アルバレス・アンド・マーサルの働き方|公式に分かることと分からないこと

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働き方を判断するための情報は、A&Mの日本法人についてはきわめて限られています。残業時間、リモートワークの可否、勤務時間制度は公式サイト・公式採用サイトの求人のいずれにも記載がなく、福利厚生も具体的な制度内容の記載がありません(2026年9月13日確認)。本記事では、確認できない項目を推測で埋めることはせず、公式に確認できる社風・拠点体制・組織フェーズを整理したうえで、入社前に自分で確かめるべき論点を提示します。

この記事のポイント

  • ✓A&M日本法人の残業時間・リモート可否・勤務時間制度は公式サイトにも公式求人にも記載がなく、福利厚生も一般的な言及にとどまり具体的な制度内容の記載がない(2026年9月13日確認・東京勤務15件)
  • ✓公式に確認できるのは6つのコアバリュー:誠実さ/品質/客観性/楽しさ(Fun)/やりがい(Personal Reward)/包摂性・多様性
  • ✓拠点は東京・大阪の2カ所で、両オフィスの住所は公式サイトの日本拠点ページに掲載されている(東京:丸の内ビルディング28階/大阪:Signature Grand Green Center 7階)。公式に開示されていないのは各拠点の人員規模
  • ✓2025年10月に14名で開設し、年間100名程度・5年で500名を目標とする拡大フェーズにある
  • ✓トランザクション・サービス職は日本語能力試験N2相当以上、日本での就業・就学経験、日本在住または転居可能であることが要件

前提:働き方の条件はほとんど公式開示がない

A&Mの日本での働き方を調べるにあたり、まず押さえるべき事実があります。同社は勤務条件を公式に開示していません。日本法人であるAlvarez&Marsal Japan合同会社は非上場で、有価証券報告書やサステナビリティ関連の開示書類による情報公開の仕組みがありません。

採用の窓口である公式採用サイトの求人も同様です。2026年9月13日時点で公開されている東京勤務の求人15件をすべて確認しましたが、記載されているのは業務内容、必要なスキル・資格、必要な職務経験年数のみでした。勤務時間、休日、残業の目安、リモートワークの可否に触れた求人はありません。福利厚生については、税務職の求人に「個人としての成長を支援する福利厚生とリソースを提供しています」という一般的な記述があるものの、具体的な制度内容は示されていません。

当サイトでは、これらの項目について推定値を掲載しません。「一般的な外資系コンサルティングファームでは……」という一般論で埋めることも、読者の判断を誤らせる可能性があるため避けます。以下では、公式に確認できる情報だけを積み上げます。

項目公式開示の有無確認できる内容
平均残業時間開示なし公式サイト・公式求人ともに記載なし
リモートワーク可否開示なし在宅勤務・ハイブリッド勤務に関する記載なし
勤務時間制度開示なし裁量労働制・フレックスなどの記載なし
休日・休暇開示なし年間休日・有給取得率などの記載なし
福利厚生具体的内容は開示なし税務職の求人に一般的な言及のみ。日本法人向けの制度説明ページは確認できず
勤務地開示あり東京・大阪の2拠点の住所を公式サイトの日本拠点ページに掲載(東京:丸の内ビルディング28階/大阪:Signature Grand Green Center 7階)。人員規模は非開示
コアバリュー開示あり誠実さ/品質/客観性/楽しさ/やりがい/包摂性・多様性の6つ
日本語・居住要件開示ありJLPT N2相当以上、日本での就業・就学経験、日本在住または転居可能であること

A&M公式サイト、公式採用サイトの東京勤務求人15件、および国税庁法人番号公表サイトを2026年9月13日に確認した結果です。今後の開示状況により内容は変わります。

公式に掲げられている6つのコアバリュー

働き方そのものは非開示でも、組織が何を重視しているかは公式に示されています。A&Mはすべての求人の末尾に「Culture & Values」のセクションを設け、6つのコアバリューを掲げています。日本語版の求人では「誠実さ」「品質」「客観性」「楽しさ」「やりがい」「包摂性・多様性」と訳されています。

