事業再生系評判・実績

アルバレス・アンド・マーサルの評判は?グローバル実績と日本での実態を分けて読む

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アルバレス・アンド・マーサル(Alvarez & Marsal、以下A&M)の評判を調べるときに最も重要なのは、「グローバルのA&M」と「日本のA&M Japan」を混ぜないことです。前者は1983年創業、公式サイトの日本拠点ページによれば40カ国・90拠点超に1万1,500名超を擁し、リーマン・ブラザーズの清算を主導した世界的な事業再生ファーム。後者は2025年10月16日に14名で立ち上がった、まだ1年に満たない組織です。本記事では両者を明確に分けたうえで、公式情報から確認できる評価の根拠と、まだ判断材料が存在しない領域を整理します。

この記事のポイント

  • ✓グローバルのA&Mは1983年創業、社員3名から40カ国・90拠点超・1万1,500名超へ拡大(公式サイトの日本拠点ページ。沿革ページ「Our History」は39カ国・80拠点超・1万人超と記載しており、公式サイト内でも数字に幅がある)。世界最大級の非上場プロフェッショナルファームのひとつと自社説明している
  • ✓2008年のリーマン・ブラザーズ破綻でグローバルな清算を主導。米国史上最大の倒産案件は2012年に債権者への返済を開始した
  • ✓クライアント基盤はフォーチュン・グローバル500(フォーチュン100の半数超)、FTSE100、S&P500、世界のSIFI(システム上重要な金融機関)30行のうち21行に及ぶと公式サイトに記載
  • ✓日本進出は2025年10月16日で、開設時は東京・大阪2拠点・14名(うちMD6名)。2025年12月時点でも20名弱の規模
  • ✓日本の事業再生・業績改善機能は構築途上。2026年9月8日の公式発表では、自動車業界グループの新設が「ターンアラウンド機能を広く構築するための第一歩」と説明されている
  • ✓日本での評価に関する定量的な指標(顧客満足度、離職率、従業員評価など)は公式に開示されていない

評判を読むときの前提

A&Mについて語られる「評判」は、そのほとんどが米国・欧州での実績にもとづくものです。日本法人が正式に事業を開始したのは2025年10月16日であり、本記事の執筆時点(2026年9月)で稼働期間は1年に届いていません。

この時間差を踏まえずに情報を読むと、判断を誤ります。たとえば「リーマン・ブラザーズの清算を担ったファーム」という事実は正しいものの、それは2008年の米国での出来事であり、日本オフィスの体制や案件とは直接つながりません。以下では、確認できる事実をグローバルと日本に分けて整理します。

グローバルでの評価を支える実績

A&Mの公式サイト「Our History」には、創業から現在までの節目が記載されています。同社が事業再生の分野で評価を確立していった経緯が、年表として確認できます。

年公式サイトに記載された出来事
1983年トニー・アルバレス2世とブライアン・マーサルが創業。社員3名でスタート
1999年米国で全国規模のリストラクチャリングファームへ転換する方針を決定
2001年欧州でターンアラウンド/リストラクチャリング部門を立ち上げ
2002年米国主要都市とカナダへ再生業務を拡大
2003年サーベンス・オクスリー法の成立を契機に、業績改善・ビジネスアドバイザリー部門を新設
2005年トランザクション・アドバイザリーおよびプライベート・エクイティ・サービス部門を設立
2008年リーマン・ブラザーズの破綻に際し、グローバルな清算業務を主導する役割に選出。金融機関向けアドバイザリー部門を新設
2012年リーマン・ブラザーズが米国史上最大の倒産手続から脱し、債権者への返済を開始
2017年北欧市場へ進出
2018年パリで新体制を発足しクロスボーダーM&A体制を強化。ケイマン諸島にも開設

A&M公式サイト「Our History」の記載内容から編集部が整理(2026年9月13日確認)。

創業者の出自

公式の人物紹介ページによれば、トニー・アルバレス2世はA&M創業前にクーパース・アンド・ライブランドで12年、ノートン・サイモンで2年を過ごしています。ブライアン・マーサルはシティバンクで7年、同じくノートン・サイモンで2年のキャリアを持ちます。会計・金融の実務と事業会社の内側の両方を知る2人が組んだことが、同社の「オペレーション起点」というスタイルの出発点になっています。

