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コンサルティングファームの種類と違い|10分類の特徴を主要59社で整理

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「コンサルティングファーム」とひと口に言っても、扱う課題も、クライアントも、働き方も、分類によって大きく異なります。本ガイドでは、2026年8月に調査した59社を10分類に整理し、それぞれの分類が何を担っているのかを解説します。あわせて、最も多く問われる「戦略系と総合系の違い」を独立した章で掘り下げ、さらに近年その境界が急速に曖昧になっている実態についても、都合よく単純化せずに扱います。分類表は2026年8月時点の主要59社を対象としています。9月に追加した5社は企業一覧から参照できます。ULSの年収情報は9月に更新しました。

この記事のポイント

  • ✓コンサルティングファームは一般に、戦略系/総合系/IT・デジタル系/シンクタンク系/独立系・新興/FAS/組織・人事系/事業再生系/医療・ヘルスケア/業務・業界特化の10分類で語られる
  • ✓分類を分けている本質は「案件の抽象度」と「実行にどこまで踏み込むか」の2軸であり、社名やブランドの格ではない
  • ✓戦略系と総合系の最大の違いは規模と実行への関与度。ただし総合系が戦略ブランド(Monitor Deloitte、EY-Parthenon、Strategy&)を擁し、戦略系がデジタル実装部隊(QuantumBlack、BCG X)を持つ今、境界は年々曖昧になっている
  • ✓同じファームが複数の分類で語られることは珍しくない。経営共創基盤(IGPI)は事業再生とハンズオン投資、ドリームインキュベータは戦略と投資というように、単一の箱に収まらないファームが増えている
  • ✓分類選びは優劣ではなく相性の問題。案件の抽象度・実行の深さ・クライアント層・キャリアの可搬性という4軸で見ると、自分に合う分類が絞り込みやすくなる

コンサルティングファームの10分類|全体像

コンサルティング業界には、業界団体が定めた公式の分類基準というものが存在しません。そのため媒体やファームによって呼び方には揺れがありますが、実務上はおおむね10前後の類型で語られるのが一般的です。当サイトでは、扱う課題の性質・クライアント層・提供の深さという観点から、調査対象の59社を次の10分類に整理しています。

重要なのは、この分類が「格付け」ではないという点です。戦略系が上でIT系が下、といった序列を意味するものではありません。分類はあくまで、そのファームがどのような課題に、どのような立ち位置で関わるのかを示すラベルです。同じ経営課題であっても、構想段階で関わるのか、制度設計で関わるのか、システム実装で関わるのかによって、必要とされる専門性はまったく違います。分類はその「関わり方の違い」を表しています。

10分類を大きくまとめ直すと、①経営課題の全体を扱う「総合型」(戦略系・総合系・シンクタンク系・独立系)と、②特定の機能や業界を深く扱う「専門特化型」(FAS・組織人事系・事業再生系・医療ヘルスケア系・業務業界特化系)、そして③その両者をテクノロジーの軸で貫く「IT・デジタル系」という3つの塊になります。

分類主な特徴代表的なファーム掲載社数
戦略系全社戦略・事業戦略・M&A戦略など、経営層の意思決定を支援。少数精鋭で外資系グローバルファームが中心マッキンゼー、BCG、ベイン、カーニー9社
総合系戦略立案から業務改革・IT導入・実行支援までを一気通貫で手がける大規模ファームアクセンチュア、BIG4系4社、アビーム、ベイカレント11社
IT・デジタル系IT戦略・DX推進からシステム導入・実装までテクノロジー起点で支援。急成長の新興ファームも多いフューチャー、キャップジェミニ、Dirbato、ノースサンド6社
シンクタンク系官公庁向けリサーチ・政策提言と民間向けコンサルティングを両輪とする。金融グループ系が多い野村総合研究所、三菱総合研究所、日本総合研究所5社
独立系・新興日本発の独立系ファームと近年急成長の新興ファーム。ハンズオン支援や戦略×実装の一体提供など独自スタイル船井総合研究所、ライズ、リブ・コンサルティング、グロービング8社
FAS・財務アドバイザリー系M&Aアドバイザリー、企業再生、バリュエーション、フォレンジックなど財務系の専門サービスデロイト トーマツ(FA部門)、PwCアドバイザリー、KPMG FAS3社
組織・人事系人事制度・報酬設計・組織開発・リーダーシップ開発に特化。外資系グローバルファームが中心マーサージャパン、コーン・フェリー、WTW4社
事業再生・ターンアラウンド系経営不振企業の再生、事業承継、再成長支援に特化。財務と事業の両面から企業を立て直す経営共創基盤(IGPI)、アリックスパートナーズ、フロンティア・マネジメント4社
医療・ヘルスケア系病院・クリニックの経営支援、製薬企業向け戦略・データ分析など医療領域に特化メディヴァ、IQVIA、GHC、KPMGヘルスケアジャパン4社
業務・業界特化系PMO特化、マーケティング特化、少数精鋭の戦略ブティックなど、特定の業務・業界に特化した専門家集団MSOL、電通コンサルティング、博報堂コンサルティング5社

表中の社数は2026年8月の調査対象数(合計59社)であり、日本国内に存在するファームの総数ではありません。分類は当サイトの整理方針にもとづくもので、ファーム自身が名乗る自己定義と一致しない場合があります。

