タナベコンサルティングの年収|有価証券報告書で確認できる平均790万円の中身

最終更新:

コンサルティングファームの年収は公式開示が乏しく、比較が難しい領域です。タナベコンサルティンググループは東京証券取引所プライム市場に上場しているため、有価証券報告書で平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数を年度ごとに確認できます。ただし2022年10月に純粋持株会社体制へ移行した結果、開示されている数値は1つではありません。この記事では、どの数字がコンサルタントの実態に近いのかを、開示原文に沿って分解します。

この記事のポイント

  • ✓2026年3月期の平均年間給与は、持株会社と事業会社タナベコンサルティングの合算で790万5,357円(従業員441名・平均年齢38.5歳・平均勤続8.7年)。
  • ✓提出会社である純粋持株会社単体は750万5,069円(52名・39.3歳)だが、対象はコーポレート機能の従業員のみで、コンサルタントの水準を表さない。
  • ✓コンサルタントが在籍する事業会社・株式会社タナベコンサルティング単体は795万5,394円(389名・38.4歳)で、前年度比+4.2%。
  • ✓前期(2025年3月期)の合算値は759万7,744円で、1年で+4.0%の増加。連結売上高も+12.0%と伸びている。
  • ✓公式求人票(キャリア採用)の月給レンジは417,000〜709,000円(時間外手当84,000〜142,000円を含む)で、賞与は業績・個人成果に応じたインセンティブ。職位別の年収テーブルは公式には開示されていない。

有価証券報告書に開示された平均年間給与

タナベコンサルティンググループは東証プライム市場上場企業(証券コード9644)であり、毎年6月に有価証券報告書を提出しています。第64期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の有価証券報告書「従業員の状況」には、2026年3月31日現在の平均年間給与が会社単位で記載されています。

特徴的なのは、提出会社単体の数値だけでなく、事業会社との合算値、さらに最大人員会社であるグローウィン・パートナーズ株式会社の数値まで併記されている点です。これは同社が純粋持株会社であり、提出会社単体の従業員数が52名と少ないためで、有価証券報告書の注記でも「参考情報として合算情報を記載している」と説明されています。

対象会社従業員数平均年齢平均勤続年数平均年間給与対前期増減率
タナベコンサルティンググループ+タナベコンサルティング(合算)441人38.5歳8.7年7,905,357円+4.0%
株式会社タナベコンサルティング(事業会社)389人38.4歳8.8年7,955,394円+4.2%
株式会社タナベコンサルティンググループ(提出会社=持株会社)52人39.3歳8.0年7,505,069円+2.7%
グローウィン・パートナーズ株式会社(連結子会社)102人37.1歳3.6年7,812,849円+6.6%

出典:有価証券報告書 第64期(2026年3月期)「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等(2)従業員の状況」。2026年3月31日現在。平均年間給与は在籍する従業員に対して年間に支払った金額を基に算出されたもので、賞与および基準外賃金を含みます。

持株会社ベースと事業会社ベースで数字が違う理由

年収を調べる際に最も誤解が生じやすいのが、この点です。2022年10月、同社は会社分割により純粋持株会社体制へ移行し、経営コンサルティングの全事業を事業会社である株式会社タナベコンサルティングへ承継しました。その結果、有価証券報告書の「提出会社」は事業を行わない持株会社になっています。

有価証券報告書の注記では、連結従業員数843名のうち「コーポレート機能(経営コンサルティング事業以外)52名」が提出会社の従業員であると明記されています。つまり提出会社単体の平均年間給与750万5,069円は、コーポレート部門52名のみを対象とした数値です。コンサルタントの待遇を知りたい場合に参照すべき数字ではありません。

一方、事業会社である株式会社タナベコンサルティングの389名には、5領域のコンサルタントが含まれます。同社単体の平均年間給与795万5,394円(平均年齢38.4歳)が、コンサルタント職の実態に最も近い開示値だと考えられます。当サイトでは、比較可能性を優先して有価証券報告書が参考情報として掲げる合算値790万5,357円をプロフィールの代表値としつつ、記事内では3つの数値をすべて併記する方針を取っています。