公式サイトでは同社のスタイルを「厳しい問いを投げかけ、よく聞き、深く掘り下げ、自ら手を汚すこと」と表現し、コンサルタントが「アドバイザー、暫定的なリーダー、そしてパートナー」として関わると説明しています。

クライアント基盤の広さ

公式サイトには、クライアントとして米国大手法律事務所(AmLaw 100)、フォーチュン・グローバル500企業(フォーチュン100の半数超を含む)、多数のプライベート・エクイティファーム、FTSE100、S&P500、そして世界のSIFI(システム上重要な金融機関)30行のうち21行が挙げられています。

主要サービスラインは、企業業績改善、プライベート・エクイティ・サービス、事業再生・ターンアラウンド、税務、係争・調査、バリュエーション、規制・リスクアドバイザリーです。事業再生だけの単機能ファームではなく、財務・税務・係争まで含む総合型のプロフェッショナルファームとして事業を展開しています。

地域別の再生部門体制

公式の事業再生ページでは、アジア太平洋、インド、中東、欧州、中南米、北米それぞれにマネージング・ディレクターの責任者が置かれていることが示されています。「当社が事業を行うすべての地域に再生の体制を持つ」という表現で、地理的な網羅性が強調されています。

2026年に入ってからも、インドでターンアラウンド・リストラクチャリング体制強化のためのマネージング・ディレクター採用(7月31日)、イタリアでのシニア2名採用(7月3日)が公式に発表されており、再生機能への投資は現在も続いています。

「監査部門を持たない」ことの意味

A&Mが自社を語るときに繰り返し使う言葉が「チャレンジャー・コンサルタンシー」です。BIG4に代表される既存の大手と何が違うのかという問いに対する、同社の公式な回答が監査部門を持たないという構造です。

監査法人系のファームは、監査クライアントに対して独立性の観点から提供できないサービスがあります。とくに経営執行に直接関与する役割は、監査人の独立性と衝突するため引き受けられません。A&Mにはこの制約がありません。

公式に語られている差別化

日本進出時のプレスリリースで、共同創業者兼共同CEOのブライアン・マーサル氏は「当社のグローバルな連携体制とローカルな専門性を融合し、監査上の独立性に縛られない立場から、多様で成果重視の価値を日本のクライアントに提供していく」と述べています。

Global TAGのグローバル・プラクティスリーダーであり日本事業を統括するポール・アヴェルサーノ氏も、「日本のコンサルティング業界では再編が進んでおり、A&Mのような従来の方法に囚われないビジネスモデルが、クライアントの多様なニーズに応える存在として求められている」と説明しています。

日本市場での意味合い

日本の大手コンサルティング市場は、デロイト トーマツ、PwC、EY、KPMGの4系列が大きな位置を占めてきました。これらはいずれも監査法人を母体とするグループです。A&Mが「監査からの自由」を掲げて参入したのは、この構造への挑戦という意味を持ちます。

ただし、この差別化が日本市場で実際にどれだけの成果につながっているかを示す客観的なデータは、現時点では公開されていません。同社公式サイト掲載の記事では、進出後にクロスボーダー案件3件を受任したことが述べられていますが(2025年12月時点)、これ以上の案件実績は公表されていません。

日本での評判はまだ形成途上

日本におけるA&Mの評価は、判断材料そのものがまだ蓄積されていません。公式に確認できる事実を時系列で並べると、組織がどの段階にあるかが明確になります。

  • •2025年10月16日:東京・大阪の2拠点を開設。MD6名を含む14名でスタート。MD6名の前職はデロイトが4名、EYが2名で、あわせてデロイトおよびPwCでの経験を持つスタッフが東京・大阪の両オフィスに加わった
  • •2025年11月19日:東京で進出記念イベントを開催。共同創業者兼共同CEOのブライアン・マーサル氏が来日し、現地の経済界関係者が参加
  • •2025年12月時点:20名弱の体制。進出以降クロスボーダー案件3件を受任(同社公式サイト掲載記事)
  • •2026年9月1日:阿曽勇一郎氏がMD兼コーポレート・ファイナンス部門共同責任者に就任
  • •2026年9月8日:日本に自動車業界グループを新設。山田マーク裕二郎氏をグループリーダーに任命

