シンクタンク系激務度・働き方

三菱総合研究所(MRI)は激務?公式データで見る残業時間と働き方の実態

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MRIは働き方に関するデータを公式に開示している数少ないコンサルティング・シンクタンク系企業です。三菱総研グループのESGデータブックによると、単体の一人一月あたり平均時間外労働時間は13.8時間(2024年度・2025年度)。数字だけを見れば業界内では明らかに短い部類に入ります。一方で、多くの社員に裁量労働制が適用されること、官公庁案件特有の年度末繁忙があること、複数案件を同時に担当するマルチアサインであることも押さえておく必要があります。本ページでは公式データと実態の両面から整理します。

この記事のポイント

  • ✓単体の一人一月あたり平均時間外労働時間は13.8時間(2025年度・ESGデータブック)。年間250時間超の社員は37名
  • ✓年次有給休暇取得率は単体55.3%(2025年度)で、グループの65.9%より低い
  • ✓新卒入社後はフレックスタイム制(コアタイム10時30分〜15時30分)、経験を積むと裁量労働制へ移行する
  • ✓自己都合離職率(単体)は2.7%→4.2%→6.1%と3年で上昇。会社も人員計画未達の要因として期中退職者の増加を挙げている
  • ✓リモートワーク・サテライトオフィス・地方移住制度が整備され、地方移住者は35名(2025年度)

結論 — 公式データでは残業は月14時間前後

「MRIは激務か」という問いに対しては、まず公式に開示されている数字を見るのが出発点です。三菱総研グループはESGデータブックで人的資本・労働安全衛生に関するデータを毎年公開しており、労働時間や有給取得率も含まれます。

残業の目安:一人一月あたり平均時間外労働13.8時間(ESGデータブック・2025年度・単体)。ただし裁量労働制の適用者が多く、大手口コミサイトの公開集計値では月30〜40時間程度という体感値も示されます。

指標(三菱総合研究所 単体)2023年度2024年度2025年度
一人一月あたり平均時間外労働時間17.3時間13.8時間13.8時間
年間時間外労働250時間超の人数70名28名37名
年次有給休暇取得率56.0%56.5%55.3%
自己都合離職率2.7%4.2%6.1%
新卒入社者3年定着率98.0%98.0%95.0%
傷病による休職者数5名6名7名

三菱総研グループESGデータブックに記載された提出会社(単体)の数値です。決算期は9月末で、年度表記は各決算期に対応します。

数字の読み方 — 裁量労働制との関係

平均時間外労働13.8時間という数字は、コンサルティング業界の一般的な水準と比べて明確に短い部類です。ただしMRIでは、新卒入社時はフレックスタイム制、その後は業務遂行の手段や時間配分を本人の裁量に委ねる裁量労働制が適用されます。裁量労働制の下では労働時間の管理方法が通常の時間管理とは異なるため、公式の時間外労働時間が実際の在席時間をそのまま表すとは限らない点には留意が必要です。

大手口コミサイトの公開集計値では、月30時間台から40時間程度という体感値が示されることもあります。公式データと体感値の間に差があるのは、裁量労働制と自己申告ベースの計測という制度上の構造によるものと考えるのが自然です。どちらか一方だけを信じるのではなく、幅を持って理解しておくとよいでしょう。

有給取得率は業界平均並み

単体の年次有給休暇取得率は55.3%(2025年度)で、グループ全体の65.9%を下回ります。プロジェクトの繁閑に左右されやすいシンクタンク本体のほうが、取得しにくい傾向が読み取れます。

一方で、夏季連続休暇、創業記念日(9月1日)、自己啓発に使えるスキルアップ休暇、永年勤続休暇、ストック休暇など、休暇制度そのものは手厚く整備されています。

官公庁案件がもたらす繁忙の型

MRIの働き方を左右する最大の要因は、シンクタンク・コンサルティングセグメントの売上の約7割を占める官公庁案件です。2025年9月期は同セグメント売上470.9億円のうち官公庁向けが326億円でした。

年度スケジュールに縛られる

中央省庁の委託調査は国の会計年度に沿って動きます。年度初めに公募・企画提案、年度半ばに調査・分析と検討会の運営、年度末(1月〜3月)に報告書の取りまとめと納品というサイクルが基本です。結果として、繁忙のピークは年度末に集中しやすいという明確な季節性があります。

MRI自身の決算期は9月ですが、案件の実務は国の年度で動くため、「決算期の繁忙」と「案件の繁忙」がずれる点も特徴です。年度末の納品ラッシュに加え、年度初めの公募・提案時期にも作業が集中します。

