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エル・ティー・エス(LTS)の評判|業績とIR開示から読む強みと課題

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「評判」を調べるとき、匿名の書き込みを集めても実像はつかみにくいものです。LTSは東証プライム上場(証券コード6560)であり、業績・セグメント損益・経営課題・リスク要因が有価証券報告書に文章と数値の両方で開示されています。本ページでは口コミに頼らず、会社が自ら開示した情報だけを使って、LTSの強みと課題を検証します。

この記事のポイント

  • ✓2025年12月期の連結売上高は171億100万円(前期比3.1%増)、営業利益11億8,500万円(同7.0%増)。5期前の2021年12月期73億7,500万円から2.3倍に拡大
  • ✓セグメント別ではプロフェッショナルサービス事業が売上156億4,300万円・セグメント利益12億1,100万円(前期比17.4%増)と堅調、プラットフォーム事業は売上20億4,400万円(同8.6%減)・25百万円のセグメント損失
  • ✓2025年12月期はシステム開発案件の品質・納期の課題により特別損失合計3億円(300百万円)を計上し、うち契約解除損失が2億2,000万円(220百万円)。親会社株主に帰属する当期純利益は6億9,600万円(前期比28.5%減)
  • ✓有価証券報告書は「特定人物への依存」として代表取締役社長執行役員 樺島弘明への依存をリスクに明記。売上の10%に近い取引先が存在することも開示されている
  • ✓2025年12月期から2027年12月期を「2nd Growth Plan」と位置づけ、営業利益年平均成長率20%超を目標に収益性の回復を優先する方針
  • ✓株主総利回りは52.9%(2025年12月期)で配当込みTOPIXの213.2%を下回る一方、2024年12月期から配当を開始し1株当たり30円→35円へ増配

業績:5期で売上2.3倍。ただし直近の伸びは鈍化

LTSの連結売上高は、2021年12月期の73億7,500万円から2025年12月期の171億100万円へ、5期で約2.3倍に拡大しました。特に2023年12月期から2024年12月期にかけての伸びが大きく、これは2023年10月に株式会社HCSホールディングス(現・株式会社日比谷コンピュータシステム)とその子会社5社を連結子会社化したことが主因と有価証券報告書に説明されています。

一方、2025年12月期の売上高成長率は3.1%と、それ以前の二桁成長から大きく鈍化しました。営業利益は11億8,500万円(前期比7.0%増)で増益を確保しています。

決算期連結売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益連結従業員数
2021年12月期73億7,500万円5億7,900万円3億8,800万円440名
2022年12月期96億3,700万円4億8,900万円2億3,200万円497名
2023年12月期122億4,200万円7億4,800万円4億5,400万円965名
2024年12月期165億9,200万円10億6,900万円9億7,300万円1,022名
2025年12月期171億100万円12億9,300万円6億9,600万円1,003名

2025年12月期有価証券報告書「主要な経営指標等の推移(連結経営指標等)」より。従業員数は就業人員数で、平均臨時雇用人員(2025年12月期は65名)は外数。2023年12月期の従業員数急増はHCSホールディングスおよびその子会社5社の連結子会社化によるもの。

成長の質を「2nd Growth Plan」の文脈で読む

有価証券報告書には、2025年12月期から2027年12月期を「2nd Growth Plan」期間とし、「サービス競争力と従業員エンゲージメントを高め、顧客関係を強化することで、2024年12月期までの『1st Growth Plan』期間に低下した収益性の回復を図る」と明記されています。会社自身が前期間で収益性が低下したことを認めたうえで、回復を優先課題に据えている形です。

同計画期間の目標として「営業利益年平均成長率20%超」が掲げられ、オーガニック成長に加えM&Aによる非連続的な成長も重要な戦略オプションとして位置づけられています。売上規模の拡大よりも利益成長にKPIの重心を移した、という読み方ができます。

1,000名規模への急拡大は課題としても記載されている

有価証券報告書には「積極採用の継続及び2023年10月の株式会社HCSホールディングス(現 株式会社日比谷コンピュータシステム)の子会社化等により、社員1,000名規模の体制を整えることができましたが、一方で、大量採用した人員の受入・定着・育成の枠組みの整備やグループ会社間での連携強化等、当面、収益性を維持しながらの規模拡大に向けた施策が重要となる」と書かれています。

