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コンサルのケース面接対策|59社の公式選考情報から見る「どこで何が課されるのか」

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ケース面接対策の情報は数多くありますが、そのほとんどはフェルミ推定の解き方や3C・4Pといった型の解説に紙幅を割いており、「自分が受けるファームで、そもそもケース面接が課されるのか」には答えていません。当サイトは掲載59社それぞれについて公式サイト・公式FAQ・公式求人票をあたり、選考フローとケース面接の有無を確認しました。その結果わかったのは、ケース形式の選考が公式情報で確認できるのは6社にとどまり、49社では公式サイトから実施の有無を確認できないという事実です。本ガイドは、この確認結果を出所別に開示したうえで、公式に評価軸を公開している数社の記述をもとに「型の暗記では評価されない構造」を整理します。2026年8月時点の情報です。

この記事のポイント

  • ✓当サイト掲載59社のうち、ケース形式の選考が公式情報で確認できたのは6社。求人・ポジションにより実施すると公式に示しているのが4社。残る49社は公式サイトでは実施の有無を確認できません(公式非開示)
  • ✓「コンサル=全社でケース面接」は成り立ちません。Dirbato・MSOL・ノースサンド・船井総合研究所のように、公開情報でも実施の記載がない、あるいは課されないとされるファームが相当数あります
  • ✓ケース面接の評価軸を公式に公開しているのは、カーニー・ローランド・ベルガー・アーサー・ディ・リトル・ZSアソシエイツなど少数です。いずれも共通して「正解に到達したか」ではなく「どう取り組むか」を見ると明記しています
  • ✓アーサー・ディ・リトルは公式サイトで、ケース面接はビジネスセンスや業界知識をテストするものではないと明記しています。フレームワークの暗記が評価されない理由は、精神論ではなく公式の評価軸に書かれています
  • ✓選考の所要期間も公式に確認できる社は限られます。ローランド・ベルガーは約6〜8週間、日立コンサルティングとドルビックスは約1か月、Strategy&とPwCアドバイザリーは結果連絡まで10日以内と公式に案内しています

「ケース面接対策」を始める前に確認すべきこと

ケース面接対策の一般的な解説は、どれもよく似た構成をとっています。フェルミ推定の手順があり、売上を客数と単価に分解する型があり、3C・4P・バリューチェーンといったフレームワークの一覧があり、最後に「結論から話す」「MECEに整理する」という心構えが置かれています。内容が間違っているわけではありません。ただ、そこには決定的に欠けている情報があります。自分が受けようとしているファームで、その準備が本当に必要なのかという情報です。

コンサルティングファームの選考は、業界全体で統一されているわけではありません。ケース面接を選考の中核に据え、その進め方まで公式サイトで公開しているファームがある一方で、選考フロー自体を一切公開していないファームもあります。募集要項にケース面接の記載がなく、職務経歴の深掘りが選考の中心だと明記しているファームもあります。「コンサル業界の選考ではケース面接が課される」という前提でひとくくりに準備を進めることは、準備の配分を誤る原因になります。

そこで当サイトでは、掲載59社それぞれの公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票を確認し、ケース面接(およびそれに相当するケース形式の選考)の実施状況を次の3つに分類しました。分類の基準は「何が書かれているか」であり、「実際に何が行われているか」ではありません。この区別が本ガイドの前提になります。

本ガイドでは、公式に確認できた記述と、公開情報として流通している情報を意図的に別々の表に分けて掲載しています。同じ表に並べた時点で、どこまでが確かな情報なのかがわからなくなるためです。

分類定義確度該当社数
① 公式に明記あり公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票のいずれかで、ケース面接またはケース形式の選考工程が実施されると確認できる高い。第三者が同じ記述を確認できる6社
② 求人・ポジションによると公式に明示公式に実施の可能性が示されているが、全応募者に課されるとは案内されていない。または新卒採用でのみ公式に明記されている中程度。応募する求人により異なる4社
③ 公式サイトでは確認できない(公式非開示)公式情報からは実施の有無を確認できない。公開情報や選考体験情報で「実施される」とされる社と、実施の記載自体がない社の両方を含む公式には確認できない49社

2026年8月時点。当サイトが各社の公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票を確認して分類したものです。分類は各社の開示状況の変化により変わります。③に分類された社が実際にケース面接を実施していないことを意味するものではなく、あくまで「公式には確認できない」という意味です。

59社のケース面接 実施状況一覧(出所別)

以下が本ガイドの中核となる一覧です。ファーム名をクリックすると各社の個別ページに移動できます。選考の詳細は各社ページ内の「転職・選考対策」に、出典と注記つきで整理しています。

① ケース形式の選考が公式に明記されている(6社)

公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票のいずれかで、ケース面接またはそれに相当する工程の実施が確認できたのはこの6社です。このうちカーニー、ローランド・ベルガー、アーサー・ディ・リトル、ZSアソシエイツの4社は、評価軸や進め方まで公式に公開しています。準備の指針としてそのまま使える一次情報が存在する、例外的なファーム群です。

ファーム分類公式情報から確認できる内容
カーニー戦略系公式サイトに「ケースインタビュー」のページを設け、面接を行うコンサルタント自身からの指針を公開。グローバルの採用プロセス紹介では、コンサルティング職は通常4〜5回の面接で、行動面接とケース面接を組み合わせる構成と説明
ローランド・ベルガー戦略系採用サイトでケーススタディ準備のガイダンスを公開し、評価される3つのスキルを明示。新卒求人票には書類審査→Web適性検査→複数回のケース面接という流れが明記
アーサー・ディ・リトル戦略系公式サイトにケース面接ページと準備ガイドPDFを公開。進め方を5ステップで提示し、評価する4点を明示。ビヘイビア面接の準備ガイドも別途公開
ZSアソシエイツ業務・業界特化系公式採用サイトが選考を「役割・職位・地域により2〜4回の面接」と説明し、構成要素として行動面接・ケース面接・専門性面接を明示。一部職種ではオンラインアセスメントも実施
電通コンサルティング業務・業界特化系公式サイトに、選考が書類審査・適性検査・ケース試験・3回の面接による5段階のプロセスであると明記。ただし「ケース面接」ではなく「ケース試験」と表記され、出題形式・所要時間・実施方法は公式非開示
博報堂コンサルティング業務・業界特化系公式採用ページに、書類選考→課題選考→課題面接(マネジャークラス)→役員面接→内定と明記。「ケース面接」の名称ではなく、課題提出とそれに基づく面接という構成

