PwCアドバイザリーの働き方|公式データで見る制度とディール型の繁閑差
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FAS系ファームの働き方は、コンサルティングファームとは異なるリズムで動きます。ディールの締切は入札日や契約締結日といった外部要因で決まるため、山と谷がはっきり分かれるからです。一方でPwCアドバイザリーは、勤務時間や休暇制度を募集要項で具体的に開示しており、PwC Japanグループとしてもワークスタイルの数値を公表しています。本ページでは、公式データと業務特性の両面から働き方を整理します。
この記事のポイント
- ✓標準労働時間は1日7時間。新卒募集要項ではフレックスタイム(コアタイムなし)・リモートワークありと明記
- ✓PwC Japanグループの公表値ではリモートワーク率72%、年次有給休暇の平均取得日数16.9日
- ✓年次有給休暇は年20日付与(中途採用募集要項)。兼業・副業制度の利用者は732人
- ✓時間外勤務手当が支給される設計で、みなし残業を年俸に組み込み切る型ではない
- ✓残業時間そのものは公式非開示。チームによって稼働の波の形が大きく異なる
公式募集要項で確認できる労働条件
PwCアドバイザリーは、中途採用・新卒採用の双方で募集要項を公開しており、勤務時間や休暇制度を具体的に確認できます。残業時間そのものは公表されていませんが、制度面の輪郭は公式情報だけで描けます。
| 項目 | 公式募集要項の記載 |
|---|---|
| 標準労働時間 | 1日7時間 |
| 勤務時間制度 | フレックスタイム制(新卒募集要項および採用サイトではコアタイムなしと記載) |
| リモートワーク | あり(新卒募集要項に明記) |
| 勤務地 | 東京(プロジェクトによっては地方・海外の場合あり) |
| 休日 | 土・日曜、祝祭日、年末年始(12月29日〜1月3日)、統合記念日 |
| 年次有給休暇 | 年20日(中途採用募集要項) |
| その他の休暇 | 傷病/メディカル休暇、リフレッシュ休暇、慶弔休暇、試験休暇、公傷休暇、出産・育児・介護・看護休暇、ボランティア休暇 |
| 手当 | 時間外勤務手当、通勤手当(実費精算)、フレキシブルワーキング手当(月額5,000円)、出張手当など |
中途採用のRecruiting Infoページおよび新卒採用の募集要項に記載されている内容をもとに整理しました。中途採用ページにはコアタイム10:45-15:45との記載も見られるため、実際の運用は選考過程での確認をおすすめします。
標準労働時間1日7時間という設計
所定労働時間が1日8時間ではなく7時間に設定されている点は、労働条件を比較するうえで見落とされやすいポイントです。週5日勤務なら週35時間となり、8時間制の会社と比べて所定労働時間が短く設計されています。
同じ実働時間でも、所定を超えた分が時間外として扱われる境界が早く訪れる構造です。時間外勤務手当が支給される設計と組み合わせると、実働に対する報酬の反映は相対的にわかりやすくなります。
「フレキシブルワーキング手当」という項目
諸手当に月額5,000円のフレキシブルワーキング手当が明記されています。金額そのものは大きくありませんが、柔軟な働き方を前提とした制度設計が報酬項目にまで組み込まれている点は、公式に確認できる事実として押さえておく価値があります。
PwC Japanグループが公表するワークスタイルの数値
PwCアドバイザリー単体の労働時間データは公表されていません。ただし、PwC Japanグループのアニュアルレビュー2025には、グループ全体のワークスタイルに関する数値が掲載されています。
| 指標 | 2025年度の数値 | 備考 |
|---|---|---|
| リモートワーク率 | 72% | 50%以上の時間をリモートワークで勤務していると回答した人の割合 |
| 年次有給休暇 平均取得日数 | 16.9日 | グループ全体の平均 |
| 兼業・副業制度 利用者 | 732人 | 制度利用者数 |
| 育児介護休職制度 利用者 | 567人 | 制度利用者数 |
| 1人あたり平均研修受講時間 | 49.7時間 | 自己学習プログラム参加者は延べ3,436人 |
| 公募異動制度 | 応募225人/異動141人 | PwC Japan内での実績 |
| グローバルモビリティ | アウトバウンド142人/インバウンド38人 | PwCグローバルネットワーク内での異動実績 |