規模拡大の成果と、それに伴う組織課題の両方を同じ文中で開示している点は、企業研究の材料として率直です。応募検討者から見れば、入社後に直面しうる環境(受入・育成体制の整備途上、グループ会社間連携の強化フェーズ)が事前に把握できるということでもあります。

セグメント別:主力は堅調、プラットフォームは構造改革中

2025年12月期のセグメント別実績は、事業の状態がはっきり分かれています。売上の9割超を占めるプロフェッショナルサービス事業は増収増益、プラットフォーム事業は減収で損失計上となりました。

セグメント売上高(2025年12月期)前期比セグメント利益
プロフェッショナルサービス事業156億4,300万円5.1%増12億1,100万円(17.4%増)
プラットフォーム事業20億4,400万円8.6%減25百万円の損失(前期は76百万円の利益)

2025年12月期有価証券報告書「経営成績等の状況の概要」より。セグメント間取引を含む数値。外部顧客への販売実績はプロフェッショナルサービス事業156億800万円(前年同期比104.9%)、プラットフォーム事業14億9,200万円(同86.9%)、合計171億100万円(同103.1%)。

主力事業を押し上げたもの

プロフェッショナルサービス事業について、有価証券報告書は「旺盛なDXに関するニーズが追い風となり、ビジネスプロセスマネジメントを活用した業務の可視化・改善を強みとする従来型のコンサルティング案件(業務分析・設計、IT導入支援・現場展開)の受注は堅調に推移」と説明しています。

外部との連携強化も進んでいます。鈴与システムテクノロジー株式会社との業務提携による静岡県を中心とする自治体・企業向けサービス、SAP Service PartnerとしてのSAP S/4HANA Cloud導入コンサルティングの本格開始が具体例として挙げられています。ITファイナンスの高度化支援サービスや、プロダクト企画開発の伴走支援を行うコンサルティングサービス「Product Climb」の提供開始も記載されています。

プラットフォーム事業の課題

プラットフォーム事業では、「アサインナビ」の会員数が2025年12月31日時点で法人・個人あわせて14,915会員(前期末比692会員増)と伸びた一方、「『プロフェッショナルハブ』による稼働人員数が伸び悩み、収益性が低下しました」と明記されています。

対応として「営業体制の見直しをはじめとする組織体制の強化や既存業務の効率化、提供サービスの見直し等、事業そのものの構造改革に取り組みましたが、全体としての収益性改善には至りませんでした」とも記載されています。会社が成果の出なかった施策を明示している点は、開示姿勢としては誠実ですが、事業としては課題が継続していることを意味します。

一過性損失の発生

2025年12月期の特別損失は3億円で、前期比9,200万円の増加でした。理由として「請負契約に基づくシステム開発案件でプロジェクト進行上の課題(品質・納期)が発生したことに伴う一過性の損失として、契約解除損失が発生した」と説明されています。営業キャッシュ・フローの内訳にも契約解除損失2億2,000万円が計上されています。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9,600万円と前期比28.5%の減少になりました。有価証券報告書では「不採算案件(プロジェクト)について」がリスクとして掲げられており、実際にそのリスクが顕在化した年度だったといえます。

会社自身が挙げるリスク:口コミより具体的な「弱み」

有価証券報告書の「事業等のリスク」は、会社が投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している事項を自ら列挙したものです。転職検討者にとっても、これは最も具体性の高い「弱み」の一次情報になります。

特定人物への依存

最初に挙げられているのが「特定人物への依存について」です。「当社の代表取締役社長執行役員である樺島弘明は、当社設立メンバーの1人であり、最高経営責任者として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております」とし、同氏が業務を継続できなくなった場合の影響が明記されています。経営管理体制の強化や経営幹部の育成により依存度を下げる取り組みを進めているとも記載されています。

特定の取引先への依存

「当社グループの売上について、販売比率(当連結会計年度における連結売上高に占める割合)が売上高全体の10%に近い水準となっている取引先があり、売上高に占める特定の取引先への依存度が高くなっております」と開示されています。契約が想定外に短期間で終了した場合や規模縮小の契約変更を余儀なくされた場合の影響が挙げられています。