マルチアサインによる負荷の分散と集中

公式採用サイトが仕事の特徴として挙げる「マルチアサイン」は、一つのプロジェクトに専任で入るのではなく、複数プロジェクトを同時並行で担当する体制です。成長スピードを高められる一方、複数案件の山が重なると負荷が一気に高まります。

1案件に専任で入る戦略系ファームでは案件の谷でまとまった休みが取りやすいのに対し、マルチアサインでは常に何かが動いている状態になりがちです。有給取得率が55%台にとどまる背景の一つと考えられます。

検討会・委員会運営という固有の業務

官公庁案件では、有識者を集めた検討会・委員会の事務局運営を担うことが多くあります。日程調整、資料作成、当日の運営、議事録作成といった実務は、分析業務とは別種の負荷です。開催日が確定すると動かせないため、そこに向けた作業の集中が生じます。

この仕事の質は民間コンサルティングとはかなり異なります。「知的な分析だけをしていたい」という志向の場合、実務のかなりの部分が調整・運営業務であることにギャップを感じる可能性があります。

働き方を支える制度

MRIは勤務制度・場所・キャリアの各面で選択肢を用意しています。公式採用サイトの募集要項および福利厚生ページに基づく整理です。

勤務時間と勤務形態

  • •所定勤務時間は原則9時00分〜17時15分(標準勤務時間7時間15分)
  • •新卒入社時はフレックスタイム制(コアタイム10時30分〜15時30分)を適用
  • •知識・経験等に基づき、業務遂行の手段や労働時間の決定を本人の裁量に委ねる裁量労働制へ移行
  • •キャリア採用は裁量労働制もしくはフレックスタイム制を適用
  • •裁量労働制適用者には裁量労働手当、在宅勤務者には在宅勤務手当を支給
  • •60歳定年後の再雇用ではスーパーフレックス制度を導入(2025年10月の人事制度改定)

場所を選ばない働き方

リモートワーク勤務制度が整備され、会社はサテライトオフィスの運営会社と契約しています。社員は許可を得たうえでサテライトオフィスを利用でき、重要な会議やオンライン会議の環境確保に使われています。

地方移住制度も設けられており、ESGデータブックによると地方移住者数は2023年度25名、2024年度26名、2025年度35名と増加傾向です。全社員に占める比率は小さいものの、制度が実際に使われていることを示す数字です。

公式サイトに掲載された社員の1日の過ごし方では、育児勤務中の研究員が始業を1時間早めて16時15分に業務を終える例や、海外プロジェクトの時差を活かして午前中にまとまった作業時間を確保する例が紹介されています。

学びと自主研究に時間を使える制度

ESGデータブックによると、一人当たりの年間研修時間は17.9時間、年間総研修時間は21,741時間、研修プログラムの提供時間は424.5時間(いずれも単体・2025年度)です。研修時間を「業務時間の外」ではなく制度として確保している点は、研究員としての専門性を維持するうえで実務的な意味があります。

  • •未来共創時間:年間100時間を上限に、社内での自主研究・勉強会などに勤務時間を活用できる
  • •MRIアカデミー(2024年4月開講):400時間以上の研修プログラムを提供
  • •能力開発支援制度:社会人大学院通学、資格取得、語学研修・学会活動の費用を一部補助
  • •ローテーション・プログラム:社内異動に加え、三菱グループ各社・海外大学等への育成出向
  • •スキルアップ休暇:自己啓発活動に利用できる特別有給休暇
  • •兼業・副業:キャリア形成に資する兼職を事前申請により承認(入社1年未満の社員等を除く)

離職率の上昇をどう読むか

働き方を検討するうえで見落とせないのが離職率の推移です。ESGデータブックによると、単体の自己都合離職率は2023年度2.7%、2024年度4.2%、2025年度6.1%と3年間で上昇しています。新卒入社者の3年定着率も98.0%から95.0%へ低下しました。

会社自身も人員計画の未達要因として言及

2025年9月期の決算説明資料では、中期経営計画に対するMRI単体の人員純増が計画を下回った理由として「期中退職者の想定以上の増加」が挙げられています。計画では2025年9月期に90名の純増を見込んでいたのに対し、実績は35名でした。

この事実は、会社が採用を進める一方で退職も増えているという構造を示しています。ただし6.1%という水準自体は、コンサルティング業界の一般的な離職率と比べて低い部類です。長期就業型の組織が相対的に流動化しつつある、という読み方が妥当でしょう。