従業員数の推移から見える構造変化

提出会社単体の従業員数は、持株会社移行前の第60期(2022年3月期)に388名でしたが、第61期(2023年3月期)には52名へ減少しています。これは人員削減ではなく、会社分割によって従業員が事業会社へ移ったことによるものです。有価証券報告書の注記でも「第61期以降の経営指標等は、第60期以前と比較して大きく変動している」と説明されています。

過去の年収推移を調べるときに、2022年3月期以前と2023年3月期以降の提出会社単体の数値を同じ線でつなぐと、実態を誤って読むことになります。比較する場合は、合算値または事業会社単体の数値を使ってください。

連結子会社の水準も開示されている

第64期の有価証券報告書には、最大人員会社としてグローウィン・パートナーズ株式会社(従業員102名)の平均年間給与781万2,849円も記載されています。同社は海外M&A全般やバックオフィス部門のBPR/DXを手がける連結子会社で、平均勤続年数は3.6年と、タナベコンサルティング本体の8.8年より短くなっています。グループ内でも会社によって在籍年数と報酬の構造が異なる点は、応募先を選ぶうえで押さえておきたい情報です。

2025年3月期から2026年3月期への推移

1年分の数字だけでは、水準が上昇傾向にあるのか横ばいなのかが判断できません。第63期(2025年3月期)の有価証券報告書と突き合わせると、合算ベースの平均年間給与は759万7,744円から790万5,357円へ、1年で30万7,613円(+4.0%)増加しています。

同じ期間に連結売上高は145億4,358万円から162億8,256万円へ+12.0%、営業利益は15億31万円から18億1,390万円へ+20.9%と伸びており、連結従業員数も711名から843名へ132名増加しています。人員を増やしながら1人あたりの平均給与も上げている構図です。

指標2025年3月期(第63期)2026年3月期(第64期)増減
平均年間給与(持株会社+事業会社の合算)7,597,744円7,905,357円+4.0%
対象従業員数(合算)430人441人+11人
平均年齢(合算)38.6歳38.5歳△0.1歳
提出会社(持株会社)単体の平均年間給与7,304,243円7,505,069円+2.7%
連結売上高145億4,358万円162億8,256万円+12.0%
連結従業員数711人843人+132人

出典:有価証券報告書 第63期(2025年3月期)および第64期(2026年3月期)。第63期の合算情報は「当社と主要な子会社である株式会社タナベコンサルティングの合算情報」として記載されています。

公式求人票の給与レンジと年収の組み立て

有価証券報告書の平均年間給与は「すでに在籍している従業員に実際に支払われた金額の平均」です。これに対し、転職時に提示される条件は募集要項の給与レンジで決まります。両者は別の指標なので、混同しないようにしてください。

同社が自社の採用管理システム上で公開しているキャリア採用のコンサルタント求人では、月給417,000円〜709,000円と提示されています。このうち84,000円〜142,000円は時間外手当(30時間分の固定支給)で、超過分は別途支給と明記されています。賃金形態は半期年俸制で、賞与は業績および個人の成果に応じたインセンティブとして支給される仕組みです。

職位別の年収テーブルは公式には開示されていません。したがって「マネージャーで何万円」といった職位別レンジを当サイトでは掲載していません。実際の提示額は、経験・専門領域・入社時の等級によって決まります。

項目公式求人票(キャリア採用・コンサルタント)の記載
月給417,000円〜709,000円
うち時間外手当84,000円〜142,000円(30時間分を固定支給、超過分は別途支給)
賃金形態半期年俸制
賞与業績・個人の成果に応じてインセンティブを支給
通勤手当規程に基づき支給(公共交通機関のみ)
新卒初任給(参考)大学卒 年俸4,212,000円(有価証券報告書・2026年3月期)