2026年8月時点の各社公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票の記載にもとづく整理です。各社の出典は個別ページの「転職・選考対策」に記載しています。電通コンサルティングと博報堂コンサルティングは、一般的な口頭ディスカッション型のケース面接とは形式が異なる可能性があります。

② 求人・ポジションによる、または新卒のみ公式に明記(4社)

実施の可能性が公式に示されているものの、全応募者に課されるとは案内されていないファームです。デロイト トーマツとドリームインキュベータは公式に「実施される場合がある」という条件つきの記述を置いており、マーサージャパンとRidgelinezは新卒採用でのみケース面接を明記し、中途採用については公表していません。

ファーム分類公式情報から確認できる内容
デロイト トーマツ(ファイナンシャルアドバイザリー部門)FASグループ共通のキャリア採用ページに、面接は複数回(平均的に2〜3回)実施され、求人や経験により筆記試験・技術テスト・ケース面接などが実施される場合があると記載
ドリームインキュベータ戦略系公式採用FAQで、書類選考通過後にシニアメンバーとの1時間程度の面接が複数回行われ、ケース面接が含まれる場合があると説明
マーサージャパン組織・人事系新卒採用の募集要項に、ES審査→Webテスト→3〜4回の面接(ケース面接・グループディスカッションを含む)→数日間のジョブと明記。中途採用の選考ステップは公式非開示
リッジラインズ総合系新卒採用のコンサルタント職で一次面接がケース面接であることを明記。中途採用は「書類選考と複数回面接(ポジションによりWebテスト)」までの案内で、ケース面接の有無は公式非開示

2026年8月時点の各社公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票の記載にもとづく整理です。新卒採用で明記されている内容が、そのまま中途採用に適用されるとは限りません。

③-A 公式では確認できないが、公開情報では実施されるとされる(20社)

ここからが③、すなわち公式サイトでは実施の有無を確認できない49社です。まず、公式情報にはないものの、公開情報や選考体験情報として「実施される」と広く伝えられている20社を挙げます。MBB3社をはじめ、ケース面接の代名詞のように語られるファームの多くがここに入ります。当サイトはこれらの社について公式の裏づけを取れていないため、①や②と同じ表には並べていません。

ファーム分類公開情報として伝えられている内容
コーン・フェリー組織・人事系同社の公開情報では、現役のコンサルタントが面接を担当し、時間をかけてケースインタビューと質疑応答を実施すると示されている。ただし公式サイト・公式FAQ・公式求人票での明記は確認できていない
マッキンゼー・アンド・カンパニー戦略系各面接セッションの冒頭10〜15分がPEI(Personal Experience Interview)、残りがケース面接という構成が一般的とされる
ボストン コンサルティング グループ戦略系お題提示→前提確認・思考時間→解答提示とディスカッション、という流れのディスカッション型ケース面接とされる
ベイン・アンド・カンパニー戦略系面接前に資料を渡され30〜60分で分析・提言をまとめ、面接で発表・議論するWritten Case(書面ケース)が特徴とされる
Strategy&(PwCネットワーク)戦略系公式に示されているのは応募→書類選考→筆記試験または個人面接→面接まで。ケース面接は戦略ファームの中途選考の通例として課されるとされる
アクセンチュア総合系一部の部門・職種で、制限時間内に課題への対策を提案する形式が実施されるとされる。全員に課されるわけではない
デロイト トーマツ(コンサルティング部門)総合系公式は詳細な選考フローを非公開。公開情報では確実に実施され、通過率は約20〜30%とされる
PwCコンサルティング総合系書類選考→Webテスト→ケース面接を含む3回の面接→リファレンスチェックという流れとされる
EYストラテジー・アンド・コンサルティング総合系公式に確認できるのは書類選考→適性検査(TG-WEB/玉手箱)→面接2〜3回→最終面接という流れまで。BIG4各社共通で思考力を問う設問への備えが必要とされる
KPMGコンサルティング総合系公式に確認できるのは書類選考→Webテスト→複数回の面接→オファー面談という流れまで。BIG4各社共通で思考力を問う設問への備えが必要とされる
アビームコンサルティング総合系全員に課されるわけではないが、戦略系ポジションなどでは実施されることがあるとされる
ベイカレント総合系1次面接で必須実施、通過率20〜30%とされる。5分程度で思考をまとめ、プレゼンし、質疑応答に答える形式と伝えられている
シグマクシス総合系必須と明示されてはいないが、職種や面接官によってケース形式の質問やお題ディスカッションが行われたという選考体験情報がある
フューチャーIT・デジタル系ケース面接や地頭力を問う課題に備える必要があるとされる。技術面接だけを想定していると対応できない可能性がある
野村総合研究所シンクタンク系公式フローは書類選考→適性検査→面接2〜3回。経営コンサルタント職ではケース面接やお題に対するディスカッションが課される場合があるとされる
経営共創基盤事業再生系書類選考後の複数回(3〜4回程度)の面接に、ケース面接が組み込まれることがあるとされる
アリックスパートナーズ事業再生系公式に明記されているのは書類選考→面接(計3〜5回)→アセスメントテストという流れ。コンサルティング職ではケース形式の設問が選考に含まれるとされる
フロンティア・マネジメント事業再生系選考フローの詳細は公式に非公開。複数回の面接でケース形式の設問が含まれることがあるとされる
IQVIA医療・ヘルスケア系コンサルティングポジションでは、医薬品の上市判断や特許切れ後の売上予測など、ヘルスケア領域を題材としたケースや課題が課されることがあるとされる
KPMGヘルスケアジャパン医療・ヘルスケア系公式にはエントリー→書類選考→複数回面接→内定とのみ記載。BIG4系のアドバイザリー職では思考力を問う設問が一般的とされる

各社の公開情報および選考に関する一般的な情報をもとにした整理であり、当サイトが公式サイト・公式FAQ・公式求人票で確認できた内容ではありません。実施の有無・形式・通過率はいずれも各社が公表しているものではないため、参考情報としてお読みください。選考内容は変更される可能性があります。

③-B 公式にも公開情報にも実施の記載がない、または課されないとされる(29社)

残る29社です。この中には、募集要項にケース面接の記載がなく、職務経歴の深掘りが選考の中心だと公式に読み取れるファームと、そもそも選考フロー自体を公表していないファームの両方が含まれます。ケース面接対策に時間を投じる前に、志望先がここに含まれていないかを確認することには実務的な意味があります。