原語では Integrity、Quality、Objectivity、Fun、Personal Reward、Inclusive Diversity です。プロフェッショナルファームのバリューとしては、Fun(楽しさ)と Personal Reward(やりがい)が明示されている点が特徴的です。

「客観性」が意味するもの

6つのうち Objectivity(客観性)は、A&Mのビジネスモデルと直結しています。同社は監査部門を持たず、監査の独立性に起因する利益相反から自由な立場を差別化要因として公式に掲げています。日本進出時のプレスリリースでも、共同創業者兼共同CEOのブライアン・マーサル氏が「監査上の独立性に縛られない立場から、多様で成果重視の価値を日本のクライアントに提供していく」と述べています。

これは働き方にも影響します。助言にとどまらず、暫定的な経営ポジションに就いて執行に踏み込む案件が成立しうるということです。公式サイトの沿革では、同社のコンサルタントを「アドバイザー、暫定的なリーダー、そしてパートナーとして働く」存在と説明し、「クライアントが聞きたいことではなく、知るべきことを伝える」という姿勢を紹介しています。

求人原文から読み取れる期待値

求人の Culture & Values セクションには、「早い段階からオーナーシップを持つことを信頼する」「腕まくりをして取り組む準備のある人にとって、ここが出発点になる」といった表現が使われています。役割の線引きが細かく定義された環境というよりは、自分で範囲を広げていくことを前提とした組織像が示されています。

税務職の日本語求人では、A&Mのカルチャーとして「協調的な環境と没頭できる仕事」が従業員にとっての最大の魅力であると説明されています。また人材育成について、研修プログラムと現場での実務経験を通じてスキルを習得させ、成果主義の文化を育むという方針が記載されています。

拠点と勤務地

A&Mは2025年10月16日に東京・大阪の2拠点を同時に開設しました。公式プレスリリースによれば、開設時の14名のうち、デロイトおよびPwC出身のスタッフが東京・大阪それぞれのオフィスに配置されています。

東京オフィスの住所は、公式サイトの日本拠点ページに「28th Floor, Marunouchi Building, 4-1, Marunouchi 2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 100-6328」と掲載されています。国税庁法人番号公表サイトで確認できるAlvarez&Marsal Japan合同会社(法人番号7010403035247)の登記上の所在地も同じ東京都千代田区丸の内2丁目4番1号 丸の内ビルディング28階です(最終更新 令和7年12月24日)。東京駅至近の立地であり、クライアント訪問の利便性は高い環境といえます。

大阪拠点の位置づけ

大阪オフィスの住所は公式サイトの日本拠点ページに掲載されています(Signature Grand Green Center 7階、グラングリーン大阪 ゲートタワー サウスビル、大阪市北区大深町5-54)。一方で大阪拠点の人員規模は公式に開示されていません。2026年9月13日時点で公開されている求人はいずれも東京勤務であり、大阪勤務の募集は確認できませんでした。

関西圏での勤務を希望する場合は、選考過程で大阪拠点の体制や配属の可能性を直接確認する必要があります。公開情報からは判断できない領域です。

グローバルとの接点

A&Mは公式サイトの日本拠点ページで、40カ国・90拠点超・1万1,500名超の体制を説明しています(沿革ページ「Our History」は39カ国・80拠点超・1万人超と記載しており、公式サイト内でも数字に幅があります)。日本の求人でも、トランザクション・アドバイザリーグループは「米国およびグローバル」の事業部門として位置づけられており、日本単独で完結する組織構造ではありません。

2025年10月16日の日本語プレスリリースは、税務部門を統括する須藤一郎氏について「アジア全域に広がるA&Mの税務専門家ネットワークの一員として日本における税務専門家チームを率います」と紹介しています。また税務職の求人原文にも、A&Mのトランザクションアドバイザリグループ、プライベートエクイティパフォーマンス向上グループと密接に協働する旨が記載されています。時差をまたいだやり取りが日常的に発生する可能性は、働き方を考えるうえで織り込んでおくべき要素です。

