイトの公開集計値。同社の公式開示ではなく、回答者数は数十人規模です)

他ファームとの比較

この表のとおり、公開集計値ベースでは戦略ファームの中でも重い部類に位置します。MBBの中で最も長いとされるマッキンゼー(約77.4時間)を上回る水準です。

ただし数字をそのまま受け取る前に、母数の違いを踏まえる必要があります。数千人規模のファームの集計と、在籍240名超の組織で数十人が回答した集計では統計的な安定性が異なります。傾向として「戦略ファームの中でも軽くはない」と捉えるのが妥当で、順位を厳密に読み込むべきデータではありません。

ファーム残業時間の目安分類
アーサー・ディ・リトル月100時間前後戦略系(欧州系・技術起点)
マッキンゼー月約77.4時間戦略系(MBB・米系)
ローランド・ベルガー月70時間前後戦略系(欧州系)
デロイト トーマツ月65時間BIG4系
BCG月約62.8時間戦略系(MBB・米系)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング月52時間BIG4系
PwCコンサルティング月48時間BIG4系
ベイカレント月20時間程度日系総合

いずれも各社の公式開示ではなく、大手口コミサイトの公開集計値です。回答者数・回答時期・職位構成が各社で異なるため、単純比較には適しません。アーサー・ディ・リトルは特に回答者数が少なく、誤差が大きいと考えられます。

公式に確認できる労働時間の目標

同社は実績値こそ開示していませんが、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公式サイトで公表しており、そこに労働時間に関する定量目標が記載されています。これは同社の労働時間について確認できる数少ない一次情報です。

計画・目標内容計画期間
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画 目標3各月ごとの時間外労働および休日労働の合計時間数を30時間未満(全てのフルタイム労働者)または45時間未満(25〜39歳のフルタイム労働者)とする2025年10月〜2028年9月
同 目標2男性の育児休業取得率70%以上の維持と向上2025年10月〜2028年9月
同 目標1育児支援制度の利用状況等を踏まえた制度の定着および継続的な運用改善2025年10月〜2028年9月
女性活躍推進法に基づく行動計画 目標1労働者に占める女性の割合を25%以上とする2023年10月〜2027年9月
同 目標2男性の育児休業取得率57%以上の維持と向上2023年10月〜2027年9月

同社が公式サイトで公開している一般事業主行動計画(PDF)の記載に基づきます。目標値であり、実績値ではありません。

目標値と公開集計値の落差をどう読むか

月30時間未満という目標と、公開集計値の月100時間前後という数字には大きな開きがあります。この落差の解釈としては、次の3点が考えられます。第一に、行動計画の目標は現状からの改善を目指して設定されるものであり、現時点の実績を表すものではないこと。第二に、行動計画は全従業員(コンサルタント以外の職種を含む)を対象とし、25〜39歳という中核年代には45時間未満という別基準が設けられていること。第三に、口コミの集計は繁忙期の体感が反映されやすいことです。

同社は目標達成に向けた取組内容として、2027年1月からの時間外労働の理由把握と圧縮に向けた課題整理・施策検討、2027年4月からの制度導入と全社員への周知を予定していると記載しています。裏を返せば、2026年8月時点では本格的な施策が始まっていない段階であるとも読めます。

マネージャーの職務に労務負荷管理が含まれる

同社のマネージャー職の公開求人票には、期待される役割として「ケースメンバーに対する指示・指導に加え、個々のメンバーの能力・状況に応じた成長の支援、およびメンバーの適正な労務負荷のコントロールに気を配ること」が明記されています。具体的役割の一覧にも「配下メンバーへの指示・指導・労務負荷コントロール」が挙げられています。

労務負荷の管理がケースリーダーの職務として明文化されている点は、組織として稼働管理を意識していることの表れと言えます。ただし実際の負荷はプロジェクトの性質とチーム編成に左右されます。

稼働が重くなりやすい構造的な理由

同社の案件構成は、労働時間を考えるうえで重要な背景です。会社紹介パンフレットに記載された案件の性質から、稼働が重くなりやすい理由が読み取れます。

答えが類型化されないテーマが中心

パンフレットでは、同社の扱うトピックについて「未来志向、イノベーション志向、さらに新規事業といった新しい価値の発揮についての戦略にフォーカスしたものが非常に多い」と説明され、具体例として新規事業の創出、長期ビジョンや中期経営計画の策定、R&Dやイノベーション組織体制の変革、事業戦略の策定が挙げられています。