PwC Japanグループ アニュアルレビュー2025のFacts & Figuresに掲載されている数値です。約13,500人が在籍するグループ16法人全体の数値であり、PwCアドバイザリー単体の数値ではありません。
有給16.9日をどう読むか
中途採用の募集要項では年次有給休暇は年20日付与とされています。グループ平均の取得日数16.9日をこの付与日数と単純に比較すれば8割強にあたりますが、付与日数は勤続年数や入社時期によって異なるため、これを取得率として扱うことはできません。あくまで参考の目安です。
同じサイト内で扱っているPwCコンサルティングの記事では、公開集計値として有給消化率70%以上という数値を紹介しています。算出基準は異なりますが、いずれもBIG4の中では休暇を取得しやすい部類に位置づけられる傾向が読み取れます。
副業制度は「実際に使われている」
兼業・副業制度の利用者が732人と公表されている点は、制度の存在だけでなく運用実績が示されている珍しい例です。約13,500人のグループ全体に対する比率としては5%強にあたります。
ただしこれもグループ全体の数値であり、ディール案件を扱うPwCアドバイザリーで同水準の利用があるかは公表されていません。守秘性の高い案件を扱う組織では、副業の内容に一定の制約が生じる可能性があります。
本節の数値はいずれもPwC Japanグループ16法人全体の公表値です。PwCアドバイザリー単体の数値は公式非開示です。
ディール型の働き方という構造
制度が整っていても、ディールアドバイザリーの業務特性そのものが繁閑差を生みます。この構造を理解しないまま入社すると、制度と実感のギャップに戸惑うことになります。
コンサルティングとの構造的な違い
この構造の結果、ディール型の働き方は「平均すると極端ではないが、ピーク時は非常に忙しい」という形になりやすくなります。月平均の残業時間だけを見ても実態が掴みにくいのは、この波の大きさが理由です。
リモートワーク率72%という数値も、案件のピーク時にそのまま当てはまるとは限りません。クライアント先での作業やデータルームへのアクセス制約がある局面では、出社や常駐が必要になることがあります。
| 比較軸 | コンサルティング | ディールアドバイザリー |
|---|---|---|
| 案件期間 | 3カ月〜1年程度が中心 | 数週間〜数カ月と短い案件も多い |
| 稼働の波 | フェーズごとに山が来る | 締切直前に鋭いピークが来る |
| 締切の決まり方 | クライアントとの合意で調整余地がある | 入札日・契約締結日など外部要因で固定されやすい |
| 同時並行案件 | 1案件に専念することが多い | 複数案件を並行することがある |
| 谷の存在 | 案件間の谷は比較的短い | 案件終了後にまとまった谷が生じることがある |
業界一般の傾向を編集部が整理したものです。実際の働き方はチーム・案件により異なります。
チーム別の稼働イメージ
PwCアドバイザリーはチーム別採用のため、配属先によって働き方の波の形が変わります。応募先を選ぶ段階でこの違いを踏まえておくと、入社後のギャップを減らせます。
| チーム | 稼働の特徴 | ピークの要因 |
|---|---|---|
| トランザクションサービス【TS】 | デューデリジェンス期間に集中 | DD期間が短期間に区切られる |
| バリュエーション・モデリング | 評価基準日・報告期限に連動 | 決算期や取締役会の日程 |
| コーポレートファイナンス | ディール進行に長期間伴走 | 入札日・契約締結日 |
| ディールズ ストラテジー【DS】 | 戦略検討フェーズは比較的コンサル型 | 提案・意思決定会議の日程 |
| 事業再生【R】 | 常駐型・ハンズオン支援になりやすい | 再生計画の提出期限・金融機関協議 |
| デリバリー ディール バリュー【DDV】 | クロージング後のPMI期間に長期化しやすい | 統合作業のマイルストーン |
| インフラ・都市・不動産【IUR】 | 公共案件は年度サイクルの影響を受ける | 入札公告・年度末の報告期限 |
各チームの業務特性から編集部が整理した一般的な傾向であり、公式に示された稼働データではありません。
特に留意しておきたい2領域
事業再生(R)は、クライアント先への常駐を伴うハンズオン支援になりやすく、物理的な拘束時間が長くなる傾向があります。一方で、企業の意思決定の中枢に入り込める経験値の高さは他に代えがたい要素です。公式の職種一覧では海外事業再生の募集も確認でき、この場合は時差を伴う稼働も想定されます。