出典:企業公式の採用管理システム上の求人票(2026年9月13日確認)および有価証券報告書 第64期。求人票のレンジは募集条件であり、在籍者の支給実績や平均額ではありません。

給与・報酬の決定方針も開示されている

第64期の有価証券報告書には「給与・報酬の決定方針」という項目が置かれています。そこでは、外部競争力と内部公平性の両立を基本方針とし、給与・報酬を「役割・等級・専門性・成果・行動」の5要素を踏まえて構成していると説明されています。

また、短期的な売上だけでなく、顧客成果、チームでの価値創出、人材育成への貢献、コンプライアンスの遵守も総合的に評価へ反映すると記載されています。事業戦略上重要な専門領域については、市場水準や採用競争環境を勘案して報酬水準を見直すとされており、領域によって水準に差が生じうることが読み取れます。

新卒初任給についても、大学卒の初任給を年俸4,212,000円としていると有価証券報告書に明記されています。上場企業として初任給の金額まで開示しているファームは多くないため、給与体系の入口を確認する材料として使えます。

1人あたり売上高から報酬水準の背景を読む

平均年間給与の金額そのものだけを見ても、それが高いのか低いのかは判断できません。報酬は事業の生産性に支えられているため、1人あたりがどれだけの売上をつくっているかを併せて見ると、水準の背景が理解しやすくなります。

2026年3月期の連結売上高162億8,256万円を連結従業員数843名で割ると、1人あたり売上高はおよそ1,931万円です。同じ計算を2025年3月期(売上高145億4,358万円・従業員711名)に当てはめると約2,045万円となり、従業員数の増加ペースが売上の伸びを上回ったため、1人あたりの数値はやや低下しています。これは新規採用者や新たに連結された子会社の人員が期中に加わることによる影響を含みます。

ここで示した1人あたり売上高は、当サイトが有価証券報告書の開示値から単純計算したもので、会社が公式に開示している指標ではありません。あくまで水準を相対的に捉えるための参考値として扱ってください。なお売上総利益率は45.5%から48.9%へ改善しており、単価や案件構成の面では収益性が高まっていることが読み取れます。

同社は中期経営計画で2031年3月期に売上高250億円・従業員数1,250名を掲げています。この目標どおりに進んだ場合の1人あたり売上高は2,000万円となり、現在の水準から生産性を引き上げる計画であることがわかります。報酬水準の将来的な方向性を考えるうえでの材料になります。

男女の賃金差異という開示項目

女性活躍推進法に基づく開示として、労働者の男女の賃金の額の差異も有価証券報告書に記載されています。持株会社と事業会社の合算で、全労働者65.5%、正規雇用労働者67.2%、パート・有期労働者36.6%(男性を100としたときの女性賃金割合)です。

会社側の注記では、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合など、男女間に差異があることで1人あたり賃金に差が出ているが、賃金制度・体系において性別による処遇差はないと説明されています。なお女性管理職比率は38.6%、女性採用比率は40.0%と開示されており、コンサルティング業界としては女性比率が高い部類に入ります。グループ全体のDE&I比率は男性50.2%・女性49.8%です。

他社と比較するときの注意点

コンサルティングファームの年収比較でつまずきやすいのは、数字の出所が揃っていないことです。当サイトでは年収の出所を「有報開示」「公開集計値」「公開求人票」の3つに分類して明示しています。タナベコンサルティンググループの790万5,357円は有報開示、つまり実際の支給実績に基づく数値です。

一方、非上場ファームについて出回っている平均年収の多くは、大手口コミサイトの公開集計値や、募集要項の提示レンジをもとにした推計です。回答者の職位構成や回答数が不明なため、有報の数値と同じ精度で並べることはできません。比較表を作るときは、必ず出所の種類を揃えるか、揃えられない場合は出所をラベルとして併記してください。