総合型の4分類|戦略系・総合系・IT・デジタル系・シンクタンク系

まず、経営課題を幅広く扱う4つの分類から見ていきます。この4分類だけで主要59社のうち31社を占め、コンサルティング業界の中核をなしています。

戦略系コンサルティングファーム(9社)

全社戦略・事業戦略・M&A戦略といった、経営層の意思決定そのものを支援する分類です。「何をやるか」「どこで戦うか」という、企業活動の上流にある問いを扱います。プロジェクト期間は数週間から数か月と短く、チームは数名規模の少数精鋭で組まれるのが典型です。

外資系グローバルファームが中心で、なかでもマッキンゼー・BCG・ベインの3社は頭文字からMBBと総称され、業界内で独自の位置を占めています。一方で、日本発の独立系戦略ファームもこの分類に含まれます。1986年設立のコーポレイトディレクション(CDI)はBCG出身者が立ち上げた国内初期の独立系戦略ファームであり、ドリームインキュベータは戦略コンサルティングとベンチャー投資を組み合わせた事業創造モデルを取ります。「戦略系=外資」という単純な図式では捉えきれません。

ファーム系統特徴・強み
マッキンゼー・アンド・カンパニー米系1926年創業。東京オフィスは1971年開設。全社戦略・組織変革に加え、デジタル部門QuantumBlackを擁する
ボストン コンサルティング グループ米系1963年創業。1966年開設の東京オフィスは世界で2番目の拠点。デジタル組織BCG Xを含め国内5都市に展開
ベイン・アンド・カンパニー米系「結果主義」を掲げる。プライベート・エクイティ向けデューデリジェンスの草分けとして知られる
カーニー米系戦略とオペレーションの融合が強み。調達・サプライチェーン領域では世界的な評価を得ている
Strategy&(PwCネットワーク)米系/PwCネットワーク1914年創業のブーズを前身とし2014年にPwCへ統合。「戦略から実行まで」を旗印とする
ローランド・ベルガー欧州系欧州発では最大の戦略ファーム。日本では1991年開設のアジア初拠点が自動車・製造業支援で強い
アーサー・ディ・リトル米系1886年創業、世界最古とされるファーム。技術経営(MOT)・R&D戦略・イノベーション領域の草分け
ドリームインキュベータ日系(東証上場)戦略コンサルティングとベンチャー投資を両輪とする事業創造ファーム。産業プロデュースを掲げる
コーポレイトディレクション日系独立1986年設立。BCG出身者が立ち上げた国内初期の独立系戦略ファーム。長期伴走型のスタイルを貫く

ファーム名をクリックすると各社の詳細ページ(会社概要・強み・年収・働き方・評判)に移動します。

総合系コンサルティングファーム(11社)

戦略立案から業務改革、IT導入、そして導入後の定着支援までを一気通貫で提供する大規模ファームです。「何をやるか」を決めるだけでなく、「どうやるか」「本当に動かせるか」まで責任範囲に含まれる点が、戦略系との最も大きな違いになります。

顔ぶれは、世界最大級のアクセンチュア、監査法人を母体とするBIG4系4社(デロイト トーマツ、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング)、そしてアビームコンサルティングやベイカレントといった日系大手が中心です。近年は日立コンサルティング、リッジラインズ(富士通系)、フォーティエンスコンサルティング(NTTデータ系)のように、大手メーカー・SIerを親会社に持つファームの存在感も増しています。グループの実装力とコンサルティングを組み合わせられる点が、この系統の特徴です。

なお、デロイト トーマツは2025年12月にコンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリー・リスクアドバイザリーの3社が統合し、合同会社デロイト トーマツとなりました。分類の境界が制度面でも動いている一例です。

ファーム系統・資本特徴・強み
アクセンチュア外資系日本で2万人超の体制。ストラテジー&コンサルティング/テクノロジー/ソング/オペレーションズの4領域
デロイト トーマツ(コンサルティング部門)BIG4系戦略ブランドMonitor Deloitteを擁する。2025年12月に3社統合で合同会社デロイト トーマツへ
PwCコンサルティングBIG4系戦略(Strategy&)から業務・IT・リスクまで一体提供。官公庁案件にも強み
EYストラテジー・アンド・コンサルティングBIG4系戦略ブランドEY-Parthenonを擁し「Long-term value」を掲げる。国内体制を急拡大中
KPMGコンサルティングBIG4系ビジネストランスフォーメーションに加え、リスク・ガバナンス・サイバーセキュリティの層が厚い
アビームコンサルティング日系(NECグループ)連結約9,600名(2026年4月時点)。SAPをはじめとするERP導入で国内トップクラス。「リアルパートナー」を掲げる
ベイカレント日系(東証プライム)業界・機能で部門を分けないワンプール制が特徴。戦略からDX実行まで幅広く手がける
シグマクシス日系(東証プライム)2008年設立。コンサルティングにとどまらず事業投資やパートナーとの「共創」を掲げる
日立コンサルティング日系(日立製作所100%)日立グループの技術力・実装力と連携。社会インフラ領域の社会イノベーション案件も特徴
リッジラインズ日系(富士通100%)2020年設立。戦略・デザイン・テクノロジーを融合した「人起点(Human-Centric)」の変革支援
フォーティエンスコンサルティング日系(NTTデータグループ)旧クニエ。2025年10月に社名変更。製造業を中心とした業務・IT改革の上流工程に強み

IT・デジタル系コンサルティングファーム(6社)