ファーム分類当サイトが確認できた内容
Dirbato(ディルバート)IT・デジタル系いわゆるケース面接は実施されないとされる。経験を論理的かつ定量的に語れるかが評価の中心
マネジメントソリューションズ(MSOL)業務・業界特化系公式募集要項にケース面接の記載なし。書類選考→1次面接(前にWebテスト)→2次面接→オファー面談の4ステップ
ノースサンドIT・デジタル系カルチャーフィットとポテンシャルが中心的な評価軸で、ケース面接を課す選考ではないとされる
船井総合研究所独立系・新興公開されている選考体験情報では、戦略ファームで必須となるケース面接は基本的に課されないのが一般的とされる
山田コンサルティンググループ独立系・新興公式に案内されている選考フロー(応募→書類選考→Web適性検査→面接2〜3回→内定)にケース面接の記載なし
キャップジェミニIT・デジタル系戦略ファームのようなケース面接中心の選考ではなく、実務経験の深掘りが中心とされる
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン医療・ヘルスケア系公開されている募集要項にケース面接やフェルミ推定を課す旨の記載なし。営業職は1次面接(Web)→2次面接(対面・最終)、場合により3次面接と公表
ライズ・コンサルティング・グループ独立系・新興公開されている選考フローにケース面接は必須ステップとして明示されていない
日立コンサルティング総合系6ステップの選考フローを公式開示。ケース面接の実施有無は公式非開示。公式に明示されているのはWeb形式の適性テストと志望動機書の提出
グロービング独立系・新興ケース面接の実施有無について公式に言及なし。FAQで論理的思考力を選考の大前提と明記
ドルビックスコンサルティング独立系・新興面接は原則3回と公式に公表。ただし面接の形式・評価基準およびケース面接の有無は公表なし
リヴァンプ事業再生系ケース面接について公式に言及なし。公式に明示されているのは書類選考、WEBテスト、複数回の面接・面談
メディヴァ医療・ヘルスケア系ケース面接を課すかどうかを公開情報として明示していない。公開求人票のフローは書類選考→個人面接2〜3回→内定
三菱総合研究所シンクタンク系キャリア採用の公式な選考方法は「書類選考、筆記試験、面接」。ケース面接が必須とは公表されていない
三菱UFJリサーチ&コンサルティングシンクタンク系公式フローはエントリー→書類選考→筆記試験・面接→内定。筆記試験は原則Web受験と明記。ケース面接の記載なし
日本総合研究所シンクタンク系公式キャリア採用FAQのフローは書類選考→複数回の面接(募集部門と人事部門の共同面接)。ケース面接の記載なし
NTTデータ経営研究所シンクタンク系中途採用の選考フロー自体を公式サイトで詳細に公表していない
コーポレイトディレクション戦略系選考はManaging Director自らが定めた基準とプロセスで実施されると公式に記載。面接回数・ケース面接の有無・Webテストの有無はいずれも公式非開示
PwCアドバイザリーFAS面接回数・筆記試験の有無・ケース面接の実施可否はいずれも公式非開示。公式に確認できるのは結果に関わらず10日以内に連絡という点
KPMG FASFAS面接回数、筆記試験やケース面接の有無、内定までの標準的な期間はいずれも公式非開示
リブ・コンサルティング独立系・新興ケース面接を課すかどうか公式に確認できる情報なし。面接の回数・形式も公式非開示
ストラテジーテック・コンサルティング独立系・新興公式採用FAQは書類選考と複数回面接があるとのみ説明。面接回数やケース面接の有無は公式非開示
LASINVA(ラシンバ)独立系・新興面接回数、ケース面接や筆記試験の有無、内定までの所要期間はいずれも公式に公表されていない
フォーティエンスコンサルティング総合系公表されているのは書類選考→面接(複数回)→オファー面談という流れと、選考期間1〜2か月程度まで。ケース面接の記載なし
ULSコンサルティング(旧ウルシステムズ)IT・デジタル系選考フローは書類選考→複数回の面接。ケース面接の記載はなく、技術スキル以上にマインドセットが重視されるとされる
ガートナージャパンIT・デジタル系選考フローおよびケース面接の有無について、公式に確認できる記載なし。職種ごとの専門領域の合致が評価の中心
WTW(ウイリス・タワーズワトソン)組織・人事系ケース面接の実施は公表されていない。フローは応募→リクルーターによる書類確認→動画面接(HireVue)→チーム面接→オファーが基本形
エーオンソリューションズ ジャパン組織・人事系採用プロセスの詳細を公開していない。ケース面接の有無も公式非開示
フィールドマネージメント業務・業界特化系選考フロー・応募要件・採用人数はいずれも公式非開示。本調査時点(2026年8月)では公式サイトへのアクセスも確認できず

2026年8月時点の各社公式サイト・公式採用FAQ・公開求人票の確認結果です。「記載なし」は実施されないことの証明ではありません。応募時には必ず最新の募集要項と、応募後の選考案内をご確認ください。

ケース面接が課されない/確認できないファームも多い

前節の一覧が示しているのは、「コンサル業界の選考ではケース面接が課される」という通説が、少なくとも公開情報の水準では成り立たないという事実です。59社のうち、ケース形式の選考が公式に確認できたのは6社。求人・ポジションによる条件つきの記述まで含めても10社です。残る49社については、公式サイトからは実施の有無を判断できません。

さらに重要なのは、49社の内訳です。公開情報として「実施される」と伝えられているのは20社であり、残る29社については、公式にも公開情報にもケース面接の記載がないか、明確に「課されない」とされています。つまり掲載59社の半数近くにおいて、ケース面接対策が選考通過の主要因になるとは考えにくいということになります。

ケース面接対策は、全員に等しく必要な準備ではありません。まず志望先が上の一覧のどこに位置するかを確認し、そのうえで準備の配分を決めてください。

明確に「課されない」とされるファームがある

Dirbatoは、いわゆるケース面接(フェルミ推定やビジネスケースのその場での議論)を実施しないとされており、重視されるのはこれまでの経験を論理的に、具体的な数字を交えて語れるかどうかです。MSOLも公式募集要項にケース面接の記載がなく、選考の中心は職務経歴の掘り下げであり、プロジェクト推進・課題管理・ファシリテーションの実務経験が評価軸になります。