案件の性質から見た働き方の輪郭

残業時間が非開示であっても、現在日本で募集されている職種がどのような仕事かは公式求人から具体的に分かります。仕事の性質は、働き方を推し量るうえで最も確実な手がかりです。

  • •財務デューデリジェンス(FDD)はM&Aのスケジュールに従属する業務であり、ディール進行中は期限が外部要因で決まる。案件の山谷が生じやすい性質を持つ
  • •マネージャー職の求人には「プロジェクトスケジュールの管理やレビューによる品質向上、クライアントとの円滑なコミュニケーション」「プロジェクト遂行とジュニアメンバーの育成・指導を両立する」と記載されており、実務と育成の両立が求められる
  • •ディレクター職は「複数の案件の同時管理、または大規模プロジェクト(例:8名以上)を主導し、収益性とクライアントリレーションを両立させる」と明記されている
  • •税務職では税務コンプライアンス業務(申告書の作成・レビュー・提出)が含まれ、税務申告の時期による繁閑が想定される

シニア主導のチーム編成という特徴

A&Mは日本進出時のプレスリリースで「シニアメンバー主導のクライアント対応体制」を掲げています。Global TAG日本代表の野中大作氏は、深い業界知見、オペレーショナル・エクセレンス、そしてシニアメンバー主導の体制を通じて高付加価値のソリューションを提供すると述べています。

大人数のピラミッドを組んで作業量で押す体制ではなく、経験豊富なメンバーが直接クライアントに向き合う構造です。一人あたりの担当範囲が広くなりやすい反面、上位者との距離が近く、意思決定の過程を間近で見られる環境ともいえます。

「実行支援」への言及

同社公式サイトに掲載された記事で、野中氏は「当社の強みは分析や仮説構築だけでなく、現場での実行支援を提供できる点にある」と述べています。また、会計・税務・コーポレートファイナンスの専門家に加え、経営経験を持つCEO・CFO・工場長クラスを採用していく方針も示されています。

実行支援型の案件が増えれば、クライアント先に常駐して業務を推進する働き方の比重が高まる可能性があります。ただし現時点の日本の募集職種は財務・税務のアドバイザリーが中心であり、この方針がどの程度実現しているかは公開情報からは分かりません。

立ち上げ期の組織で働くということ

A&M Japanの働き方を考えるうえで避けて通れないのが、組織フェーズです。2025年10月16日に14名で開設され、同社公式サイト掲載の記事によれば2025年12月時点でも20名弱。そこから年間100名程度を採用し、5年以内に500名を目指すとされています。

この数字が意味するのは、毎年組織の構成が大きく変わり続けるということです。制度も、案件の型も、育成の仕組みも、拡大に合わせて作り替えられていきます。

時点公式に確認できる状況
2025年10月16日東京・大阪の2拠点を開設。MD6名を含む14名でスタート
2025年11月19日東京で進出記念イベントを開催。共同創業者兼共同CEOのブライアン・マーサル氏が来日
2025年12月時点20名弱の体制(同社公式サイト掲載記事)。進出後3件のクロスボーダー案件を受任
2026年9月1日阿曽勇一郎氏がMD兼コーポレート・ファイナンス部門共同責任者に就任
2026年9月8日自動車業界グループを新設、山田マーク裕二郎氏をグループリーダーに任命
目標年間100名程度の採用、5年以内に500名体制、日本での年間売上高1億米ドル

A&M公式プレスリリースおよび公式サイト掲載記事から編集部が整理(2026年9月13日確認)。目標は同社が公表した計画値であり、実績値ではありません。

型がないことの両面

既存の大手ファームであれば、研修体系、ナレッジの蓄積、過去案件のテンプレート、評価運用の前例がそろっています。A&M Japanはこれらを現在進行形で構築している段階です。

自分の裁量で仕事の進め方を決められること、組織の仕組みづくりに関与できることは、キャリアの幅を広げる機会になります。一方で、手本がない状態で成果を求められるストレスや、判断の拠り所が少ないことによる負荷も同時に発生します。どちらを重く見るかは、個人の志向によって分かれます。