事業再生機能はこれから

2026年9月8日の公式プレスリリースには、日本の現状を示す重要な記述があります。「A&M Japanは2025年10月にトランザクション・アドバイザリーと税務の機能で立ち上がった。自動車業界グループは、A&Mが世界で知られる業績改善およびターンアラウンド機能をより広く構築するための第一歩である」というものです。

同社の看板である事業再生・業績改善が、日本ではまだ本格稼働していないことを同社自身が明言しています。「A&Mは事業再生の名門だから、日本でも再生案件が豊富だろう」という前提は、現時点では成り立ちません。

自動車業界グループのリーダーに就いた山田マーク裕二郎氏は、自動車領域で25年超の経験を持ち、EY-Parthenonで日本のアドバンストマニュファクチャリング&モビリティセクターを8年率い、それ以前はデロイトFASでアジア太平洋バリュークリエーションサービスを統括した人物です。オペレーショナル・リストラクチャリングと業績改善を専門とする採用であり、日本での再生機能立ち上げの起点として位置づけられています。

定量的な評価指標は公開されていない

日本法人について、従業員満足度、離職率、女性比率、有給取得率といった組織に関する定量指標は公式に開示されていません。非上場であり、有価証券報告書やサステナビリティ報告書による開示の仕組みがないためです。

同様に、日本での売上高、案件数、クライアント数も公表されていません。公表されているのは「5年以内に年間売上高1億米ドル」という目標値のみで、これは実績ではなく計画です。当サイトでは、これらの空白を推定値で埋めることはしていません。

同領域のファームとの立ち位置

日本の事業再生・ターンアラウンド領域には、すでに実績を積み上げたファームが複数あります。A&Mの位置づけを理解するために、日本での事業開始時期と成り立ちを並べて整理します。

ファーム日本での事業開始成り立ちと特徴
アルバレス・アンド・マーサル2025年10月1983年米国創業。監査部門を持たない立場を差別化要因に掲げる。日本はM&A財務・税務から立ち上げ中
アリックスパートナーズ2005年1981年米国デトロイト創業。経営危機や難易度の高い変革局面での即応的な実行支援を特徴とする
経営共創基盤(IGPI)2007年設立産業再生機構のメンバーが中心となって設立。自ら投資し経営に入るハンズオン型
フロンティア・マネジメント2007年設立産業再生機構出身者が設立。コンサルティング・M&A・事業再生を一体運営。東証プライム上場

各社の日本での事業開始時期と成り立ちを整理したものです。優劣を示す表ではありません。A&M以外の情報は当サイトの各社ページに記載した公開情報にもとづきます。

20年の差をどう見るか

アリックスパートナーズの東京進出は2005年、経営共創基盤とフロンティア・マネジメントの設立はいずれも2007年です。日本で事業再生に取り組んできた年数では、A&Mは20年近い差を負っています。

この差は、金融機関やスポンサーとの関係、地方企業へのネットワーク、法的整理を含む実務の蓄積といった形で表れます。一方で、後発であることは組織の柔軟さや、既存のしがらみのなさにもつながります。どちらを評価するかは、依頼する側・入社する側それぞれの立場によって変わります。

グローバルネットワークという強み

日本での年数では劣る一方、グローバルの体制はA&Mの明確な強みです。公式サイトの日本拠点ページによれば40カ国・90拠点超、1万1,500名超の体制を持ち(沿革ページ「Our History」は39カ国・80拠点超・1万人超と記載しており、公式サイト内でも数字に幅があります)、トランザクション・アドバイザリーグループだけでも45拠点・1,300名超の専門家を擁します。同グループは自らを「BIG4以外で最大のトランザクション・アドバイザリー実務」と説明しています。

クロスボーダー案件において、相手国のチームと同一ファーム内で連携できることは実務上の優位になります。進出後まもなくクロスボーダー案件3件を受任したという事実(2025年12月時点)は、この強みが機能している兆候と読むことができます。