なお販売実績の注記では「総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいない」とされており、10%には達していないものの、それに近い集中があるという状況です。

その他の主なリスク

  • •優秀な人財の獲得及び育成:「IT・コンサルティング業界における人財の争奪戦は激しさを増して」おり、採用・確保・育成が計画通りに進まない場合の影響を明記
  • •外注先の確保:一部業務を外部協力会社に委託しており、品質トラブルや外注コスト高騰のリスク
  • •不採算案件:予期せぬトラブルやスケジュール変更による工数増加のリスク(2025年12月期に顕在化)
  • •システムトラブル:「アサインナビ」の大規模システム障害リスク
  • •情報セキュリティ:顧客の機密情報・個人情報の漏えい等のリスク
  • •法的規制:労働者派遣法にもとづく労働者派遣事業の許可(派13-301883、有効期間2024年8月1日〜2029年7月31日)に関するリスク
  • •企業買収及び資本参加:のれんの減損等、多額の損失が発生する可能性

競合認識も開示されている

競合については「一部コンサルティング領域について大手コンサルティング会社やSIer(システムベンダー)と競合する可能性はあるものの、基本的には各ベンダーに対して中立な立場でサービスを提供できる会社として独自のポジションを確立しているため、競合する要素は少ないものと考えております」と記載されています。

ベンダー中立を独自ポジションの根拠としている点は、同社の立ち位置を理解するうえで重要です。一方で「今後、他社がノウハウを蓄積し、当社グループが提供するサービス領域での競合となった場合」のリスクも併記されています。

株式市場からの評価と株主還元

上場企業の「評判」は株式市場の評価にも表れます。有価証券報告書の主要な経営指標等の推移には、株主総利回りと株価が開示されています。

決算期株主総利回り配当込みTOPIX最高株価最低株価1株当たり配当額
2021年12月期66.8%112.7%4,585円2,501円—
2022年12月期68.0%110.0%3,995円1,806円—
2023年12月期69.6%141.1%4,275円2,321円—
2024年12月期57.5%169.9%3,010円1,450円30.00円
2025年12月期52.9%213.2%2,770円1,580円35.00円

2025年12月期有価証券報告書「主要な経営指標等の推移(提出会社の経営指標等)」より。2025年12月期の1株当たり配当額35.00円のうち期末配当額35.00円は、2026年3月24日開催予定の定時株主総会の決議事項と注記されています。

市場評価は市場平均を下回って推移

株主総利回りは2021年12月期の66.8%から2025年12月期の52.9%へ低下しており、同期間に112.7%から213.2%へ伸びた配当込みTOPIXを一貫して下回っています。売上規模が拡大する一方で、株価は2021年の高値圏から水準を切り下げてきました。

会社側もこの状況を踏まえ、2025年12月期は自己株式の取得に4億9,900万円を支出しています。また2024年12月期から配当を開始し、1株当たり30円から35円へ増配しました。配当性向は2024年12月期34.9%、2025年12月期11.4%です(2025年12月期は子会社からの配当受領により提出会社の当期純利益が大幅に増加したため、性向が低く算出されています)。

財務の健全性

2025年12月期末の連結総資産は100億3,100万円、純資産は47億6,300万円、自己資本比率は46.3%です。前期末の39.1%から改善しました。負債は52億6,800万円で前期末比15億6,700万円減少しており、主因は長期借入金の9億2,400万円減少です。

現金及び現金同等物の期末残高は33億7,600万円で、前期末から20億6,200万円減少しています。営業活動によるキャッシュ・フローは3億2,600万円の支出(法人税等の支払額9億9,100万円、売上債権の増加4億4,700万円等)、財務活動によるキャッシュ・フローは16億円の支出(長期借入金の返済19億2,400万円、自己株式の取得4億9,900万円等)でした。

