デロイト トーマツFASの働き方|ディール型の繁閑差と部門別の実態
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FAS系ファームの働き方は、コンサルティングファームとは異なるリズムで動きます。プロジェクトが数カ月単位で進むコンサルティングに対し、M&Aのディールは締切が外部要因で決まり、山と谷がはっきり分かれます。本ページでは、デロイト トーマツのFA部門の働き方を、部門別の特性まで含めて整理します。
この記事のポイント
- ✓M&A・再生案件はディールの進行に応じて繁閑差が大きいのがFAS共通の特徴
- ✓公式に確認できる労働時間の手がかりは新卒年俸に含まれる月33時間のみなし残業
- ✓大手口コミサイトの公開集計値では、Big4系FASの残業は月45〜70時間程度とされることが多い
- ✓サービスライン(TS/V&M/CFA/T&R/F&CM)によって稼働の波の形が異なる
- ✓拠点は東京(丸の内・京橋)を中心に全国12都市に展開
ディール型の働き方とは
FAS系ファームの働き方を理解する鍵は、「締切が自分たちで決められない」という点にあります。M&Aの入札スケジュール、契約締結日、開示のタイミングなど、外部要因によって作業のピークが決まります。
コンサルティングとの構造的な違い
この構造の結果、FASの働き方は「平均すると激務ではないが、ピーク時は極端に忙しい」という形になりやすくなります。月平均の残業時間だけを見ても実態が掴みにくいのは、この波の大きさが理由です。
| 比較軸 | コンサルティング | FAS(ディール型) |
|---|---|---|
| 案件期間 | 3カ月〜1年程度が中心 | 数週間〜数カ月と短い案件も多い |
| 稼働の波 | フェーズごとに山が来る | 締切直前に鋭いピークが来る |
| 締切の決まり方 | クライアントとの合意で調整余地がある | 入札・契約日など外部要因で固定されやすい |
| 同時並行案件 | 1案件に専念することが多い | 複数案件を並行することがある |
| 谷の存在 | 案件間の谷は比較的短い | 案件終了後にまとまった谷が生じることがある |
業界一般の傾向を編集部が整理したものです。実際の働き方は部門・案件により異なります。
労働時間の目安をどう捉えるか
デロイト トーマツのFA部門は、残業時間や有給消化率を公式に開示していません。公開情報から労働時間を推し量る手がかりは限られます。
公式に確認できる唯一の手がかり
公式の新卒採用募集要項では、初年度基本年俸550万円に月33時間分の前払い残業が含まれると明記されています。これは想定される残業時間を直接示すものではありませんが、報酬設計上のひとつの基準として参考になります。超過分は別途支給される設計です。
公開集計値の水準感
大手口コミサイトの公開集計値では、Big4系FASの残業時間は月45〜70時間程度とされることが多く、幅を持って示されます。これは部門・職位・案件フェーズによる差が大きいためで、単一の数値で語りにくい領域です。
これらの数値は各社の公式開示ではなく、回答者の偏りや算出基準の違いを含みます。参考値として扱い、選考の場で配属予定部門の直近の稼働状況を確認することをおすすめします。
労働時間の集計値はいずれも公式開示ではありません。部門差・案件差が大きい点に留意が必要です。
サービスライン別の稼働イメージ
FA部門は部門ごとに扱う局面が異なるため、働き方の波の形も変わります。応募先を選ぶ際は、この違いを踏まえておくと入社後のギャップを減らせます。
| 部門 | 稼働の特徴 | ピークの要因 |
|---|---|---|
| M&Aトランザクションサービス(TS) | デューデリジェンス期間に集中 | DD期間が短期間に区切られる |
| バリュエーション&モデリング(V&M) | 評価基準日・報告期限に連動 | 決算期や取締役会日程 |
| コーポレート ファイナンシャルアドバイザリー(CFA) | ディール進行に長期間伴走 | 入札日・契約締結日 |
| ターンアラウンド&リストラクチャリング(T&R) | 常駐型・ハンズオン支援になりやすい | 再生計画の提出期限・金融機関協議 |
| フォレンジック&クライシスマネジメント(F&CM) | 有事対応のため突発的な稼働が発生 | 不祥事の発覚・調査委員会の日程 |
各部門の業務特性から編集部が整理した一般的な傾向であり、公式に示された稼働データではありません。
特に留意すべき2領域
ターンアラウンド&リストラクチャリング(T&R)は、クライアント先への常駐を伴うハンズオン支援になりやすく、物理的な拘束時間が長くなる傾向があります。一方で、企業の意思決定の中枢に入り込める経験値の高さは他に代えがたい要素です。
フォレンジック&クライシスマネジメント(F&CM)は、不祥事の発覚という予測不能なタイミングで案件が立ち上がります。緊急性の高い調査案件では、短期間に集中的な稼働が求められることがあります。
コンサルティング部門との比較
同一法人となったコンサルティング部門(旧DTC)と比較すると、働き方の性格の違いが見えてきます。
| 比較軸 | コンサルティング部門(旧DTC) | FA部門(旧DTFA) |
|---|---|---|
| 残業時間の目安 | 月65時間(公開集計値) | 非開示(Big4系FASは月45〜70時間程度とされる) |
| 有給消化率の目安 | 50%程度(公開集計値) | 非開示 |
| 稼働の波 | プロジェクトフェーズに連動 | ディールの締切に連動し波が鋭い |
| リモート | プロジェクト次第 | 案件・部門により異なる(T&Rは常駐型が多い) |
コンサルティング部門の数値は転職支援サービス等が公開している集計値をもとにした整理で、公式開示値ではありません。FA部門については信頼できる集計値が示されていないため非開示としています。
数値比較の限界
コンサルティング部門については残業月65時間・有給消化率50%程度という公開集計値がありますが、FA部門にはこれに相当する広く参照される数値が存在しません。母数の違いから、同じ土俵での比較は難しいのが実情です。