どのような人・企業に向くファームか

ここまでの整理をふまえると、A&Mの日本法人が誰にとって適した選択肢になるのかが見えてきます。

  • •向く:監査法人の独立性制約を離れ、経営執行寄りの役割に踏み込みたい会計・財務・税務の専門家
  • •向く:日本拠点の立ち上げ期に、制度や案件の型づくりから関わりたい人
  • •向く:クロスボーダーのM&Aや再生を、グローバルの同一ファーム内で連携しながら手がけたい人
  • •向かない可能性:確立された研修体系や豊富な国内案件の蓄積を重視する人
  • •向かない可能性:いますぐ日本国内の事業再生案件に専従したい人(2026年9月時点では募集職種が財務・税務中心)
  • •向かない可能性:入社前に年収水準や勤務条件を数値で把握してから応募先を決めたい人(公式開示がない)

本記事で扱っていない情報について

本記事は、A&Mの公式サイト、公式プレスリリース、公式採用サイトの求人、および国税庁法人番号公表サイトで確認できた内容のみで構成しています。確認日は2026年9月13日です。

年収、残業時間、離職率、従業員満足度といった項目は公式に開示されていないため、推定値を記載していません。また、A&M Japanは開設から1年に満たない組織であり、在籍者による評価が蓄積されるにも時間を要します。現時点で流通している日本法人に関する評価情報は、母数が小さいことを前提に読む必要があります。

今後、同社が日本での実績や体制について公式に開示を行った場合には、本記事を更新します。

よくある質問

Q. アルバレス・アンド・マーサルはどのくらい実績のあるファームですか?
A. グローバルでは1983年創業、社員3名から40カ国・90拠点超・1万1,500名超(公式サイトの日本拠点ページ)へと拡大した世界最大級の非上場プロフェッショナルファームのひとつです。2008年のリーマン・ブラザーズ破綻ではグローバルな清算を主導し、同案件は2012年に債権者への返済を開始しました。ただし日本での事業開始は2025年10月16日であり、国内実績はこれから積み上がる段階です。
Q. 日本ではどのような案件を手がけていますか?
A. 公式に開示されている情報は限られます。同社公式サイト掲載の記事によれば、2025年12月時点で進出後にクロスボーダー案件3件を受任しています。募集職種は財務デューデリジェンス、コーポレート・ファイナンス、税務が中心で、事業再生・業績改善の機能は構築の初期段階にあると公式に説明されています。
Q. BIG4との違いは何ですか?
A. 監査部門を持たない点です。監査法人系ファームは監査クライアントに対して独立性の観点から提供できないサービスがありますが、A&Mにはこの制約がありません。同社は「監査上の独立性に縛られない立場」を進出時の差別化要因として公式に掲げています。
Q. アリックスパートナーズとどちらが上ですか?
A. 優劣を判断できる公開データはありません。両社とも米国発の事業再生系ファームですが、日本での事業年数が異なります。アリックスパートナーズの東京進出は2005年、A&Mは2025年10月です。日本国内の実績の蓄積ではアリックスパートナーズが先行しており、グローバルの規模ではA&Mが40カ国・90拠点超・1万1,500名超(公式サイトの日本拠点ページ)の体制を持ちます。
Q. 日本での評判が見つからないのはなぜですか?
A. 日本法人が2025年10月に開設されたばかりで、在籍者や取引実績が蓄積されていないためです。開設時の人員は14名、2025年12月時点でも20名弱でした。従業員満足度や離職率といった定量指標も公式に開示されていません。母数が小さい段階の評価情報は、確度が限られることを前提に読む必要があります。
Q. 今後日本で事業再生の案件は増えますか?
A. 同社は増やす方針を公表しています。2026年9月8日の公式プレスリリースでは、新設した自動車業界グループが「業績改善およびターンアラウンド機能をより広く構築するための第一歩」と位置づけられています。また年間100名程度の採用と5年で500名体制、日本での年間売上高1億米ドルという目標も公表されています。いずれも計画値であり、実績ではありません。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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