ノースサンドはカルチャーフィットとポテンシャルが中心的な評価軸であり、ケース面接を課す選考ではないとされています。船井総合研究所も、公開されている選考体験情報では戦略ファームで必須となるケース面接は基本的に課されないのが一般的とされ、問われるのは中堅・中小企業の経営者と信頼関係を築けるかどうかです。山田コンサルティンググループに至っては、公式に案内されている選考フロー(応募→書類選考→Web適性検査→面接2〜3回→内定)にケース面接の記載自体がありません。

これらのファームを志望する場合、ケース対策に費やす時間の一部は、職務経歴の棚卸しと、成果を定量的に説明する準備に振り替えたほうが合理的です。同じ「コンサルティングファームの選考対策」という言葉で括られていても、やるべきことは同じではありません。

選考フロー自体が公式非開示のファームも珍しくない

ケース面接の有無以前に、選考フローそのものを公表していないファームもあります。KPMG FASは面接回数、筆記試験やケース面接の有無、内定までの標準的な期間のいずれも公式に開示していません。PwCアドバイザリーも面接回数・筆記試験の有無・ケース面接の実施可否は非開示で、公式に確認できるのは結果に関わらず10日以内に連絡があるという点のみです。

コーポレイトディレクションは特殊な例です。同社は選考がManaging Director自らが定めた基準とプロセスで実施されると公式に記載しており、面接回数もケース面接の有無もManaging Directorごとに異なる可能性があります。一律の想定を置くことができない設計です。LASINVAやフィールドマネージメントのように、選考フロー・応募要件そのものが公表されていないファームもあります。

こうしたファームでは、応募後に届く選考案内が実質的に唯一の一次情報になります。「事前に完璧な対策を済ませてから応募する」という前提が置けないため、汎用的な準備(職務経歴の整理と、論点を構造化して話す訓練)を先に済ませ、案内を受けてから個別の準備を上乗せする進め方が現実的です。

「公式非開示」を推測で埋めないという方針

当サイトは、公式に確認できない項目を推測で補完しません。「戦略系ファームだからケース面接はあるはず」という推論は成り立ちそうに見えますが、実際にはコーポレイトディレクションのように選考設計が統一されていないファームも、グロービングのようにケース面接の実施有無に公式に言及していないファームも存在します。もっともらしい推測を事実として書くことは、読者の準備配分を誤らせます。

各社ページの「転職・選考対策」でも同じ方針を取っており、確認できなかった項目には「公式非開示」と明記しています。志望先の選考情報を確認する際は、各社ページからたどってご覧ください。

形式と評価軸はファームごとに違う

ケース面接という同じ名前で呼ばれていても、形式も評価軸もファームによって異なります。以下は、当サイトが各社ページで整理している内容を、情報の出所つきで並べたものです。出所の列は、その記述が公式サイト等で確認できたものか、公開情報として伝えられているものかを示しています。

ファーム形式評価の重心情報の出所
カーニー行動面接とケース面接の組み合わせ。コンサルティング職は通常4〜5回の面接トップダウンで考える、仮説を立てる、フレームワークに頼りすぎない、限界を知る。加えて学習への情熱・協働姿勢・洞察力・傲慢でない自信・平静さの5点公式サイト(ケースインタビューのページ)
ローランド・ベルガー書類選考→適性検査→複数回のケース面接→最終面接分析能力・概念思考・コミュニケーションの3点。加えて、うまくいかないときに方向転換できる柔軟性と、思考を口に出して共有すること公式サイト(ケーススタディ準備ガイダンス)
アーサー・ディ・リトルケース面接とビヘイビア面接の2種類。それぞれ準備ガイドを公開知的好奇心、批判的思考と主体性、データの使い方と計算の速さ、アプローチと自分の解に対する自信の4点。ビジネスセンスや業界知識のテストではないと明記公式サイト(ケース面接ページ・準備ガイドPDF)
ZSアソシエイツ役割・職位・地域により2〜4回。行動面接・ケース面接・専門性面接の組み合わせ実際のビジネス課題に対する問題の構造化、解決策の立案、フィードバックの適用、創造的な思考公式採用サイト
コーン・フェリー現役コンサルタントが担当し、時間をかけてケースインタビューと質疑応答を実施正解を当てることより、思考過程を共有しながら議論できるか同社の公開情報
電通コンサルティング書類審査・適性検査・ケース試験・3回の面接による5段階。ケース試験は面接とは別工程出題形式・所要時間・実施方法および評価観点はいずれも公式非開示公式サイト(選考プロセスの記載)
マッキンゼー・アンド・カンパニー各面接セッションの冒頭10〜15分がPEI、残りがケース面接という構成が一般的とされるイシュー特定の速さと構造化の美しさ。PEIでは過去の具体的な経験の深掘り公開情報
ボストン コンサルティング グループお題提示→前提確認・思考時間→解答提示とディスカッション仮説を立ててデータで更新し続ける柔軟性。解答提示後の対話に重心公開情報
ベイン・アンド・カンパニーWritten Case(書面ケース)。面接前に資料を渡され30〜60分で分析・提言をまとめ、発表・議論大量の情報から本質を抽出し、実行可能な提言に落とし込む力公開情報
ベイカレント1次面接で実施。5分程度で思考をまとめ、プレゼンし、質疑応答限られた時間で自力で構造化し説明しきる力。通過率20〜30%とされる公開情報
PwCコンサルティング書類選考→Webテスト→ケース面接を含む3回の面接→リファレンスチェック答えの正しさより思考プロセスの明快さ(BIG4各社に共通するとされる)公開情報

「公式サイト」「公式採用サイト」と記載した行は、各社が自ら公開している記述を当サイトが確認・要約したものです。「公開情報」と記載した行は、各社の公式サイトでは確認できず、一般に流通している選考情報にもとづく整理です。選考内容は変更される可能性があります。各社の詳細は個別ページの「転職・選考対策」をご覧ください。

「書面ケース」と「口頭ケース」は別の能力を測る

形式の違いは、測ろうとしている能力の違いに直結します。通常の口頭ケース面接が「限られた情報から素早く構造を組む力」を測るのに対し、ベインのWritten Caseとして知られる形式は「大量の情報から本質を抽出し、実行可能な提言に落とし込む力」を測るとされています。前者の練習だけを重ねても、後者には対応できません。