確実に言えるのは、両部門とも「配属される領域によって実態が大きく異なる」という点です。会社全体の平均像より、配属予定部門の実態を確認するほうが有用です。
勤務地と拠点
合同会社デロイト トーマツの公式会社案内によると、本社は東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディングで、東京(丸の内・京橋)を中心に、札幌、福島、郡山、前橋、名古屋、京都、大阪、広島、福岡、熊本、那覇に拠点が展開されています。
FA部門の新卒採用募集要項では、勤務地として東京、名古屋、大阪、広島、福岡ほかが挙げられ、転居を伴う異動(全国・海外を含む)の可能性も明記されています。M&A案件はクライアント本社所在地に左右されるため、出張を伴う働き方は前提として理解しておく必要があります。
クロスボーダー案件と海外勤務
デロイトのグローバルネットワークを活用したクロスボーダーM&Aや海外案件のデューデリジェンスに対応しているため、海外メンバーファームとの協働や時差を挟んだ稼働が発生することがあります。海外赴任の可能性も募集要項上は示されています。
英語力は必須要件とは限りませんが、扱える案件の幅に直結する要素です。
法人合併は働き方に影響するか
2025年12月1日に3法人が合併し「合同会社デロイト トーマツ」が発足しました。制度面では単一法人となったものの、働き方に直結する変化は現時点で公表されていません。
短期的には案件の性質が働き方を決める
労働時間や休暇制度は法人単位で統一される方向にあると考えられますが、実際の稼働を決めるのは案件の性質です。ディール型の繁閑差という構造そのものは、法人形態が変わっても変わりません。
むしろ注目すべきは、コンサルティング・リスクアドバイザリーの専門家と同一法人になったことで、案件の組成の仕方が変わる可能性がある点です。ディール実行からPMI、その後のリスク管理までを一貫して担う案件が増えれば、関与期間が長期化する可能性もあります。
選考時に確認しておきたい項目
- •配属予定部門の直近の平均的な稼働状況
- •常駐案件の割合とリモートワークの運用
- •みなし残業時間と超過分の取り扱い
- •案件と案件の間の期間(谷)の過ごし方
- •海外案件・出張の頻度
まとめ — 平均値より「波の形」を確認する
デロイト トーマツのFA部門の働き方は、月平均の残業時間という単一指標では捉えきれません。ディールの締切に連動した鋭いピークと、案件間の谷という波の形が特徴です。
働き方の柔軟性を最優先するのであれば、この繁閑差は負担になり得ます。一方で、集中的に働いて一つのディールを完遂する達成感や、短期間で密度の高い経験を積める点を評価する人にとっては適した環境です。
応募を検討する際は、会社全体の平均像ではなく、配属予定のサービスラインにおける稼働の実態を選考の場で具体的に確認することをおすすめします。
よくある質問
- Q. デロイト トーマツFASは激務ですか?
- A. 残業時間は公式に開示されていません。大手口コミサイトの公開集計値ではBig4系FASの残業は月45〜70時間程度とされることが多いものの、部門・案件フェーズによる差が非常に大きい領域です。ディールの締切に連動して鋭いピークが来る一方、案件間には谷が生じるという波の形が特徴です。
- Q. 労働時間について公式に分かることはありますか?
- A. 公式の新卒採用募集要項に、初年度基本年俸550万円に月33時間分の前払い残業が含まれると明記されています。超過分は別途支給される設計です。これは想定残業時間そのものではありませんが、報酬設計上の基準として参考になります。
- Q. 部門によって忙しさは違いますか?
- A. 違います。トランザクションサービスはデューデリジェンス期間に稼働が集中し、バリュエーション&モデリングは評価基準日や報告期限に連動します。ターンアラウンド&リストラクチャリングは常駐型のハンズオン支援になりやすく、フォレンジック&クライシスマネジメントは不祥事の発覚という予測不能なタイミングで案件が立ち上がります。
- Q. リモートワークはできますか?
- A. 全社的な方針は公表されていません。案件・部門により運用が異なり、特にターンアラウンド&リストラクチャリング領域はクライアント先への常駐を伴う支援が多いとされています。配属予定部門の運用を選考段階で確認することをおすすめします。
- Q. 勤務地はどこですか?
- A. 公式会社案内では、本社は東京都千代田区丸の内で、東京(丸の内・京橋)を中心に札幌、福島、郡山、前橋、名古屋、京都、大阪、広島、福岡、熊本、那覇に拠点が展開されています。FA部門の新卒募集要項では勤務地として東京・名古屋・大阪・広島・福岡ほかが挙げられ、全国・海外を含む転居を伴う異動の可能性も明記されています。
- Q. 法人合併で働き方は変わりましたか?
- A. 働き方に直結する変化は現時点で公表されていません。ディール型の繁閑差という構造は法人形態が変わっても変わらないと考えられます。ただし、ディール実行からPMI、リスク管理までを一貫して担う案件が増えれば、関与期間が長期化する可能性はあります。
SUPERVISED BY — 監修者
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監修者
辰本 明日加Asuka Tatsumoto
STRAND PARTNERS 代表取締役
慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

監修者
高辻 渚Nagisa Takatsuji
STRAND PARTNERS
米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。
本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。
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主な参照元
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