テクノロジーを起点に、IT戦略・DX推進の構想策定からシステム導入・実装までを支援する分類です。総合系のテクノロジー部門と重なる領域も多いのですが、この分類のファームは「ベンダーではなくユーザー企業の側に立つ」ことを掲げているケースが目立ちます。ULSコンサルティング(旧ウルシステムズ)が「経営とITのギャップを埋める」を掲げるのはその典型です。

顔ぶれは多様です。1989年創業で日本初のITコンサルティングファームとされるフューチャー、世界50カ国以上に展開するキャップジェミニ、ITリサーチという独自のビジネスモデルを持つガートナージャパンといった老舗・大手がある一方、2018年創業のDirbato、2015年創業のノースサンドのように、創業10年前後で急成長を遂げた新興ファームがこの分類に多く含まれます。DX需要の拡大がそのまま新規参入の余地になっている、業界内でも最も動きの速い領域です。

ファーム系統特徴・強み
フューチャー日系(東証プライム)1989年創業、日本初のITコンサルティングファーム。「経営とITをデザインする」を掲げ設計・構築まで自社完結
キャップジェミニ外資系(フランス発)世界最大級のITサービス企業。日本法人は1,400名規模でDXの構想から運用までを支援
ガートナージャパン外資系(米国発)世界最大級のITリサーチ&アドバイザリ企業。「マジック・クアドラント」で知られCIO支援に特化
ULSコンサルティング日系(上場)2000年創業。ベンダーに依存しない中立的立場から、IT戦略・アーキテクチャ設計・PMOに特化
Dirbato(ディルバート)日系(新興)2018年創業。IT戦略の構想策定から実装・定着まで一気通貫。創業7年で急拡大した代表格
ノースサンド日系(新興)2015年創業。「スキルより人」を掲げる人材重視のカルチャー。創業10年で2,100名超へ成長

シンクタンク系ファーム(5社)

官公庁向けのリサーチ・政策提言と、民間企業向けコンサルティングを両輪とする分類です。他の分類と決定的に違うのは、クライアントに「国・自治体」が含まれる点です。エネルギー政策、社会保障、防災、地域交通といった社会課題を、単年度の政策調査として受託する仕事が事業の柱のひとつになります。

母体は金融グループや通信グループが中心です。野村證券系の野村総合研究所(NRI)、三菱グループの三菱総合研究所、MUFGの三菱UFJリサーチ&コンサルティング、SMBCグループの日本総合研究所、NTTデータグループのNTTデータ経営研究所という顔ぶれになります。このうちNRIと日本総合研究所は、グループの金融ITシステムを担うIT部門を社内に抱えており、社員構成の大半がコンサルタントではなくエンジニアという構造になっています。「シンクタンク系の年収」を語るときにこの構造を無視すると実態を見誤るため、注意が必要です。

ファーム母体特徴・強み
野村総合研究所(NRI)野村グループ1965年設立、日本初の本格的民間シンクタンク。連結約16,900人。コンサルとITソリューションの両輪
三菱総合研究所(MRI)三菱グループ1970年設立。官公庁向け政策研究で高いシェア。エネルギー・ヘルスケア・防災の知見が厚い
三菱UFJリサーチ&コンサルティングMUFGマクロ経済調査・政策研究に加え、中堅・大手企業向けの経営コンサルティングを幅広く展開
日本総合研究所(JRI)SMBCグループ調査部の政策提言、コンサルティング、金融ITの3機能を併せ持つ。インキュベーションにも取り組む
NTTデータ経営研究所NTTデータグループ1991年設立、約500名の少数精鋭。情報通信・デジタル領域の知見を強みに官公庁・民間の双方を支援

日系独立系・新興ファーム(8社)

外資系の日本法人でも、大手グループの子会社でもない、日本発の独立系ファームと、近年急成長している新興ファームをまとめた分類です。この分類は「共通の型」で括りにくく、むしろ各社が独自のポジションを取っていること自体が特徴といえます。

1970年創業の船井総合研究所は中堅・中小企業向けコンサルティングの最大手で、業種特化型コンサルタントによる月次支援というモデルを確立しました。山田コンサルティンググループは事業再生と事業承継に強く、税務・会計の専門家ネットワークと連携します。一方でグロービング(2021年設立)、LASINVA(2021年設立)、ストラテジーテック・コンサルティング(2019年設立)は、いずれも大手ファーム出身者が立ち上げた新興勢で、戦略とテクノロジー実装を一体で提供することを掲げています。ドルビックスコンサルティングは丸紅、という具合に、商社系という切り口の新設ファームも現れています。

この分類に共通するのは、大手のような分業体制ではなく、少人数で構想から実行まで担う場面が多いという点です。裁量の大きさと引き換えに、業務範囲の定義が曖昧になりやすいという性質もあわせ持ちます。