インフラ・都市・不動産(IUR)は、官公庁・公的機関に対するPFI・PPP事業のアドバイザリーを含みます。公共案件は年度予算のサイクルに連動するため、民間ディールとは異なる繁閑の波が生じます。年度末や入札公告の時期に稼働が上がる構造です。
残業時間の見方
PwCアドバイザリーは残業時間を公式に開示していません。数値を語る際には、その出所と限界を明示する必要があります。
公式に確認できる唯一の手がかり
新卒採用の募集要項では、標準年収額に「月30時間の時間外勤務手当含む(超過の場合は別途支給)」と記載されています。これは想定される残業時間を直接示すものではなく、あくまで報酬設計上の基準です。ただし、超過分が別途支給される設計であることは公式に確認できます。
同じBIG4系FASでも、デロイト トーマツのFA部門は新卒初年度基本年俸550万円に月33時間分の前払い残業を含む設計です。含まれる時間数は近いものの、名称と扱いは各社で異なります。
公開集計値の水準感
大手口コミサイトの公開集計値では、BIG4系FASの残業時間は月45〜70時間程度とされることが多く、幅を持って示されます。これはチーム・職位・案件フェーズによる差が大きいためで、単一の数値で語りにくい領域です。
これらの数値は公式開示ではなく、回答者の偏りや算出基準の違いを含みます。参考値として扱い、選考の場で配属予定チームの直近の稼働状況を確認することをおすすめします。
残業時間の集計値はいずれも公式開示ではありません。チーム差・案件差が大きい点に留意が必要です。
参考:コンサルティング各社の公開集計値
上記のコンサルティング各社の数値は同サイト内の各記事で紹介している公開集計値であり、公式開示値ではありません。算出基準も各社で異なるうえ、コンサルティングとディールアドバイザリーでは稼働の波の形そのものが異なるため、厳密な横並び比較には適しません。
- •PwCコンサルティング:月48時間(BIG4のコンサルティング法人では最短とされる)
- •KPMGコンサルティング:月50時間
- •EYストラテジー・アンド・コンサルティング:月52時間
- •デロイト トーマツ(コンサルティング部門):月65時間
- •PwCアドバイザリー:公式非開示(残業時間の開示なし)
勤務地と海外案件
公式の法人概要によれば、オフィスは東京(千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング)、大阪(グランフロント大阪 タワーA)、名古屋(JRセントラルタワーズ)の3拠点です。
- •中途採用の勤務地は東京。ただしプロジェクトによっては日本全国または海外の場合あり
- •大阪オフィス・名古屋オフィス専用の募集職種も職種一覧に掲載されている
- •新卒採用ページでは「海外オフィスと連携(時に出向・常駐)し、クロスボーダー案件の実務経験を積みたい」方を求める人物像として挙げている
- •グローバルモビリティ(海外派遣プログラム)は会社が選抜した職員を海外のPwCなどに派遣する制度として案内されている
クロスボーダー案件の位置づけ
PwCは2025年グローバルアニュアルレビューによれば136カ国・約364,000人のネットワークを持ちます。PwCアドバイザリーの採用サイトも、このグローバルネットワークと緊密に連携してサービスを提供すると説明しています。
海外拠点との連携が日常的に発生する環境では、時差を挟んだやり取りが稼働時間に影響します。海外案件の比率が高いチームを志望する場合は、この点を選考時に確認しておくとよいでしょう。
研修とキャリア形成の制度
働き方を考えるうえでは、稼働の重さだけでなく、その中でどれだけ成長機会が用意されているかも判断材料になります。PwCアドバイザリーは研修・異動の制度を公式に案内しています。
- •教育研修:コアスキル研修、専門研修、海外研修、英語プログラム(語学学校費用補助、短期留学プログラムなど)
- •150のカリキュラムから業界知識・専門知識を体系的に学べると公式に案内されている
- •新卒向けにはアドバイザリー独自研修「Edge Programme」が設けられている
- •ジョブローテーション(会社が戦略的人材育成を目的に全職員を対象に行う制度)
- •オープンエントリープログラム(職員自らが異動希望を出す社内公募型の異動支援制度)
- •グローバルモビリティ(選抜された職員を海外のPwCなどに派遣する制度)