また、同じ有報開示であっても、持株会社体制の企業では対象会社の範囲によって数値が変わります。タナベコンサルティンググループのように3つの数値が併記されている場合、どれを引用したかを明記しないと、比較そのものが成立しません。

平均年齢の違いにも注意が必要です。同社の合算値の平均年齢は38.5歳で、平均勤続年数は8.7年です。平均年齢が30歳前後のファームと平均年収を単純比較すると、年齢構成の差がそのまま金額差として表れてしまいます。年齢を揃えられない場合は、平均年齢を必ず併記したうえで解釈するのが最低限の作法です。

もうひとつ見落とされやすいのが、有価証券報告書の平均年間給与には賞与および基準外賃金(時間外手当等)が含まれている点です。同社の公式求人票では時間外手当30時間分が月給に固定支給として組み込まれているため、基本給だけを比較対象にしている他社の数値と並べると、実態以上の差に見えることがあります。オファーを受け取った際は、基本給・固定残業手当・賞与の内訳を分けて確認してください。

年収を比較する際は「有報開示か/どの会社単位か/どの決算期か/平均年齢は何歳か」の4点をセットで確認してください。タナベコンサルティンググループの場合は「2026年3月期・持株会社+事業会社の合算・790万5,357円・平均年齢38.5歳」が最小単位の表記になります。

よくある質問

Q. タナベコンサルティンググループの平均年収はいくらですか?
A. 有価証券報告書 第64期(2026年3月期)によれば、持株会社と事業会社である株式会社タナベコンサルティングの合算で790万5,357円です。対象は441名、平均年齢38.5歳、平均勤続年数8.7年で、前期比+4.0%となっています。
Q. コンサルタントの年収を知りたい場合、どの数字を見ればよいですか?
A. 事業会社である株式会社タナベコンサルティング単体の平均年間給与795万5,394円(389名・平均年齢38.4歳・平均勤続8.8年)が最も実態に近い開示値です。提出会社である持株会社単体の750万5,069円は、コーポレート機能の従業員52名のみを対象とした数値です。
Q. 職位別(コンサルタント/マネージャー等)の年収レンジは公開されていますか?
A. 公式には開示されていません。公開されているのは、有価証券報告書の平均年間給与と、公式求人票の月給レンジ417,000〜709,000円(時間外手当30時間分を含む)です。職位別のテーブルは推測になるため、当サイトでは掲載していません。
Q. 賞与はどのような仕組みですか?
A. 公式求人票では賃金形態を半期年俸制とし、賞与は業績および個人の成果に応じてインセンティブを支給すると記載されています。金額水準や支給月数は公式には開示されていません。
Q. 新卒の初任給はいくらですか?
A. 有価証券報告書 第64期に、大学卒の初任給を年俸4,212,000円としていると記載されています。同社は新卒初任給を将来のプロフェッショナル人材の確保・育成に向けた重要な投資と位置づけていると説明しています。
Q. 年収は上がっている傾向にありますか?
A. 合算ベースの平均年間給与は2025年3月期の759万7,744円から2026年3月期の790万5,357円へ+4.0%増加しました。同期間の連結売上高は+12.0%、連結従業員数は711名から843名へ増えています。ただし今後の水準を保証するものではありません。

SUPERVISED BY — 監修者

監修者一覧 ›
辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

タナベコンサルティンググループに関するその他の記事

関連する業界ガイド

コンサルティング業界へのキャリアに関するご相談はこちらから

ご相談・お問い合わせ ›

運営会社:ストランドパートナーズ株式会社

主な参照元

本ページは各社の公開情報をもとにコンサルペディア運営事務局が独自に編集したものであり、掲載企業による監修・提供を受けたものではありません。年収・残業時間・選考に関する情報は公開求人情報や口コミサイトの集計値をもとにした目安であり、実際の条件を保証するものではありません。内容の訂正が必要な場合はお問い合わせください。