ファーム設立・資本特徴・強み
船井総合研究所1970年創業/東証プライム中堅・中小企業向けコンサルティングの最大手。業種特化型コンサルタントによる月次支援モデル
山田コンサルティンググループ1989年設立/東証プライム事業再生・事業承継に強み。税務会計系の専門家ネットワークと連携した財務×事業の一体支援
ライズ・コンサルティング・グループ2010年設立/東証グロース「Produce Next」を掲げる。ハンズオン型と実行成果重視のスタイルで高い成長率を維持
リブ・コンサルティング2012年設立/東証グロース中堅・ベンチャー企業の成長支援に特化。営業・マーケティング改革やモビリティ領域に強い
グロービング2021年設立アクセンチュア出身者らが設立。戦略立案とAI・テクノロジー実装を一体提供する「End to End」型
ストラテジーテック・コンサルティング2019年設立戦略×テクノロジーを掲げる新興ファーム。DXコンサルティング・SaaS・地方創生の3事業を展開
LASINVA(ラシンバ)2021年設立BCG出身者が設立。「現場ドリブン」を掲げ、経営・ITコンサルティングから開発支援までを一体提供
ドルビックスコンサルティング2020年設立/丸紅グループ総合商社の事業知見とネットワークを活かし、戦略立案から実行までの伴走支援を提供

独立系・新興という分類は、資本関係と成り立ちに着目した整理です。提供するサービス内容で見れば総合系やIT・デジタル系と重なる部分が大きい点に留意してください。

専門特化型の5分類|FAS・組織人事・事業再生・医療・業界特化

ここからは、特定の機能や業界に絞って深く関わる5つの分類を見ていきます。総合型のファームが「経営課題の全体」を守備範囲とするのに対し、専門特化型は守備範囲を意図的に狭める代わりに、その領域では総合型が持ち得ない深度と専門資格・データ基盤を備えています。

FAS・財務アドバイザリー系(3社)

M&Aアドバイザリー、財務・ビジネスデューデリジェンス、バリュエーション、フォレンジック(不正調査)といった、財務系の専門サービスを提供する分類です。BIG4はいずれも、コンサルティング会社とは別法人としてFAS部隊を抱えており、当サイトが掲載する3社もすべてBIG4系にあたります。

コンサルティングとの最大の違いは、案件の時間軸です。ディールにはクロージングという明確な締切があり、そこに向けて短期集中で作業が積み上がります。また、会計・税務・法務の知識が前提として求められる場面が多く、公認会計士をはじめとする有資格者の比率が高いのもこの分類の特徴です。

ファーム系統特徴・強み
デロイト トーマツ(ファイナンシャルアドバイザリー部門)BIG4系旧DTFA。M&A・企業再生・フォレンジックをフルラインで提供する国内最大級のFAS部隊。2025年12月に合同会社デロイト トーマツへ統合
PwCアドバイザリーBIG4系ディールの構想段階からデューデリジェンス、PMI、事業再生まで一貫支援。クロスボーダー案件に強み
KPMG FASBIG4系2001年設立。戦略策定からトランザクション実行、ポストディールまでをワンストップで支援

組織・人事系コンサルティングファーム(4社)

人事制度・報酬設計・組織開発・リーダーシップ開発といった、人と組織の領域に特化した分類です。掲載4社はいずれも外資系グローバルファームで、報酬サーベイや職務評価の方法論など、グローバルで蓄積されたデータベースと手法を武器にしています。コーン・フェリーが持つ旧ヘイグループの職務評価手法は、その代表例です。

この分類が扱うのは、経営戦略そのものではなく「戦略を実行できる組織になっているか」という問いです。M&A後の人事統合、役員報酬制度の設計、退職給付制度の見直しなど、制度と法規に踏み込む専門性が求められます。マーサージャパンやWTWのように、人事コンサルティングと年金・保険ブローキングを併営するファームが多いのも、この領域ならではの構造です。

ファーム系統特徴・強み
マーサージャパン外資系(Marsh McLennanグループ)世界最大級の組織・人事ファーム。人事制度・報酬設計から年金、M&A人事デューデリジェンスまで包括支援
コーン・フェリー外資系旧ヘイグループの職務評価・報酬方法論が強み。組織戦略からリーダーシップ開発、エグゼクティブサーチまで
WTW(ウイリス・タワーズワトソン)外資系人事コンサルティングと保険ブローキングを両輪とする。日本では役員報酬・人事制度設計に強い
エーオンソリューションズ ジャパン外資系旧エーオンヒューイット系。報酬・退職給付制度の設計、ウェルビーイング、人事デューデリジェンスを手がける

事業再生・ターンアラウンド系ファーム(4社)

経営不振に陥った企業の再生、事業承継、再成長支援に特化した分類です。財務のリストラクチャリングと事業そのものの立て直しを同時に進める必要があるため、財務と事業の両輪の知見が求められます。

この分類を特徴づけるのは、助言にとどまらない関与の深さです。経営共創基盤(IGPI)は産業再生機構のメンバーが設立したファームで、自ら投資して経営に入り込むハンズオン型を最大の特徴としています。リヴァンプはファーストリテイリング出身者が創業し、経営人材の派遣まで踏み込みます。アリックスパートナーズは「When it really matters」を掲げ、経営危機という難易度の高い局面での即応的な実行支援を専門とします。いずれも、報告書を提出して終わりという仕事の形とは対極にあります。

ファーム系統特徴・強み
経営共創基盤(IGPI)日系産業再生機構メンバーが2007年に設立。自ら投資し経営に入り込むハンズオン型支援。地方交通の再生実績も持つ
アリックスパートナーズ米系企業再生・ターンアラウンドで世界的に知られる。経営危機や難易度の高い変革局面での即応的な実行支援
フロンティア・マネジメント日系(東証プライム)産業再生機構出身者が設立。経営コンサルティング・M&Aアドバイザリー・事業再生を一体提供する独自モデル
リヴァンプ日系ファーストリテイリング出身者が2005年創業。経営人材の派遣やITの実装まで踏み込み、小売・外食・消費財に強い