エンゲージメントスコアは横ばい

同じくESGデータブックによると、グループのエンゲージメントスコアは2023年度74.7、2024年度72.1、2025年度73.4と横ばい圏で推移しています。離職率の上昇が組織全体の満足度低下と直結しているわけではなく、外部労働市場の活況や個人のキャリア観の変化など複数の要因が考えられます。

なお2025年10月の人事制度改定では、給与制度の変更目的として「採用競争力を高める」ことが明示されています。人材の獲得・定着が経営課題として認識されていることの表れです。

他ファームとの働き方比較

労働時間の観点だけで見れば、MRIはコンサルティング業界の中では働きやすい部類に位置づけられます。公式に数値を開示していること自体、労働時間管理に一定の自信があることの表れとも言えます。

一方で、業界全体で働き方改革が進んだ結果、「コンサル=深夜残業」というイメージはどの社でも実態と乖離しつつあります。MRIを選ぶ理由を労働時間の短さだけに置くと、官公庁案件特有の調整業務や年度末の集中といった別の負荷に直面したときに評価が揺らぎかねません。

企業働き方の特徴(目安)
三菱総合研究所(MRI)公式開示では平均時間外労働13.8時間/月(単体)。官公庁案件の年度末繁忙とマルチアサインが負荷の中心
野村総合研究所(NRI)部門差が大きい。長期就業型でホワイト500連続認定。口コミ集計では月30〜40時間台
ベイカレント働き方改革により平均残業月20時間程度まで改善。完全成果主義
アクセンチュア働き方改革「Project PRIDE」以降改善。口コミ集計では月30時間前後
BIG4系ファーム繁忙期とそれ以外の差が大きい。案件依存

各社の公開情報および大手口コミサイトの公開集計値をもとにした目安です。集計方法・対象範囲が異なるため厳密な比較には適しません。

入社前に確認したいポイント

  • •配属予定本部の繁忙期(国の年度末、公募・提案時期、検討会の開催時期)
  • •同時に担当することになるプロジェクト数の目安(マルチアサインの実際)
  • •裁量労働制の適用タイミングと、適用後の時間管理・手当の扱い
  • •リモートワークの運用実態(本部・案件ごとの出社頻度、サテライトオフィスの利用可否)
  • •検討会・委員会の事務局運営がどの程度の比重を占めるか
  • •未来共創時間やローテーション・プログラムが実際に使われているか

よくある質問

Q. 三菱総合研究所(MRI)は激務ですか?
A. 公式のESGデータブックによると、単体の一人一月あたり平均時間外労働時間は13.8時間(2025年度)で、業界内では短い部類です。ただし裁量労働制の適用者が多く、大手口コミサイトの公開集計値では月30〜40時間程度の体感値も示されます。官公庁案件の年度末には繁忙が集中しやすい点にも留意が必要です。
Q. 残業時間の公式データはありますか?
A. あります。三菱総研グループのESGデータブックで、単体の一人一月あたり平均時間外労働時間(2023年度17.3時間、2024年度13.8時間、2025年度13.8時間)と、年間時間外労働250時間超の人数(2025年度37名)が開示されています。コンサルティング業界では珍しく、公式に労働時間データが確認できる企業です。
Q. 裁量労働制はいつから適用されますか?
A. 新卒入社時はフレックスタイム制(コアタイム10時30分〜15時30分)が適用され、業務遂行に必要な知識・経験等を踏まえて裁量労働制へ移行します。キャリア採用の場合は入社時点で裁量労働制もしくはフレックスタイム制が適用されます。裁量労働制適用者には裁量労働手当が支給されます。
Q. リモートワークはできますか?
A. リモートワーク勤務制度が整備されており、在宅勤務手当も支給されます。会社がサテライトオフィスの運営会社と契約しているため、許可を得たうえでサテライトオフィスも利用できます。地方移住制度もあり、2025年度の地方移住者数は35名でした。ただし本部・案件によって出社頻度は異なります。
Q. 有給休暇は取りやすいですか?
A. 単体の年次有給休暇取得率は55.3%(2025年度)で、グループ全体の65.9%を下回ります。複数案件を同時に担当するマルチアサインのため、まとまった休みは取りにくい面があります。一方で夏季連続休暇、創業記念日(9月1日)、スキルアップ休暇など休暇制度自体は手厚く整備されています。
Q. 離職率は高いですか?
A. 単体の自己都合離職率は2023年度2.7%、2024年度4.2%、2025年度6.1%と上昇傾向にあります。会社も決算説明資料で、人員計画の未達要因として期中退職者の想定以上の増加を挙げています。ただし6.1%という水準自体はコンサルティング業界としては低い部類です。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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