同様に、電通コンサルティングの「ケース試験」は面接とは別の工程として選考フローに並べられています。面接の場での口頭ディスカッションとは異なる形式である可能性がありますが、公式な説明はありません。博報堂コンサルティングも、口頭のケース面接ではなく、課題を提出したうえでその課題をもとに面接を行う構成を公式に示しています。時間をかけたアウトプットが求められる形式では、その場の反射的な受け答えより、着眼点の独自性や資料としての完成度が効いてきます。

併願する場合、基礎は共通・上乗せは別

複数のファームを併願する場合、論点の構造化・定量分析・示唆の抽出というケース面接の基礎部分は共通して使えます。一方で、各社固有の上乗せ部分は使い回せません。マッキンゼーのPEIは自身の経験の棚卸しに時間がかかるため早めに着手する必要があり、ベインのWritten Case形式は別途の練習が必要とされます。

また、カーニーは不合格の場合1年以内の再応募を受け付けておらず、Strategy&は直近2年以内に中途採用選考を受検した人を応募対象から除くと公式に明記しています。準備が整わないまま応募して不通過となると、次の機会が1年後・2年後になるファームがあるということです。応募の順序を決める際には、この制約も考慮に入れる必要があります。

フレームワークを覚えることの限界

「3C・4P・バリューチェーンを覚えましょう」という対策は広く流通していますが、公式に評価軸を公開しているファームの記述を読むと、型の暗記が評価されない理由がはっきりします。これは精神論ではなく、公式に書かれている評価軸から導かれる構造的な帰結です。

型の暗記が評価されないという指摘は、対策記事の精神論ではなく、複数のファームが公式に書いている評価軸から導かれる帰結です。

ローランド・ベルガーが公式に示す評価観点

ローランド・ベルガーは採用サイトでケーススタディ準備のガイダンスを公開し、評価される能力として次の3点を明示しています。

  • •分析能力 — データから示唆を引き出す力
  • •概念思考 — 複雑な問題を体系化・構造化する力
  • •コミュニケーション — 考えを明確に伝える力

「答え」ではなく「取り組み方」を見ると明記されている

同社のガイダンスでは、市場規模の数字を言い当てることよりも、問題にどう取り組むかを見たいという趣旨が示されています。設問に対して解法の道筋を示す構造をつくることが推奨されており、暗記したフレームワークを当てはめるだけでは評価の対象にならない構造になっています。目の前の問いに合わせて構造を組み立て、その構造をなぜ選んだのかを説明できることが求められます。

さらに同社は、優れたコンサルタントは良い計画を持つが、うまくいかないときに方向転換できるとも述べています。面接官から想定外の情報や反論が提示されたときに、初期仮説に固執せず組み立て直せるかが試されるということです。型を1つ用意して臨むだけでは、この局面で対応できません。準備段階で、途中から前提が覆る展開を織り込んだ練習を組み込んでおく意味はここにあります。

加えて、考えを共有することで思考プロセスが見えるようになる、という指導も公式に示されています。沈黙して考え込むのではなく、いま何を検討しているかを言語化しながら進めることが推奨されており、実践的な準備として、対話形式でケースを解く練習が挙げられています。一人で書きながら解く練習だけでは、この「話しながら考える」能力は鍛えにくいためです。

カーニーは「フレームワークに頼りすぎない」と公式に書いている

カーニーは公式サイトに「ケースインタビュー」のページを設け、面接を行うコンサルタント自身からのヒントとして指針を公開しています。同社はケース面接をコンサルティング・プロジェクトの縮図と表現しており、示されている指針には「トップダウンで考える」「仮説を立てる」「フレームワークに頼りすぎない」「限界を知る」といった項目が含まれます。

3C・4Pといった型に当てはめて整理するだけの回答は、同社の基準では減点方向に働くと読めます。対策本の型を覚えることより、目の前の課題の構造をその場で組み立てる力が問われるということです。同社はさらに、示すべき態度として、学習への情熱、コラボレーティブな姿勢、ビジネスへの鋭い洞察力、傲慢ではなく自信、プレッシャーの中で平静を保つことの5点を明示しています。ケースの正解に到達したかどうかだけでなく、こうした振る舞いも評価対象であると公式に述べられている点は、押さえておく価値があります。

アーサー・ディ・リトルは「業界知識のテストではない」と明記

アーサー・ディ・リトルは公式サイトにケース面接の進め方を5つのステップとして掲載しています。能動的に聴く(メモを取り、課題の核心に集中する)、必要なら確認を求める(質問を面接官に言い直し、目的と文脈について合意する)、プロセスを構造化する(構造化のための時間を求め、少なくとも2階層を提示して議論できる状態にする)、ケースを解く(自分の構造に沿って進め、思考プロセスを示すために声に出して考える)、ケースを締める(前段の結論を統合し、選んだ立場を擁護できるようにしておく)という5段階です。

同社が評価するとしているのは、知的好奇心があること、批判的思考と主体性をもって問題を解けること、データの使い方と計算の速さ、取るアプローチと自分の解に対する自信の4点です。そのうえで冒頭に、ビジネスセンスや業界知識をテストするためのものではないと明記されています。業界固有の知識を暗記して臨む種類の選考ではない、ということが公式に述べられているわけです。

ZSアソシエイツも同様の方向を示しており、ケース面接では実際のビジネス課題に取り組み、問題をどう構造化し、解決策をどう組み立て、フィードバックをどう取り込み、創造的に考えられるかを見ると説明しています。フィードバックの適用が評価要素に含まれている点は、面接官とのやり取りの中で自説を更新できるかが見られていることを意味します。

では、フレームワークは不要なのか

不要ではありません。ただし位置づけが違います。フレームワークは、その場で構造を組み立てるときの部品であり、そのまま提出する完成品ではありません。売上を客数と単価に分解する、コストを固定費と変動費に分ける、といった基本の分解は、構造をつくる速度を上げるために身につけておく価値があります。問題になるのは、設問の性質を確認しないまま既成の型を当てはめ、その型に沿って話し切ってしまう進め方です。

公式情報が示す評価軸に照らせば、準備の重心は「型を何個覚えたか」ではなく「その場で組み立てた構造を、なぜそう切ったのか説明できるか」「途中で前提が変わったときに組み直せるか」「考えていることを声に出して共有できるか」に置くべきだ、ということになります。この3点は、公式に評価軸を公開している複数のファームで共通して言及されています。