医療・ヘルスケア系コンサルティングファーム(4社)

病院・クリニックの経営支援、製薬企業向けの戦略・データ分析など、医療・ヘルスケア領域に特化した分類です。この領域は診療報酬制度をはじめとする規制の影響が極めて大きく、制度理解そのものが専門性になります。一般的な経営理論だけでは成立しない、独立した知の体系を持つ分類といえます。

アプローチは各社で大きく異なります。GHCはDPCデータなど医療ビッグデータのベンチマーク分析を武器とし、メディヴァはコンサルティングと医療機関の実運営を両輪とします。IQVIAは医薬品市場データとテクノロジーを基盤に製薬企業を支援し、KPMGヘルスケアジャパンは医療・介護分野のM&Aやファイナンス、官民連携に軸足を置きます。同じ「医療・ヘルスケア」でも、病院を見ているのか製薬企業を見ているのかで仕事の中身は別物です。

ファーム主なクライアント特徴・強み
メディヴァ病院・クリニック・自治体2000年設立。「患者視点の医療改革」を掲げ、経営改善から運営受託まで提言にとどまらない実行支援
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン急性期病院2004年設立。DPCデータのベンチマーク分析を武器に、約700病院への実行支援型コンサルティング実績
IQVIA製薬・ヘルスケア企業世界100カ国以上に展開。医薬品市場データとテクノロジー、コンサルティング、CRO事業を組み合わせる
KPMGヘルスケアジャパン医療・介護・ライフサイエンス2000年設立のKPMGジャパン専門会社。戦略アドバイザリーとM&A・事業再生の双方を手がける

業務・業界特化系コンサルティングファーム(5社)

特定の業務機能、あるいは特定の業界に絞ってサービスを展開する分類です。10分類のなかで最も多様性が高く、性格の異なるファームが同居しています。

業務特化の代表がMSOL(マネジメントソリューションズ)で、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)という職能に絞り、大規模プロジェクトの実行支援を主力としています。業界・機能特化としては、製薬・ヘルスケア業界のセールス&マーケティング領域に特化したZSアソシエイツ、広告会社を母体にブランド・マーケティング戦略を扱う電通コンサルティングと博報堂コンサルティングが挙げられます。フィールドマネージメントは少数精鋭の戦略ブティックで、経営者に長期伴走するスタイルとスポーツビジネス支援の実績で知られます。

ファーム特化領域特徴・強み
マネジメントソリューションズ(MSOL)PMO・プロジェクトマネジメント2005年設立、東証プライム上場。グループ1,800名超の体制で大規模プロジェクトの完遂を支える
ZSアソシエイツ製薬・ヘルスケアの営業/マーケティング1983年に米ケロッグ経営大学院の教授2名が創業。データとアナリティクスを武器とするグローバルファーム
電通コンサルティングブランド・マーケティング戦略電通グループ100%出資。ロジカルな問題解決力とクリエイティブな発想力の融合を掲げる
博報堂コンサルティングブランド戦略2001年に博報堂から独立。生活者発想を軸にしたブランド戦略の立案から実行までを支援
フィールドマネージメント経営者伴走・事業プロデュース2009年にマッキンゼー出身者が設立した少数精鋭の戦略ブティック。スポーツ・エンタメ領域の実績でも知られる

戦略系と総合系はどう違うのか

コンサルティングファームの分類について最も多く問われるのが、この2つの違いです。両者は扱うテーマが重なるうえ、近年は互いの領域に踏み込み合っているため、外から見ると区別がつきにくくなっています。ここでは構造的な違いを整理します。

結論から言えば、両者を分けているのは「案件の抽象度」と「実行にどこまで踏み込むか」、そしてその結果としての「組織規模」です。戦略系は経営層の意思決定という一点に資源を集中させるため、少人数・短期間・高単価というモデルを取ります。総合系は決めた後の業務設計・システム導入・定着支援まで担うため、必然的に大人数・長期間の体制になります。この違いが、案件の性質から評価のされ方、キャリアの積み上がり方まで、ほぼすべてを規定しています。

比較軸戦略系総合系
主な相談相手経営層(CEO・事業本部長)経営層から部門長・現場責任者まで
扱う問い何をやるか/どこで戦うか(What・Where)何をやるか+どう実現するか(What+How)
案件期間数週間〜数か月が中心数か月〜数年に及ぶことも多い
チーム規模数名の少数精鋭数十名〜数百名規模のプロジェクトもある
実行への関与構想・意思決定が中心(近年は実行支援も拡大)業務設計・システム導入・定着支援まで含む
国内の組織規模数百名規模のファームが中心数千名〜2万名超(アクセンチュアは日本で2万人超)
求められる力の重心論理構成力・仮説思考・経営者との対話上記に加え、業務知識・IT知識・大規模チームの推進力
身につく資産業界を問わず使える汎用的な思考の型特定領域(業務・IT・インダストリー)の実装知見

上記は各分類の一般的な傾向であり、個々のファーム・プロジェクトによって実態は異なります。

報酬水準と稼働の違い

報酬水準にも構造的な差があります。戦略系のMBB3社は、マッキンゼーが約1,639万円、BCGが約1,399万円、ベインが約1,338万円とされ、業界でも最上位に位置します。一方、総合系はデロイト トーマツが約950万円、PwCコンサルティングが約1,000万円、アクセンチュアが約866万円(平均年齢33歳前後)といった水準が示されています。