- •資格取得支援制度、確定拠出年金、公認会計士企業年金基金、長期所得補償保険など
社内公募は実績が公表されている
PwC Japanグループのアニュアルレビュー2025によれば、PwC Japan内での公募異動制度の実績は応募者225人に対し実際の異動者141人です。制度が形骸化していないことを示す数値として参考になります。
ディールの専門性を深めたうえで隣接領域へ移る、あるいは海外派遣を狙うといったキャリアの選択肢が制度として用意されている点は、長期のキャリアを考えるうえでの判断材料になります。
まとめ — 制度は開示され、稼働は非開示
PwCアドバイザリーの働き方は、制度面の情報が比較的よく公開されている一方、残業時間などの稼働実態は公式に開示されていません。標準労働時間1日7時間、フレックスタイム、リモートワーク、年20日の有給付与、時間外勤務手当の支給といった条件は公式に確認できます。
ただし、ディールの締切は外部要因で決まるため、制度上の柔軟性がそのままピーク時の余裕につながるわけではありません。判断のうえで最も実務的なのは、配属予定チームの案件サイクルと直近の稼働状況を選考の場で具体的に確認することです。
よくある質問
- Q. PwCアドバイザリーの残業時間はどれくらいですか?
- A. 残業時間は公式に開示されていません。公式に確認できるのは、新卒の標準年収額に月30時間分の時間外勤務手当が含まれ、超過分は別途支給されるという記載のみです。大手口コミサイトの公開集計値ではBIG4系FASの残業は月45〜70時間程度とされることが多いものの、チーム差・案件差が大きい点に留意が必要です。
- Q. リモートワークはできますか?
- A. 新卒採用の募集要項には「リモートワーク:あり」と明記され、採用サイトでもリモートワークやコアなしフレックスタイムなどの制度を導入していると案内されています。PwC Japanグループ全体では、50%以上の時間をリモートで勤務していると回答した人の割合が72%と公表されています(2025年度)。
- Q. 有給休暇は取りやすいですか?
- A. 中途採用の募集要項では年次有給休暇は年20日付与とされ、PwC Japanグループ全体の平均取得日数は16.9日と公表されています(2025年度)。ただしこれはグループ16法人全体の数値で、PwCアドバイザリー単体の数値は公表されていません。ディール案件はピーク時に休暇を取りにくい局面がある点も考慮が必要です。
- Q. 副業はできますか?
- A. PwC Japanグループのアニュアルレビュー2025では、兼業・副業制度の利用者が732人と公表されています。制度が存在し実際に利用されていることは確認できますが、PwCアドバイザリー単体の利用状況や、守秘性の高い案件を扱ううえでの運用ルールは公表されていません。
- Q. どのチームが最も忙しいですか?
- A. チーム別の稼働データは公式に公表されていません。業務特性から一般に、常駐型のハンズオン支援になりやすい事業再生、デューデリジェンス期間に稼働が集中するトランザクションサービス、クロージング後の統合作業が長期化しやすいデリバリー ディール バリューは、ピーク時の負荷が高くなる傾向があると考えられます。
- Q. 勤務地は東京だけですか?
- A. オフィスは東京・大阪・名古屋の3拠点です。中途採用の勤務地は東京とされていますが、プロジェクトによっては日本全国または海外の場合があると明記されています。また職種一覧には大阪オフィス・名古屋オフィス専用の募集も掲載されています(2026年8月時点)。
SUPERVISED BY — 監修者
監修者一覧 ›
監修者
辰本 明日加Asuka Tatsumoto
STRAND PARTNERS 代表取締役
慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

監修者
高辻 渚Nagisa Takatsuji
STRAND PARTNERS
米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。
本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。
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主な参照元
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