選考フローと所要期間(公式に確認できた社のみ)

ケース面接の準備期間を設計するには、選考がどれくらいの期間で進むのかを知っておく必要があります。ここでは、選考フローまたは所要期間を公式に公開している社に限って一覧化しました。公式に確認できない社は掲載していません。

ファーム公式に公開されている選考フロー期間・結果連絡の目安
ローランド・ベルガー書類審査→Web適性検査→複数回のケース面接→最終面接(新卒求人票に明記。中途も複数回の面接を重ねる構成)グローバル共通FAQで採用プロセスに約6〜8週間。入社希望時期の4〜6カ月前の応募を推奨。書類審査通過者には1〜2週間以内に連絡
カーニー書類選考→面接(行動面接+ケース面接、コンサルティング職は通常4〜5回)。専門職はスクリーニング後に通常3〜5回書類選考の結果は応募日から2週間以内。不合格の場合、1年以内の再応募は不可
Strategy&(PwCネットワーク)応募(エントリーフォーム)→書類選考→筆記試験または個人面接→面接選考の結果に関わらず10日以内に連絡と明記。直近2年以内に同社の中途採用選考を受検した人は応募対象外
PwCアドバイザリー面接回数・筆記試験の有無は公式非開示選考の結果に関わらず10日間以内に連絡と求人票に明記
日立コンサルティングエントリー→書類選考・適性テスト→1次面接(応募部門・対面)→志望動機書→2次面接(応募部門上位職+人事・対面)→内定の6ステップ応募から内定まで約1か月程度と公式に説明
ドルビックスコンサルティング書類選考→面接(原則3回)→内定・オファー面談→内定受諾エントリーから内定まで概ね1か月以内
ライズ・コンサルティング・グループカジュアル面談→人事面接・Webテスト→1次面接→最終面接→オファー面談期間の目安は約1か月。すべてオンラインでの対応が可能
山田コンサルティンググループ応募(履歴書・職務経歴書・志望動機書の3点)→書類選考→Web適性検査→面接2〜3回→内定書類選考・面接とも結果連絡まで各2週間程度と案内
三菱UFJリサーチ&コンサルティングエントリー→書類選考→筆記試験・面接→内定。筆記試験は原則Web受験と明記公式非開示
日本総合研究所エントリー→書類選考→複数回の面接(募集部門と人事部門の共同面接)エントリーから採用決定まで約1〜2カ月が目安
リッジラインズ書類選考→複数回面接(ポジションによりWebテストあり)応募から内定までの選考期間の目安は1〜2か月程度
デロイト トーマツ(ファイナンシャルアドバイザリー部門)グループ共通案内で面接は複数回(平均的に2〜3回)。求人や経験により筆記試験・技術テスト・ケース面接などが実施される場合がある公式非開示
アリックスパートナーズ書類選考→面接(計3〜5回)→アセスメントテスト公式非開示
ZSアソシエイツ役割・職位・地域により2〜4回の面接(行動面接・ケース面接・専門性面接)。一部職種でオンラインアセスメント採用が集中する時期は結果のフィードバックまで2〜4週間程度
電通コンサルティング書類審査→適性検査→ケース試験→面接3回→内定の5段階総所要期間・各工程の通過率はいずれも公式非開示
博報堂コンサルティング書類選考(Webエントリー)→課題選考→課題面接(マネジャークラス)→役員面接→内定選考期間・面接回数の変動は公式非開示
マネジメントソリューションズ(MSOL)書類選考→1次面接(前にWebテスト)→2次面接→オファー面談の4ステップ公式非開示
KPMGヘルスケアジャパンエントリー→書類選考→複数回面接→内定公式非開示
メディヴァ書類選考→個人面接2〜3回→内定(公開求人票)。面接は原則オンラインエントリーから内定まで約1〜2ヶ月
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン営業職は1次面接(Web)→2次面接(対面・最終)、場合により3次面接。他職種のフローは職種により異なる公式非開示

2026年8月時点で各社が公式サイト・公式採用FAQ・公開求人票で公開している内容の整理です。フューチャー、フォーティエンス、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなど、選考期間の目安のみが公開情報として伝えられている社はここには含めていません。選考内容・期間は変更される可能性があるため、応募時には必ず最新の案内をご確認ください。

準備期間は選考スピードから逆算する

選考の速いファームでは、応募してから準備を始めるのでは間に合いません。ドルビックスはエントリーから内定まで概ね1か月以内、ライズ・コンサルティング・グループも約1か月、日立コンサルティングも約1か月程度と公式に案内しています。一方でローランド・ベルガーは約6〜8週間を要するとされ、入社希望時期の4〜6カ月前の応募が推奨されています。

山田コンサルティンググループのように、書類選考・面接とも結果連絡まで各2週間程度と案内されているファームでは、選考全体が長期化しやすくなります。複数社を併願する場合、この期間差を踏まえてスケジュールを組まないと、内定の有効期限と他社の選考時期が噛み合わなくなります。

再応募制限があるファームは応募順序に注意

カーニーは不合格の場合1年以内の再応募を受け付けておらず、Strategy&は直近2年以内に中途採用選考を受検した人を応募対象から除くと公式に明記しています。準備が不十分な段階で応募すると、次の機会が長く先になります。この2社を志望群に含める場合は、他社での選考経験を積んで練度を上げてから応募するという順序設計が合理的です。

一方で、選考には募集のタイミングがあり、待ちすぎるのも得策ではありません。カーニーは社会人・第二新卒・海外キャリア向けの会社紹介オンラインセミナーを公式に開催しており、休日選考会やケース勉強会の案内も行われているとされています。こうした公式の機会を先に活用して準備状況を測る方法もあります。

ケース面接の基本構造(必要最小限の整理)

ここまで見てきたとおり、ケース面接の準備は志望先によって必要量が大きく変わります。そのうえで、実施が確認できているファームを志望する場合に共通して必要になる基礎を、最小限だけ整理しておきます。詳細な解法の解説は本ガイドの目的ではないため、公式情報から読み取れる範囲にとどめます。

共通して問われる3つの基礎

この3点は、公式に評価軸を公開しているファーム間で表現こそ違うものの、共通して言及されています。ローランド・ベルガーの「分析能力・概念思考・コミュニケーション」も、ZSアソシエイツの「問題の構造化・解決策の立案・創造的な思考」も、同じ骨格を別の言葉で述べたものと読めます。