ただし、この差をそのまま「戦略系のほうが儲かる」と読むのは早計です。総合系は平均年齢が若く母数も桁違いに大きいため、平均値は若手層に強く引っ張られます。実際、日系総合系のベイカレントは平均年収1,349万円と、MBBに迫る水準を示しています。分類の違いよりも、各社の職位構成・評価制度・母集団のほうが数字への影響は大きいと考えるべきです。

稼働面では、マッキンゼーが月約77.4時間、BCGが月約62.8時間とされ、負荷は相応に高い水準にあります(いずれも大手口コミサイトの公開集計値による目安)。総合系はプロジェクトと部門による差が大きく、ベイカレントのように月20時間程度まで改善したとされるファームがある一方、BIG4系では月65時間とするデータもあります。分類ではなく個社・案件で見るべき領域です。

どちらが「上」ということはない

採用競争率や報酬水準から戦略系を上位に置く見方は根強くありますが、仕事の価値という観点では両者に序列はありません。戦略の提言がどれほど鋭くても、実装され現場が動かなければ企業は変わりません。逆に、実装力があっても向かう方向が誤っていれば資源を浪費します。両者は代替関係ではなく補完関係にあり、実際に総合系ファームが戦略系ファームの提言を受けて実行フェーズを担う、という分業も日常的に起きています。

選ぶ側にとって意味があるのは、優劣ではなく「自分が価値を感じる関わり方はどちらか」という問いです。答えを出す瞬間に立ち会いたいのか、答えが形になる過程に立ち会いたいのか。ここは適性の問題であり、正解はありません。

分類は絶対ではない|境界が曖昧になっている実態

ここまで10分類で整理してきましたが、この分類が現実をきれいに切り分けられているかというと、正直なところそうではありません。むしろ近年、境界は急速に曖昧になっています。分類を実際の判断材料として使うなら、この点を理解しておく必要があります。

総合系が戦略を、戦略系が実行を手がけている

総合系ファームは、いずれも戦略専門ブランドを内部に抱えています。デロイト トーマツのMonitor Deloitte、EYのEY-Parthenon、PwCネットワークのStrategy&がそれにあたります。とりわけStrategy&は、当サイトでも総合系ではなく戦略系に分類しているとおり、実態としては純粋な戦略ファームです。つまり総合系ファームの内側に、戦略系ファームが存在している構造になっています。

逆方向の動きも同時に進んでいます。マッキンゼーはQuantumBlack、BCGはBCG Xというデジタル実装部隊を擁し、提言だけでなくデータ分析基盤やプロダクトの構築まで手がけます。ベインも「結果主義」の名のもと、実行支援まで踏み込むスタイルを取ります。戦略系=提言のみ、という理解はすでに実態と合いません。

同じファームが複数の分類で語られる

個々のファームを見ても、単一の箱に収まらない例は数多くあります。経営共創基盤(IGPI)は事業再生系に分類していますが、実際には戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー、投資・ハンズオン経営支援を併せ持ち、戦略系・FAS・投資会社のいずれとしても語り得ます。山田コンサルティンググループは独立系に分類していますが、事業再生と事業承継を主戦場としており、事業再生系として扱っても違和感はありません。

ZSアソシエイツは業務・業界特化系としていますが、扱う領域は製薬・ヘルスケアであり、医療・ヘルスケア系との重なりが大きいファームです。ドリームインキュベータとコーポレイトディレクションは、日本発の独立系でありながら仕事の中身は戦略コンサルティングであるため、戦略系に分類しています。当サイトの分類は「主たる事業の重心がどこにあるか」で判断していますが、別の切り口を取れば別の分類になり得るという性質のものです。

分類はファームを理解するための入口であって、ファームの正体そのものではありません。分類で当たりをつけたら、必ず各社の事業構成・案件事例・組織構造まで確認することをおすすめします。

資本関係と組織再編が分類を動かす

分類は固定的なものではなく、組織再編によって現実に動きます。デロイト トーマツは2025年12月にコンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリー・リスクアドバイザリーの3社を統合し、合同会社デロイト トーマツとなりました。従来「総合系」と「FAS」に分かれていた組織が、法人としては一体になったことになります。

社名変更も相次いでいます。クニエは2025年10月にフォーティエンスコンサルティングへ、ウルシステムズは同じく2025年10月にULSコンサルティングへ社名を変更しました。リヴァンプは2024年1月にフューチャーと経営統合しています。分類の議論をするときは、いつ時点の情報かを確認することが欠かせません。

分類別に見る働き方・年収の傾向

分類ごとの傾向を、当サイトが各社ページで扱っている公開情報から整理します。ただし前提として重要なのは、コンサルティング業界では年収の開示状況が極めて不均一だという点です。上場企業は有価証券報告書で平均年間給与を開示しますが、外資系ファームや非上場の日系ファームには開示義務がありません。そのため、同じ表に並ぶ数字であっても、根拠の性質はそれぞれ異なります。

以下の表は、分類ごとの「相場観」を掴むための参考としてご覧ください。個社ごとの詳細は各社ページで、出典と注記つきで整理しています。

分類間の平均値の差は、報酬制度の差だけでなく、平均年齢・職位構成・開示範囲(全社平均かコンサルタント職のみか)の差を強く反映しています。NRIや日本総合研究所のように社員の大半がエンジニアであるファームでは、全社平均と「コンサルタントの年収」は別物です。