そのうえで「明確な解が類型化されないゆえに、扱う案件の難度は高い」と自ら明記しています。既存オペレーションの改善やコスト削減のように定型の分析手順が確立している領域と比べ、探索と検証の反復に時間がかかりやすい構造です。実際、トップライン伸長に関するプロジェクト比率は70%以上と公表されています。

業界横断テーマが4割以上

案件数に占める業界横断のテーマ比率は40%以上と公表されています。産業同士の融合や課題同士の複合という視点から事業ドメインを超えたチームを編成するという方針であり、単一業界の知見だけでは完結しない案件が多いことを意味します。

扱う論点の範囲が広がるほど、調査と検討にかかる工数は増えます。少数精鋭の組織でこれを担うため、一人あたりの担当範囲が広くなりやすい点は想定しておく必要があります。

少人数チームゆえに逃げ場が少ない

東京オフィスの在籍コンサルタントは240名超(2025年6月時点)で、数千人規模の総合系ファームとは組織の性質が異なります。ビジネスアナリストの求人票にも「単なる調査・分析の実行を担う役割にとどまらない」と明記されており、若手であっても担当範囲が限定されにくい環境です。

これは成長機会という観点では利点ですが、稼働という観点では負荷になり得ます。裁量の大きさと負荷の大きさは同じ構造の裏表であるという理解が必要です。

働き方の特徴 — 自由裁量と少数精鋭

公式が掲げる「働きやすさ」と「働きがい」の両立

同社の東京オフィス採用ページでは「ADLは、自由裁量の高い働き方により、働きやすさと働きがいの両立を目指します。バックグラウンドによらず幅広いプロジェクトテーマを経験できるため、学び・成長の機会も豊富に整っています」と説明されています。

採用情報ページではさらに「会社が主体ではなく、あなたがイニシアチブを取りキャリアを自分自身で形成していくこと、そして、自分に合う方法とペースでそれを実現できること」を願うと記載されています。時間管理を含めて個人の裁量に委ねる姿勢が示されている一方、裁量が大きいということは自己管理の責任も大きいことを意味します。

サイド・バイ・サイドという支援スタイル

同社は創業以来の特徴として、クライアントのプロジェクトにサイド・バイ・サイドで取り組む支援スタイルを掲げています。提言を提出して終わりではなく、クライアントと並走して変革を進めるアプローチです。

この働き方は、クライアント側の意思決定サイクルや会議体に稼働が引きずられやすいという側面を持ちます。一方で、成果が出るまで関与し続けられることを評価する声もあり、どちらを重視するかは個人の志向によります。

拡大局面にある組織

会社紹介パンフレットによれば、東京オフィスは5年間で人員数が2倍になるペースで成長しています。組織が拡大している局面では、案件獲得と人員採用のバランスによって稼働が変動しやすくなります。

同時に、拡大は新しいポジションが生まれることも意味します。入社時期によって経験できるテーマや昇進の機会が変わる点は、少数精鋭組織ならではの特徴です。

両立支援・ダイバーシティの取り組み

同社は法定の行動計画を通じて、労働環境に関する目標を公表しています。実績値は公表されていませんが、目標の推移から取り組みの方向は読み取れます。

  • •男性の育児休業取得率は、2023年策定の計画で57%以上の維持と向上、2025年策定の計画で70%以上の維持と向上と目標が引き上げられている
  • •労働者に占める女性の割合を25%以上とする目標を掲げ、社内アンケートによる現状把握、女性向け採用イベント、制度拡充を取組内容として明記
  • •DEI推進チームによるモニタリングと改善施策の拡充を継続的に実施
  • •働き方改革推進チームによる、ライフステージに合わせた各種制度に関する対話を実施
  • •公式サイトの日本ページでは、女性および外国籍プロフェッショナルの人数が2桁成長していると公表

目標の引き上げが示すもの

男性育休取得率の目標が57%以上から70%以上へと引き上げられている点は注目に値します。行動計画の目標は通常、直近の実績を踏まえて設定されるため、実績が57%を上回る水準に達したことを示唆します。