採用体制そのものも整備中

2026年7月には、東京勤務のタレントアクイジション(採用)職の求人が公開されています。採用機能そのものを内製で立ち上げている段階にあることが、この求人からも読み取れます。

採用ペースが計画どおりに進むかどうかは、入社後の業務負荷に直結します。年間100名という計画に対して実際の増員がどの程度進んでいるかは、選考過程で確認する価値のある論点です。

入社前に確認しておきたい質問

勤務条件が非開示である以上、情報は自分で取りにいくしかありません。以下は、公開情報で埋まらない空白を埋めるための具体的な質問項目です。

本記事に記載した内容は2026年9月13日時点で公式に確認できたものです。開示されていない項目については推測を記載していません。最新の状況は同社の公式サイト・公式採用サイトでご確認ください。

1直近の稼働実態を聞く

平均残業時間が開示されていないため、「直近3カ月で配属予定チームの標準的な稼働がどの程度だったか」を具体的に尋ねます。繁忙期と閑散期の差、ディール進行中の稼働の山も含めて確認します。

2勤務場所の運用を確認する

リモートワークの可否は公式に開示されていません。オフィス出社の頻度、クライアント先常駐の有無、案件ごとの運用差を確認します。東京・大阪のどちらに配属されるのかも含めて聞いておきます。

3チーム構成と一人あたりの担当量を聞く

シニア主導の少人数体制であるため、自分の下にどの程度のメンバーがつくのか、同時に何件の案件を担当するのかで負荷が大きく変わります。現在の配属予定チームの人数構成を確認します。

4評価と昇進の運用を確認する

立ち上げ期であるため運用実績が限られます。評価サイクル、評価者、昇進の判断が日本側で完結するのかグローバル側の承認を要するのかを確認しておくと、入社後の見通しが立ちます。

5福利厚生・休暇制度を個別に確認する

日本法人向けの制度説明は公開されていません。年間休日、有給休暇の付与日数と取得実績、各種手当、健康保険組合などを、オファー前に書面で確認することをおすすめします。

よくある質問

Q. A&M日本法人の残業時間はどのくらいですか?
A. 公式には開示されていません。公式サイトにも、2026年9月13日時点で公開されている東京勤務の求人15件にも、残業時間や勤務時間制度に関する記載はありません。当サイトでは推定値を掲載していないため、選考過程で配属予定チームの稼働実態を確認することをおすすめします。
Q. リモートワークはできますか?
A. 公式に開示されていません。公式求人には在宅勤務やハイブリッド勤務に関する記載がありません。案件やクライアントの方針によって運用が異なる可能性があるため、選考過程で確認が必要です。
Q. A&Mはどのような社風ですか?
A. 公式には6つのコアバリューが掲げられています。誠実さ、品質、客観性、楽しさ(Fun)、やりがい(Personal Reward)、包摂性・多様性です。求人には「早い段階からオーナーシップを持つことを信頼する」「腕まくりをして取り組む準備のある人にとっての出発点」といった表現が使われており、起業家精神を重視する組織像が示されています。
Q. 勤務地はどこですか?
A. 東京と大阪の2拠点です。登記上の所在地は東京都千代田区丸の内2丁目4番1号 丸の内ビルディング28階(国税庁法人番号公表サイト、最終更新 令和7年12月24日)。ただし2026年9月13日時点の公開求人はいずれも東京勤務で、大阪勤務の募集は確認できていません。
Q. 日本語が話せなくても働けますか?
A. 現在公開されているトランザクション・サービス職の求人では、日本語能力試験N2相当以上の日本語スキルと、日本での勤務経験または就学経験が一定期間以上あることが要件とされています。また日本在住であるか、海外在住でも日本へ転居可能であることが条件です。
Q. 立ち上げ期の組織で働くことのリスクは何ですか?
A. 研修体系、ナレッジの蓄積、評価・昇進の運用実績が限られる点です。A&M Japanは2025年10月に14名で開設され、年間100名程度・5年で500名という拡大計画を掲げています。裁量と組織づくりへの関与という機会がある一方、手本がない状態での成果創出が求められる環境です。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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