分類年収水準の目安(当サイト掲載社の例)働き方の傾向
戦略系マッキンゼー約1,639万円、BCG約1,399万円、ベイン約1,338万円。業界最上位のレンジマッキンゼー約77.4時間、BCG約62.8時間とされる(公開集計値の目安)。短期集中型の案件が連続する
総合系デロイト トーマツ約950万円、PwCコンサルティング約1,000万円、アクセンチュア約866万円(平均年齢33歳前後)、ベイカレント1,349万円(有報)プロジェクト・部門による差が大きい。ベイカレントは月20時間程度まで改善、BIG4系では月65時間とするデータもある
IT・デジタル系ガートナー約1,466万円、キャップジェミニ約801万円、フューチャー約795万円(有報)、ULS1,005万円(公式求人掲載の平均・2026年3月時点。有報値ではない)、ノースサンド約689万円平均年齢が若いファームが多く、同年代比較では高水準。ノースサンドは月約20時間との公表値がある
シンクタンク系NRI 1,332万円、三菱総研1,082万円(いずれも有報開示)。MURC・日本総研は非開示官公庁案件は年度スケジュールに沿って繁閑がはっきりする。三菱総研は残業月14時間前後とされる
独立系・新興山田コンサル975万円、ライズ約1,108万円(いずれも有価証券報告書)。リブ・コンサルティングは決算説明資料の国内コンサル職平均が約980万円(有報Ⅰの部の全社平均は812.6万円)。ドルビックス約945万円は非上場のため公式開示ではなく大手口コミサイトの公開集計値少人数で構想から実行まで担う場面が多く、裁量が大きい一方で業務範囲は広くなりやすい
FAS公式に確認できるのは新卒水準が中心(KPMG FAS 基本年俸600万円〜、PwCアドバイザリー 学士684万円、デロイト トーマツ旧DTFA 550万円)ディールのクロージング前後に負荷が集中する。締切が外部要因で決まる
組織・人事系マーサージャパン約1,001万円が業界内の参照点。コーン・フェリー・WTW・エーオンは非開示制度改定や報酬サーベイのサイクルに沿った繁忙の波がある
事業再生系アリックスパートナーズ約1,500万〜1,800万円、フロンティア・マネジメント約1,171万円(有報)、IGPI約1,000万〜1,200万円危機対応案件は短期集中・常駐型になりやすい。アリックスパートナーズは残業月65時間程度とする数字がある
医療・ヘルスケアGHCの公開求人レンジは400万〜1,000万円、メディヴァのコンサルタント系は年俸360万〜700万円台医療機関の現場に入る支援が多く、クライアントの業務時間に合わせた稼働になりやすい
業務・業界特化MSOL 702万円(有報・平均年齢37.4歳)。電通コンサルティング・博報堂コンサルティングは非開示PMO常駐型は稼働が読みやすい反面、クライアント先勤務が基本になる

数値は出典の性質が混在しています。有価証券報告書ベース(開示義務にもとづく実数)、公式採用ページの提示レンジ、大手口コミサイトの公開集計値(回答者の職位構成に左右される参考値)がそれぞれ含まれます。単純比較には適さないため、必ず各社ページで出典と注記をご確認ください。2026年8月時点の情報です。

自分に合う分類の選び方|4つの軸

分類に優劣はない以上、選ぶ基準は「どれが優れているか」ではなく「自分が価値を出せる・納得できる関わり方はどれか」になります。ここでは、分類を絞り込むための4つの軸を提示します。この4軸に自分の答えを置いてみると、10分類のうち検討に値するのは通常2〜3分類に収束します。

1軸1:案件の抽象度|「決める」に立ち会いたいか、「動かす」に立ち会いたいか

経営層とともに方向性そのものを定める仕事に魅力を感じるなら、戦略系やシンクタンク系の政策提言領域が候補になります。逆に、決まった方向を実際に動くものへ変えていく過程に手応えを感じるなら、総合系・IT・デジタル系・業務特化系が向きます。抽象度の高い仕事は成果が見えるまでの時間が長く、手触りが乏しいと感じる人もいます。どちらが快適かは、これまでの仕事で最も充実した瞬間を思い出すと判断しやすくなります。

2軸2:実行の深さ|提言で終えるか、経営に入り込むか

同じ「実行支援」でも深さには段階があります。提言と実行計画の策定まで(戦略系)、システム導入と定着まで(総合系・IT系)、常駐してプロジェクトを回しきる(業務特化系)、そして経営人材として送り込まれる・自ら投資する(事業再生系・独立系の一部)。深く入るほど成果への責任は重くなり、同時に働き方も企業の内部に近づきます。第三者としての客観性を保ちたいのか、当事者になりたいのか。この選好は分類選びに直結します。

3軸3:クライアント層|誰の課題を解きたいか

グローバル大企業の経営課題(戦略系・総合系)、中堅・中小企業やベンチャーの成長(船井総合研究所・リブ・コンサルティングなど独立系)、国や自治体の政策(シンクタンク系)、投資ファンドとディール(FAS・戦略系のPE支援)、医療機関や製薬企業(医療・ヘルスケア系)。クライアントが変われば、意思決定のスピードも、予算感も、成果の測り方もまったく異なります。中堅企業の経営者と直接向き合いたい人にとって、大企業の一部門と数か月かけて合意形成する仕事は必ずしも魅力的ではありません。ここは相性の問題です。