ただし同社は実績値そのものを公表していないため、確定的なことは言えません。この点は公式非開示として扱う必要があります。

アジア太平洋のヘッドオフィスという位置づけ

東京オフィスはアジア・太平洋地域のヘッドオフィスとして地域内のオフィスを統括する役割を担っています。会社紹介パンフレットでは、世界の主要オフィスと連携することでグローバルの知見活用と日本からグローバルへの発信を実現しているとされ、「本社の受け皿としての東京オフィスではなく、数々のプロジェクトを自らが主体となり推進する環境」と説明されています。

グローバル全体では39カ国51オフィスを展開し、本社はブリュッセルにあります。欧州・アフリカ、アメリカ大陸、中東・インド、アジア・太平洋の4極体制です。

会議時間帯への影響

アジア・太平洋地域の統括拠点であるため、地域内のオフィス(シンガポール、ソウル、上海、シドニーなど)との連携では時差が小さく、日本の日中に会議が収まりやすくなります。一方で本社のあるブリュッセルなど欧州拠点との時差は日本から見て7〜8時間程度(夏時間・冬時間で変動)であり、欧州との協働案件では日本の夕方以降に会議が設定されやすくなります。

米国拠点中心のファームで早朝会議が増えるのとは異なる時間帯の構造になる点は、事前に想定しておくとよいでしょう。

まとめ — 軽い環境ではないが、公式の改善目標は明示されている

アーサー・ディ・リトルの働き方は、公開集計値で月100時間前後という数字が示すとおり、戦略ファームの中でも軽い部類ではありません。ただしこの数字は回答者数十人規模の参考値であり、順位を厳密に読み込むべきデータではない点は繰り返し確認しておく必要があります。

一方で、時間外労働と休日労働の合計を月30時間未満(25〜39歳は45時間未満)に抑えるという定量目標を法定の行動計画として公表し、2027年からの施策実行を予定している点は、公式に確認できる事実です。男性育休取得率の目標引き上げも含め、労働環境の整備は進められています。

稼働が重くなりやすい背景には、答えが類型化されない未来志向・イノベーション志向のテーマが案件の中心にあり、少数精鋭の組織でそれを担うという構造があります。裁量の大きさと負荷の大きさが表裏一体である点を理解したうえで判断することが重要です。

よくある質問

Q. アーサー・ディ・リトルは激務ですか?
A. 同社は残業時間を公式に開示していません。大手口コミサイトの公開集計値では月100時間前後とされ、マッキンゼー(約77.4時間)やローランド・ベルガー(月70時間前後)を上回る水準です。ただし回答者数は数十人規模にとどまるため、順位を厳密に読み込むべきデータではありません。戦略ファームとして軽い環境ではない、という理解が妥当です。
Q. 会社として労働時間の目標は公表していますか?
A. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画(2025年10月〜2028年9月)で、各月ごとの時間外労働および休日労働の合計時間数を30時間未満(全てのフルタイム労働者)または45時間未満(25〜39歳のフルタイム労働者)とする目標を公表しています。2027年1月から課題整理と施策検討、2027年4月から制度導入と周知を予定すると記載されています。
Q. なぜ稼働が重くなりやすいのですか?
A. 会社紹介パンフレットでは、新規事業創出や長期ビジョン策定、R&D組織の変革といった「明確な解が類型化されない」テーマが中心であり、扱う案件の難度は高いと明記されています。トップライン伸長に関するプロジェクト比率は70%以上、業界横断テーマの比率は40%以上とされ、既存オペレーション改善のような定型的な進め方が取りにくい構造です。
Q. 有給休暇は取得できますか?
A. 大手口コミサイトの公開集計値では有給消化率は60%前後とされています。同社の公式開示ではなく回答者数も限られるため参考値ですが、休暇の取得自体が困難な環境を示す水準ではありません。
Q. 育児との両立支援はどうなっていますか?
A. 男性の育児休業取得率について、2023年策定の女性活躍推進法に基づく行動計画では57%以上の維持と向上、2025年策定の次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画では70%以上の維持と向上を目標としています。DEI推進チームによるモニタリングや、育児支援制度の定着・運用改善も取組内容として記載されています。実績値は公表されていません。
Q. グローバルとの会議で深夜勤務は発生しますか?
A. 東京オフィスはアジア・太平洋地域のヘッドオフィスであり、地域内のオフィスとの連携では時差が小さく日中に会議が収まりやすくなります。一方で本社のあるブリュッセルなど欧州拠点との時差は7〜8時間程度のため、欧州との協働案件では日本時間の夕方以降に会議が設定されやすくなります。米国拠点中心のファームで早朝会議が増えるのとは異なる構造です。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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