対外的な実績として確認できるもの

口コミではなく、公式資料で確認できる対外的な実績をまとめます。いずれも有価証券報告書または公式会社概要に記載されているものです。

  • •経済産業省タスクフォースにおける「ビジネスアーキテクト」の人材定義を主導(2025年12月期有価証券報告書)
  • •連結子会社ME-Lab Japanの「人工衛星データと転移学習を用いた広域ブルーカーボンポテンシャルの推定サービス」が衛星データ活用アワード2024最優秀賞を受賞(同)
  • •静岡市が実施する「森林カーボンクレジット創出促進事業」への採択(同)
  • •日本e-Learning大賞「経済産業大臣賞」受賞(2010年7月・沿革)
  • •ISO27001(ISMS)適合性評価制度の認証取得(2009年3月・沿革)
  • •健康経営優良法人の認定(2025年12月期有価証券報告書サステナビリティ記載)
  • •書籍の刊行:『ビジネスプロセスの教科書』『Process Visionary デジタル時代のプロセス変革リーダー』『Business Agility これからの企業に求められる「変化に適応する力」』ほか(公式会社概要・沿革)
  • •所属団体:日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)、企業情報化協会(IT協会)、PMI日本支部、日本CFO協会、静岡情報産業協会(SIIA)、The Open Group、ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)

口コミ由来の評判をどう扱うか

大手口コミサイトにはLTSに関する投稿も存在しますが、当サイトでは口コミの集計値を年収や働き方の根拠として用いません。母集団の構成が不明で、投稿時期の偏りが数値を大きく動かすためです。LTSの場合は有価証券報告書と公式採用サイトに定義付きの数値がそろっているため、そちらを優先する合理性があります。

口コミが有効なのは、数値化されない事柄——上司との関係性、部署ごとの雰囲気、プロジェクトの進め方といった質的な情報の傾向をつかむ用途です。その場合も個別の投稿を一般化せず、面接やカジュアル面談で直接確認する材料として扱うのが適切です。

よくある質問

Q. LTSの業績は伸びていますか?
A. 連結売上高は2021年12月期73億7,500万円から2025年12月期171億100万円へ5期で約2.3倍に拡大しました。ただし2025年12月期の成長率は3.1%と鈍化しています。営業利益は11億8,500万円(前期比7.0%増)ですが、システム開発案件の契約解除損失を含む特別損失3億円により、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9,600万円と前期比28.5%減となりました。
Q. LTSの弱みは何ですか?
A. 有価証券報告書の「事業等のリスク」では、代表取締役社長執行役員 樺島弘明氏への特定人物依存、売上高の10%に近い特定取引先への依存、IT・コンサルティング業界における人材獲得競争、不採算案件の発生、外注先の確保、情報セキュリティなどが挙げられています。2025年12月期は実際に不採算案件のリスクが顕在化しました。
Q. プラットフォーム事業は儲かっていますか?
A. 2025年12月期は売上高20億4,400万円(前期比8.6%減)、25百万円のセグメント損失でした(前期は76百万円の利益)。有価証券報告書には「プロフェッショナルハブ」の稼働人員数が伸び悩み収益性が低下したこと、構造改革に取り組んだが全体としての収益性改善には至らなかったことが記載されています。
Q. 株価や株主還元の状況はどうですか?
A. 株主総利回りは2025年12月期52.9%で、配当込みTOPIXの213.2%を下回っています。一方、2024年12月期から配当を開始し1株当たり30円、2025年12月期は35円へ増配。2025年12月期には自己株式の取得に4億9,900万円を支出しています。自己資本比率は46.3%(連結)で前期末の39.1%から改善しました。
Q. LTSは今後どこを目指していますか?
A. 2025年12月期から2027年12月期を「2nd Growth Plan」期間と位置づけ、「1st Growth Plan」期間に低下した収益性の回復を優先しつつ、営業利益年平均成長率20%超を目指すと有価証券報告書に記載されています。周辺領域・海外事業の探索や、M&Aによる非連続的な成長も戦略オプションとして挙げられています。
Q. 口コミサイトの評判は参考になりますか?
A. 数値化された年収や残業時間については、有価証券報告書と公式採用サイトに定義付きの開示があるため、そちらを優先してください。口コミは母集団の構成が不明で、投稿時期の偏りが集計値を大きく動かします。部署の雰囲気やプロジェクトの進め方といった質的な情報の傾向をつかむ用途にとどめ、面接やカジュアル面談で直接確認するのが確実です。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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