4軸4:キャリアの可搬性|次に持ち出せる資産は何か

戦略系で得られるのは、業界を問わず使える思考の型と経営者との対話経験です。総合系・IT系では、特定領域の実装知見とプロジェクト推進力が積み上がります。FAS・組織人事系・医療ヘルスケア系といった専門特化型では、資格・制度知識・データ分析といった代替されにくい専門性が資産になります。汎用性の高い資産は転用先が広い一方で差別化しにくく、専門性の高い資産は転用先が限られる代わりに深く効きます。どちらの資産を厚くしたいかで、選ぶべき分類は変わります。

  • •4軸の答えが定まらないうちは、分類ではなく個社の案件事例を先に読むほうが早い場合があります。実際の仕事の中身を見てから逆算するアプローチです。
  • •分類をまたぐ移動は珍しくありません。総合系から戦略系へ、戦略系から事業再生系へ、といった経路は実際に存在します。最初の選択が一生を決めるわけではない点も踏まえて検討してください。
  • •当サイトでは主要59社それぞれについて、会社概要・強み・年収・転職/選考・働き方・評判を個別ページにまとめています。気になる分類が絞れたら、上の各表からファーム名をたどってご確認ください。

よくある質問

Q. コンサルティングファームの種類は何種類ありますか?
A. 業界団体が定めた公式の分類基準は存在しないため、媒体やファームによって呼び方には揺れがあります。当サイトでは、戦略系・総合系・IT・デジタル系・シンクタンク系・独立系/新興・FAS・組織人事系・事業再生系・医療ヘルスケア系・業務/業界特化系の10分類で整理し、調査対象の59社を割り当てています。大きく捉えると、経営課題の全体を扱う総合型(4分類)、特定機能や業界を深く扱う専門特化型(5分類)、テクノロジー起点のIT・デジタル系という3つの塊に集約できます。
Q. 戦略系と総合系はどちらが上位なのですか?
A. 上下関係はありません。両者を分けているのは「案件の抽象度」と「実行にどこまで踏み込むか」であり、仕事の価値としては補完関係にあります。戦略の提言も実装されなければ企業は変わらず、実装力も向かう方向が誤っていれば資源を浪費します。実際、総合系ファームが戦略系ファームの提言を受けて実行フェーズを担う分業も日常的に起きています。判断すべきは優劣ではなく、答えを出す瞬間に立ち会いたいのか、答えが形になる過程に立ち会いたいのか、という適性の問題です。
Q. BIG4系ファームはどの分類に含まれますか?
A. BIG4系は複数の分類にまたがります。当サイトでは、デロイト トーマツ(コンサルティング部門)・PwCコンサルティング・EYストラテジー・アンド・コンサルティング・KPMGコンサルティングの4社を総合系に、デロイト トーマツ(ファイナンシャルアドバイザリー部門)・PwCアドバイザリー・KPMG FASの3社をFASに分類しています。加えてStrategy&は戦略系、KPMGヘルスケアジャパンは医療・ヘルスケア系です。つまりBIG4は、ひとつのネットワークの中に総合系・FAS・戦略系・業界特化の各機能を法人単位で持っている構造になります。
Q. シンクタンク系は他の分類と何が違いますか?
A. 最大の違いは、クライアントに国や自治体が含まれる点です。エネルギー政策、社会保障、防災、地域交通といった社会課題を政策調査として受託する仕事が事業の柱のひとつになっており、この点は他の分類にはない特徴です。もうひとつの違いは組織構造で、野村総合研究所(NRI)や日本総合研究所はグループの金融ITシステムを担うIT部門を社内に抱えているため、社員の大半がコンサルタントではなくエンジニアです。そのため「シンクタンク系の平均年収」は全社平均であり、コンサルタント職の水準とは性質が異なります。
Q. FASや組織人事系のような専門特化型は、総合系ファームの中の同名部門と何が違いますか?
A. 扱うテーマ自体は重なりますが、組織としての重心が違います。専門特化型はその領域が事業の全体であるため、方法論・データベース・有資格者の蓄積がその一点に集中します。組織・人事系のコーン・フェリーが持つ旧ヘイグループの職務評価手法や、医療・ヘルスケア系のGHCが持つDPCデータのベンチマーク分析基盤は、その典型です。一方、総合系の中の部門は、他部門と連携して経営課題の全体をまとめて引き受けられる点が強みになります。深さを取るか、つながりの広さを取るかの違いと捉えるとわかりやすくなります。
Q. 同じファームが複数の分類で語られることがあるのはなぜですか?
A. 多くのファームが単一の事業だけで成り立っていないためです。たとえば経営共創基盤(IGPI)は、戦略コンサルティング・事業再生・M&Aアドバイザリー・投資による経営参画を併せ持ちます。山田コンサルティンググループは日系独立系でありながら事業再生と事業承継が主戦場で、ZSアソシエイツは業務特化型でありながら対象業界は製薬・ヘルスケアです。当サイトの分類は「主たる事業の重心がどこにあるか」で判断していますが、別の切り口を取れば別の分類になり得ます。分類はファームを理解する入口として使い、最終的には各社の事業構成や案件事例まで確認することをおすすめします。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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