  • •論点の構造化 — 与えられた問いを、議論できる単位に分解して並べる。アーサー・ディ・リトルは公式に「少なくとも2階層を提示し、それを議論できる状態にする」ことを求めている
  • •定量分析 — 分解した論点に数字を当て、計算を進める。同社は評価対象としてデータの使い方と計算の速さを挙げている
  • •示唆の抽出 — 数字から何が言えるのかを述べ、結論として立場を選ぶ。同社は「前段の結論を統合し、選んだ立場を擁護できるようにしておく」ことをケースの締め方として示している

冒頭で確認する、という共通の指示

複数のファームが公式に、設問をそのまま解き始めないよう促しています。アーサー・ディ・リトルは5ステップの2番目に「必要なら確認を求める」を置き、質問を面接官に言い直して目的と文脈について合意することを求めています。カーニーも公式ガイドで、面接を関係を築く機会として臨むよう促し、アイコンタクトを維持し、独り言ではなく対話を行い、面接官の懸念や目的に沿って考えを表現することを挙げています。

つまり、ケース面接は一方向のプレゼンテーションではなく、面接官との共同作業として設計されているということです。この前提を外して「用意した型を最後まで話し切る」進め方をすると、公式に示された評価軸から外れることになります。

組織・人事系やヘルスケア領域では出題の題材が変わる

ケース面接というと市場規模推定や売上向上策が想起されがちですが、領域特化のファームでは題材が変わります。コーン・フェリーやマーサージャパンのような組織・人事系では、人と組織に関わる論点が出やすくなります。人材が定着しない企業の原因をどう構造化するか、ジョブ型人事制度への移行を検討する企業が何から着手すべきか、といったテーマは各社の事業内容と直結します。

IQVIAのようなヘルスケア領域では、医薬品の上市判断や特許切れ後の売上予測といった業界特有の設定が用いられることがあるとされています。標準的なケースの型を身につけたうえで、それを志望領域のビジネスモデルに当てはめる練習が有効です。ただし、いずれのファームも出題テーマ自体は公表していないため、これらは各社の事業内容からの想定にとどまります。

志望先の分類別・準備の組み立て方

ここまでの整理を踏まえて、準備の進め方を手順に落とします。出発点は、フレームワークの学習ではなく、志望先がどの分類に入るかの確認です。

11. 志望先が①〜③のどこに入るかを確認する

本ガイドの一覧で、志望する各社がどの分類に入るかを確認します。①に入る6社であれば、公式サイトに評価軸や進め方が公開されているため、まずそれを読むところから始めます。③-Bに入るファームが中心であれば、ケース対策より職務経歴の棚卸しに時間を配分したほうが合理的です。

22. 公式に公開されている評価軸を先に読む

カーニー、ローランド・ベルガー、アーサー・ディ・リトル、ZSアソシエイツは、評価軸や進め方を自ら公開しています。市販の対策情報を読む前に、応募先が自ら書いている基準を読むほうが精度が高くなります。各社ページの「転職・選考対策」に、当サイトが確認した内容を要約しています。

33. 基礎(構造化・定量分析・示唆抽出)を対話形式で固める

この3点は実施が確認できるファーム間で共通するため、最初に固めます。ローランド・ベルガーが公式に推奨しているとおり、友人や同僚と対話形式で解く練習が有効です。一人で書きながら解く練習だけでは、思考を口に出して共有する能力は鍛えにくいためです。

44. 前提が覆る展開を織り込んで練習する

ローランド・ベルガーは、うまくいかないときに方向転換できることを公式に評価軸として挙げています。初期仮説が崩れる展開、面接官から想定外のデータが提示される展開を想定し、その場で構造を組み直す練習を組み込みます。完成度の高い一発の構造を暗記する準備とは、方向が異なります。

55. 志望先固有の上乗せを加える

書面形式が想定されるファームには書面での練習を、組織・人事領域には人と組織を題材にしたケースを、ヘルスケア領域には業界のビジネスモデルを踏まえた練習を上乗せします。基礎は共通でも、上乗せ部分は使い回せません。

66. 職務経歴の棚卸しを並行して進める

ケース面接だけで選考が完結するファームはありません。カーニーは行動面接とケース面接を組み合わせると公式に説明し、アーサー・ディ・リトルはビヘイビア面接の準備ガイドを別途公開し、ZSアソシエイツは行動面接と専門性面接を選考の構成要素として挙げています。経験を構造化して語れる状態にしておくことは、どの分類のファームでも必要です。

77. 再応募制限と選考スピードから応募順序を決める

カーニーの1年、Strategy&の2年という再応募制限を踏まえ、練度が上がってから応募する社と、先に受けて経験を積む社を分けます。あわせて、選考が約1か月で完了するファームと6〜8週間かかるファームがあることを踏まえ、内定時期が噛み合うようスケジュールを組みます。

「ケース面接がない」ファームでの準備の中身

③-Bに分類したファームを志望する場合、準備の中心は職務経歴の棚卸しに移ります。Dirbatoでは経験を論理的に、具体的な数字を交えて語れるかどうかが重視されるとされ、MSOLではプロジェクト推進・課題管理・ファシリテーションの実務経験が評価軸になります。船井総合研究所では、担当したい業種と自分の経験の接点を整理し、経営者と信頼関係を築ける人物であることを示すことが問われます。

山田コンサルティンググループのように、応募時に志望動機書の提出を求めるファームもあります。日立コンサルティングは選考フローの途中に志望動機書の提出を組み込んでおり、書面で説明しきる力が問われる設計です。博報堂コンサルティングの課題選考も同様で、時間をかけたアウトプットの質が評価対象になります。これらは口頭のケース対策では代替できない準備です。

応募前に確認しておきたいこと

最後に、本ガイドの内容を確認事項の形にまとめます。特に③に分類したファームでは、公式に確認できない項目が多いため、応募後の案内や面接の場で確認する姿勢が実務的に効いてきます。

本ガイドは2026年8月時点の各社公式情報にもとづく整理です。選考内容は変更される可能性があるため、応募時には必ず各社の最新の募集要項をご確認ください。

  • •志望先が①〜③のどこに入るか。①であれば公式の評価軸を先に読む
  • •応募する求人・ポジションでケース面接が課されるか。アクセンチュアやアビームのように、職種・部門によって実施が分かれるとされるファームでは、一律の想定を置かない
  • •選考の所要期間と結果連絡の目安。約1か月で完了するファームと6〜8週間かかるファームがある
  • •再応募制限の有無。カーニーは1年、Strategy&は2年という制限を公式に明記している
  • •ケース面接以外の選考要素。行動面接、専門性面接、志望動機書、課題提出、適性検査、リファレンスチェックなど、ファームによって構成が異なる
  • •公式に非開示の項目は、応募後の選考案内が唯一の一次情報になる。事前に完璧な準備を済ませる前提を置かない

情報の出所を必ず確認する

ケース面接に関する情報は大量に流通していますが、その多くは出所が示されていません。当サイトが59社を確認した結果、ケース形式の選考が公式情報で確認できたのは6社にとどまりました。裏を返せば、世の中に流通している「このファームのケース面接はこういう形式」という情報の大半は、公式の裏づけを持たない情報だということです。

そうした情報が誤りだと言いたいわけではありません。実際に選考を受けた人の証言には価値があります。ただし、公式に確認できる情報と、確認できない情報を区別しないまま準備を進めると、変更された選考内容や、そもそも自分の応募ポジションには適用されない情報にもとづいて準備してしまうことになります。当サイトが出所を分類して掲載しているのは、この区別を読者が自分で行えるようにするためです。

各社の詳細な選考情報は、個別ページの「転職・選考対策」に出典と注記つきで整理しています。志望先が決まっている場合は、上の一覧からファーム名をたどってご確認ください。

よくある質問

Q. コンサルの選考では、必ずケース面接が課されるのですか?
A. そうとは限りません。当サイトが掲載59社の公式サイト・公式採用FAQ・公式求人票を確認したところ、ケース形式の選考が公式に明記されていたのは6社、求人・ポジションによると公式に示していたのが4社で、残る49社は公式サイトから実施の有無を確認できませんでした。さらに49社のうち29社は、公式にも公開情報にもケース面接の記載がないか、明確に課されないとされています。Dirbato、MSOL、ノースサンド、船井総合研究所などがこれにあたります。志望先がどこに入るかを確認したうえで、準備の配分を決めることをおすすめします。
Q. ケース面接の評価軸を公式に公開しているファームはありますか?
A. あります。カーニーは公式サイトに「ケースインタビュー」のページを設け、トップダウンで考える、仮説を立てる、フレームワークに頼りすぎない、限界を知るといった指針を公開しています。ローランド・ベルガーは分析能力・概念思考・コミュニケーションの3点を評価軸として明示しています。アーサー・ディ・リトルは進め方を5ステップで示し、評価する4点(知的好奇心、批判的思考と主体性、データの使い方と計算の速さ、アプローチと自分の解に対する自信)を挙げています。ZSアソシエイツも公式採用サイトで選考の構成要素とケース面接の評価観点を公開しています。市販の対策情報を読む前に、これらの一次情報を読むほうが精度が高くなります。
Q. 3Cや4Pといったフレームワークは覚えるべきですか?
A. 構造をつくる速度を上げる部品としては有用ですが、そのまま提出する完成品ではありません。カーニーは公式のケース面接ガイドで「フレームワークに頼りすぎない」ことを明示しており、型に当てはめて整理するだけの回答は同社の基準では評価されにくいと読めます。アーサー・ディ・リトルも、ケース面接はビジネスセンスや業界知識をテストするものではないと公式サイトに明記しています。準備の重心は、型の数ではなく、その場で組み立てた構造をなぜそう切ったのか説明できること、前提が変わったときに組み直せること、考えていることを声に出して共有できることに置くのが、公式情報に沿った進め方です。
Q. MBB(マッキンゼー・BCG・ベイン)のケース面接の形式は公式に確認できますか?
A. 当サイトの調査時点では、3社の日本オフィスの公式サイトからケース面接の形式や評価軸を確認することはできませんでした。マッキンゼーのPEI(各面接セッションの冒頭10〜15分)、BCGのディスカッション型ケース面接、ベインのWritten Case(面接前に資料を渡され30〜60分で分析・提言をまとめる形式)は、いずれも公開情報として広く伝えられている内容であり、当サイトでは公式に確認できた情報とは分けて掲載しています。3社の形式と評価軸は異なるため対策をそのまま使い回すことはできませんが、論点の構造化・定量分析・示唆の抽出という基礎部分は共通します。
Q. 選考にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 公式に期間を公開している社に限ると幅があります。ローランド・ベルガーはグローバル共通FAQで採用プロセスに約6〜8週間を要するとし、入社希望時期の4〜6カ月前の応募を推奨しています。日立コンサルティングは応募から内定まで約1か月程度、ドルビックスコンサルティングはエントリーから内定まで概ね1か月以内、ライズ・コンサルティング・グループは約1か月と案内しています。日本総合研究所はエントリーから採用決定まで約1〜2カ月、リッジラインズは1〜2か月程度です。結果連絡については、Strategy&とPwCアドバイザリーが選考結果に関わらず10日以内、カーニーが書類選考の結果を応募日から2週間以内と明記しています。多くのファームは所要期間を公表していません。
Q. 不合格になった場合、すぐに再応募できますか?
A. ファームによります。カーニーは公式の中途採用情報で1年以内の再応募を受け付けていない旨を記載しています。Strategy&は中途採用ページと求人票のいずれにも、直近2年以内に同社の中途採用選考を受検した方は応募対象から除く旨が明記されています。準備が整わないまま応募して不通過となると、次の機会が1年後・2年後になるため、この2社を志望群に含める場合は応募の順序設計が重要になります。他社の選考で経験を積み、練度を上げてから応募するほうが期待値は高くなります。再応募制限について公表していないファームも多く、その場合は応募時の案内で確認する形になります。

SUPERVISED BY — 監修者

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辰本 明日加

監修者

辰本 明日加Asuka Tatsumoto

STRAND PARTNERS 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア戦略部門、リクルートを経てSTRAND PARTNERSを創業。コンサルファーム・PEファンド・大手事業会社への転職支援を手がける。

高辻 渚

監修者

高辻 渚Nagisa Takatsuji

STRAND PARTNERS

米国ビジネススクール卒業後、PwCニューヨークオフィス、アクセンチュア戦略部門を経て参画。グローバル視点でのコンサル・外資系企業への転職支援を担当。

本記事はストランドパートナーズ株式会社のコンサルティング業界担当コンサルタントが内容を確認しています。

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